子宮内膜異型増殖症とは?症状・治療・生活のポイント
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
子宮内膜異型増殖症(しきゅうないまくいけいぞうしょくしょう)は、子宮の内側を覆う内膜が厚くなり、その中に異常な細胞が認められる状態です。がんそのものではありませんが、放置すると子宮体がん(子宮内膜がん)に進む可能性があるため、『前がん病変』として治療や経過観察の対象になります。
重要な事実
- がんではないが、将来子宮体がんに進む可能性がある
- 多くの場合、異常な出血をきっかけに見つかる
- 適切に治療すれば予後は良好で、妊娠を希望する方には子宮を温める治療の選択肢もある
まれな病気ではありませんが、全ての女性に起こるわけではありません。特に閉経前後から閉経後の女性に多く見られます。
主に40代後半から50代の女性に見られますが、月経のある女性ならどの年代でも起こり得ます。肥満や多嚢胞性卵巣症候群などがある方に多い傾向があります。
症状
- 大量出血で、1時間に1枚以上のナプキンが真っ赤に染まるほど
- めまいや立ちくらみ、冷や汗、意識が遠くなる
- 出血とともに激しい下腹部痛がある場合
- ⚠閉経後の出血(少量でも)
- ⚠不正出血が1ヶ月以上続く
- ⚠普段より明らかに多い月経
一般的な症状
- 不正出血(生理と生理の間の出血)
- 月経の量が多い、または期間が長い
- 閉経後の出血(少量でも注意が必要)
子供の症状
- この病気は思春期前の子どもには通常見られません。まれに若い女性に起こることがありますが、月経異常や出血があれば早めに受診しましょう。
高齢者の症状
- 閉経後の出血(どんなに少量でも受診が必要)
- 閉経後に再び月経のような出血がある
原因
主な原因
- 女性ホルモン(エストロゲン)が必要以上にはたらき、子宮内膜が厚く増えすぎること
- 排卵が起きないため、子宮内膜をはがす働きのある黄体ホルモンが十分に分泌されないこと
- 子宮内膜が正常にはがれず、古い内膜が残り続けること
リスク要因
- 肥満(BMIが高い)
- 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
- 閉経前後の年齢
- エストロゲン作用をもつ薬剤を長期間使用している
- 糖尿病や高血圧がある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 閉経後の出血がある
- 出血量が多く、ふらつきや息切れがある
- 不正出血が続き、日常生活に支障をきたしている
定期受診を予約すべき場合:
- 月経不順や月経量の変化を感じる
- 超音波検査で子宮内膜の厚さを指摘された
- 妊娠を予定しているが月経周期が乱れている
診断
まず内診と超音波検査(エコー)で子宮内膜の厚さと状態を確認します。内膜が厚い場合や画像に異常が見られる場合に、顕微鏡で細胞を調べる精密検査を行います。
行われる可能性のある検査
- 経腟超音波検査(腟から器具を入れて子宮内膜の厚さを調べる)
- 子宮内膜生検(細い管を子宮に入れて組織の一部を採取する)
- 子宮鏡検査(内視鏡で子宮の中を直接観察する)
- 子宮内膜掻爬術(子宮の中をかきとって組織を調べる)
診察で予想されること
外来での検査は数分で終わることが多く、少し痛みや出血があります。結果が出るまでに数日から1週間ほどかかります。診断が確定したら、今後の治療方針を担当医と一緒に決めていきます。
治療
治療の目的は、異常な細胞をなくすことと、がんへの進行を防ぐことです。症状や年齢、妊娠希望の有無によって治療法が変わります。
自宅でのセルフケア
- 指示された治療を途中でやめない
- 出血量や出血のタイミングをメモしておく
- 定期的な受診を欠かさない
医療治療
主な治療はホルモン療法です。黄体ホルモンの働きを持った薬を数ヶ月間使うことで、異常な内膜を正常な状態に戻すことを目指します。また、ホルモンを放出する子宮内装置を使う方法もあります。治療中は組織検査を繰り返しながら効果を確認します。※具体的な薬剤名や用量は医師の指示に従ってください。
手術が検討される場合
閉経後の方、がんへの進行が強く疑われる方、ホルモン療法が十分に効かない方、妊娠を希望しない方には、子宮を摘出する手術(子宮全摘出術)が選択されることがあります。卵巣の温存などについては担当医と十分に話し合うことが大切です。
この病気と共に生きる
治療中でも大半の患者さんはこれまで通りの日常生活を送ることができます。不安なことや気になる症状があれば、我慢せずに医療者へ相談してください。
生活習慣のアドバイス
- 質のよい睡眠と休養をとる
- ストレスをためすぎない
- 飲酒はほどほどにし、喫煙は避ける
食事と運動
野菜や果物、全粒穀物などを中心としたバランスのよい食事を心がけましょう。肥満がある場合には、無理のない範囲で体重を減らすことが治療効果を高める可能性があります。早歩きなどの有酸素運動を週に数回行うのもおすすめです。
精神的健康と心の健康
『がんに進むかもしれない』という不安は自然なことです。しかし、この病気は見つけやすい前がん病変であり、治療法には選択肢があります。不安が続いて眠れない・気分が落ち込むといった症状があるときは、一人で抱え込まずに医師や看護師、心療内科・精神科に相談しましょう。
予防
すべての異型増殖症を予防することはできませんが、体重を増やしすぎないことや月経周期を整えることはリスク低下に役立つ可能性があります。不正出血を放置せず、早めに検査を受けることも重要です。
ワクチン
この病気を予防するワクチンはありません。
検診プログラム
一般的な健診でこの病気を調べる検査はありません。気になる症状があれば、ためらわず婦人科を受診しましょう。
合併症
治療しない場合
- 子宮体がん(子宮内膜がん)に進行する可能性がある
- がんに進行すると、子宮や卵巣を摘出する大がかりな治療が必要になることがある
- 不正出血が長く続くことで貧血になることがある
長期的な見通し
異型増殖症は『見つけられる前がん病変』です。治療反応性も比較的高く、医師と一緒に計画的に進められるため、多くの場合がんへの進行を防げます。妊娠を希望される方では、子宮を温めたまま治療する方法もあります。前向きな気持ちを持って治療に取り組みましょう。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。