腎盂尿管移行部狭窄症(じんうにょうにょういこうぶきょうさくしょう)とは
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
腎盂尿管移行部狭窄症(UPJ狭窄症)は、腎臓でつくられた尿が尿管へ流れ出る部分が狭くなったり詰まったりして、尿が腎臓にたまりやすくなる病気です。腎臓が腫れる「水腎症」を起こすことがあります。
重要な事実
- 先天的に持っている場合(赤ちゃんのときから)と、後天的に起こる場合があります。
- 軽い場合には症状がなく、検診やエコー検査で偶然見つかることがあります。
- 治療が必要なときは、狭くなった部分を手術で整える方法が一般的で、成功率は高い病気です。
決して多い病気ではありませんが、赤ちゃんに見つかる水腎症の中では最も多い原因の一つです。日本では妊婦健診のエコーで見つかることも多く、成人ではまれな病気といえます。
先天性の場合、男の子にやや多く、左側に起こりやすいといわれています。後天性の場合は中高年で見つかることが多いですが、赤ちゃんからお年寄りまでどの年齢でも起こり得ます。
症状
- 急な強いわき腹痛や背中の痛みに加えて、高熱(38.5℃以上)がある場合
- 吐き気や嘔吐が続き、水分が取れない場合
- 尿がほとんど出ない場合
- 寒気や震えを伴う高熱が続く場合
- ⚠発熱を伴うわき腹や背中の痛みがある
- ⚠血尿が何度も続く
- ⚠尿路感染を何度も繰り返す
- ⚠原因不明の腰痛や腹部の違和感が長引く
一般的な症状
- わき腹や背中の痛み。特に水分をたくさん飲んだ後に痛みが強くなることがあります。
- 尿に血が混じる(血尿)
- 尿路感染症(膀胱炎や腎盂腎炎)を繰り返す
- 吐き気や嘔吐
子供の症状
- 生まれる前のエコー検査で水腎症を指摘される
- おなかのしこり(腫れた腎臓)が触れる
- 発熱や尿路感染を繰り返す
- 哺乳力が弱い、おしっこの量が少ない
高齢者の症状
- 症状が出にくく、健康診断や別の病気の検査で偶然見つかることが多い
- 原因のはっきりしない腰痛や背部痛が続く
- 腎機能の低下やむくみなど、漠然とした体調不良
原因
主な原因
- 先天的に腎盂と尿管のつなぎ目が狭い(先天性UPJ狭窄症)
- 尿管の近くを走る血管が尿管を圧迫する(交差血管)
- 大きな腎結石がつまったり、炎症の傷あとができたりして狭くなる
- 腹部の手術や放射線治療後に狭窄が起こることがある
- まれに腫瘍が尿管を圧迫することがある
リスク要因
- 胎児エコーで水腎症を指摘されたことがある
- 腎結石や尿路結石になったことがある
- 腹部や骨盤の手術、放射線治療を受けたことがある
- 先天性のUPJ狭窄は男児に多い
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 高熱、激しい痛み、嘔吐が続く場合は、すぐに医療機関を受診してください。緊急のときは救急車(119)を呼びましょう。
- 尿がまったく出ない、意識がぼんやりする場合は直ちに救急を受診してください。
定期受診を予約すべき場合:
- わき腹や背中が繰り返し痛むことがある
- 血尿が一度でもあったことがある
- 尿路感染を繰り返している
- 健康診断やエコーで水腎症や腎盂尿管移行部の異常を指摘された
診断
問診と身体診察に加えて、画像検査で尿の流れや腎臓の腫れを確認します。採血と尿検査で腎機能や感染の有無も調べます。
行われる可能性のある検査
- 超音波(エコー)検査:痛みがなく、体に負担をかけない検査です。
- 利尿レノグラム:放射性医薬品を注射し、尿がどのように流れて排出されるかを調べます。
- CT検査:狭窄の位置や原因、周囲の血管との関係を詳しく観察します。
- MRI検査:放射線を使わず、尿管や腎臓の構造を描出します。
- 血液検査・尿検査:腎機能の状態や尿路感染の有無を確認します。
診察で予想されること
エコー検査は痛みがなく、短時間で終わります。利尿レノグラムは静脈から注射をし、そのあと水分を摂りながら数回画像を撮ります。検査時間はおおよそ1〜2時間です。結果が出るまでに数日かかることがありますが、医師からわかりやすく説明されます。
治療
治療の必要性は、症状の有無、狭窄の程度、腎機能への影響によって決まります。無症状で腎機能が保たれている場合は「経過観察」、症状があったり腎機能が低下している場合には「手術」が検討されます。
自宅でのセルフケア
- 水分は少量をこまめに摂り、一度に大量に飲みすぎないようにします(急に尿が増えて痛みが出ることがあります)。
- 排尿を我慢せず、トイレを我慢しないようにします。
- 尿路感染を予防するため、体を冷やさず、睡眠や休息をしっかりとります。
- 症状(痛み、発熱、血尿など)に変化があったら、早めに医師に相談します。
医療治療
薬物治療は、痛みを和らげる薬や、尿路感染が疑われる場合の抗菌薬などが使われることがあります。ただし、これらの薬は症状を一時的に抑えるためのもので、狭くなった部分自体を根本的に治すものではありません。狭窄そのものに対する治療は、主に観察と手術になります。
手術が検討される場合
次のような場合は手術が検討されます。症状があり日常生活に支障がある場合、尿路感染を繰り返す場合、腎機能の低下が認められる場合、胎児期から高度な水腎症が続いている場合などです。手術では狭くなった部分を取り除き、新しいつなぎ目をつくる「腎盂形成術」が標準です。最近では、腹腔鏡やロボット支援による低侵襲手術も行われています。
この病気と共に生きる
診断後は泌尿器科で定期的に経過観察をします。症状がない場合でも、エコーや利尿レノグラムで腎臓の状態をチェックしましょう。急な痛みや発熱に備えて、受診先や連絡先を把握しておくと安心です。
生活習慣のアドバイス
- 水分をこまめに摂る(ただし飲みすぎない)
- 激しい運動や長距離の運転などで尿を我慢しないようにする
- 規則正しい生活と十分な睡眠を心がける
- 気になる症状があれば、早めに相談する
食事と運動
特に特別な食事制限はありませんが、腎機能が低下している場合は、医師の指示に従ってたんぱく質や塩分の調整が必要になることがあります。運動は痛みがない範囲で行ってかまいません。
精神的健康と心の健康
慢性的な病気であることから、不安やストレスを感じることもあるかもしれません。しかし、多くの場合は適切な治療で良好にコントロールできます。気になることや心配なことは、遠慮せず医師や看護師に伝えてください。
予防
先天的なUPJ狭窄症を予防することはできません。しかし、後天的に起こるものについては、腎結石や尿路感染症を予防することでリスクを減らせる可能性があります。具体的には、適度な水分補給や、排尿を我慢しないこと、泌尿器感染を早期に治療することが大切です。
検診プログラム
この病気に特化した一般向けの検診はありませんが、日本の妊婦健診ではエコー検査が行われており、胎児の水腎症が発見されることがあります。成人では、健康診断の尿検査や腹部エコーがきっかけで見つかることがあります。
合併症
治療しない場合
- 水腎症が進行して腎臓の機能が低下する(腎障害)
- 尿路感染を繰り返し、腎盂腎炎という重い感染症になることがある
- 尿の流れが悪いため、腎臓に結石ができやすくなる
- 両側の腎臓に高度の狭窄が同時にある場合(まれ)、慢性腎不全に至ることがある
長期的な見通し
適切に診断し治療すれば、ほとんどの方は腎臓の機能を守ることができます。軽度の場合は自然に軽快することもあり、手術が必要な場合でも成功率は95%以上と高いです。医師とよく話し合い、自分に合った治療を選びながら、安心して生活を続けられます。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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