生まれつきの泌尿器の異常について(先天泌尿器系異常)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
先天泌尿器系異常とは、お母さんのおなかの中で赤ちゃんの泌尿器(腎臓・尿管・膀胱・尿道)や性器ができるときに何らかの問題が起きて、生まれたときから形や働きに異常がみられる病気の総称です。軽いものから重いものまであり、生まれてすぐ治療が必要なものもあれば、そのまま経過観察でよいものもあります。
重要な事実
- 腎臓、尿管、膀胱、尿道のどこかに形の異常がある
- 妊婦健診のエコーで見つかることが増えている
- 多くは適切な治療で、腎臓を守りながら普通の生活ができます
決して珍しい病気ではありません。たとえば、男の子の尿道下裂は約300人に1人、停留精巣は約100人に1~3人とされています。
ほとんどは生まれつきのため、新生児や乳幼児に見つかります。男の子に多い種類がありますが、女の子にも起こります。
症状
- 尿が全く出ない(1日以上)
- 腰やおなかの激しい痛みに高熱がともなう
- ぐったりしている、意識がもうろうとする
- ⚠排尿時の強い痛みや血尿がある
- ⚠発熱や吐き気、嘔吐をくり返す
- ⚠尿の色が濃い・にごっている
- ⚠いつもよりおしっこの回数が極端に少ない
一般的な症状
- 特に症状がないこともあります(軽度のもの)
- 尿の勢いが弱い、尿が細い
- 排尿時の痛みや、繰り返す熱(尿路感染症)
- おなかの張りや、しこり(腎臓の腫れ)
- 外性器の形の違い(男の子の尿道下裂など)
子供の症状
- 夜尿(おねしょ)が続く
- おしっこをするときにいきむ
- 原因不明の繰り返す発熱
- 体重が増えない、母乳やミルクの飲みが弱い
高齢者の症状
- 腎臓への負担が長年続くと、高血圧や腎機能の低下が現れる
- 繰り返す膀胱炎や腎盂腎炎
- 残尿感や排尿のしにくさ
原因
主な原因
- 胎児の発生過程で泌尿器の形ができるときに何らかの影響が起きる
- 遺伝的な要因が関わることがある
- はっきりした原因はほとんどの場合わからない
リスク要因
- 家族に同じ病気の人がいる(ただし、多くの場合は遺伝しない)
- 妊娠中の母体の病気や薬の使用が影響することがあるが、確定的なものは少ない
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 上記の緊急症状がある場合は、すぐに119番で救急車を呼んでください
- 発熱、血尿、排尿痛などがあれば、当日中に病院を受診してください
定期受診を予約すべき場合:
- 妊婦健診で「赤ちゃんの腎臓が腫れている」などと言われた場合
- 乳幼児健診で外性器や排尿について指摘された場合
- 夜尿など、気になることが長く続く場合
診断
おなかの中の赤ちゃんの場合は、妊婦健診の超音波(エコー)検査で腎臓の腫れなどがわかることがあります。生まれた後は、診察・尿検査・画像検査を組み合わせて調べます。
行われる可能性のある検査
- 超音波(エコー)検査…腎臓や膀胱の形、腫れを調べる
- 排尿時膀胱尿道造影(VCUG)…膀胱や尿道の形、尿の逆流を調べる
- 腎シンチグラフィ…放射性医薬品(少量)を使って腎臓の働きを画像で評価する
- 血液検査・尿検査…腎機能や尿路感染症の有無を調べる
診察で予想されること
検査は、赤ちゃんや子どもが少しでも安心して受けられるように、看護師や技師が丁寧に対応します。何回かに分けて検査を行うこともありますが、あわてずに通い続けることが大切です。
治療
治療は、異常のタイプと重症度、年齢によって考え方が異なります。軽ければ「経過観察」で済むこともありますし、尿路感染症を防ぐためにお薬を使ったり、手術が必要になることもあります。
自宅でのセルフケア
- 水分をこまめにとる
- おしっこを我慢しない
- おむつ替えのときは前から後ろに拭いて、細菌をふせぐ
- 医師が決めた定期受診を続ける
医療治療
尿路感染症をくり返す場合は、医師が処方する抗菌薬(細菌をやっつける薬)を予防や治療のために使います。ほかにも、腎臓の働きを助ける薬が使われることもあります。くすりの名前や使い方は、必ず医師・薬剤師に確認してください。
手術が検討される場合
尿の通り道が狭い・ふさがっている、膀胱から腎臓へ尿が逆流するなど、構造的に直した方がよい場合は手術が検討されます。たとえば尿道下裂の形成術、停留精巣の固定術、後部尿道弁の切除などです。手術後は多くが順調に回復し、退院後の生活を元気に送れます。
この病気と共に生きる
日頃から、おしっこの回数や色・勢い、排尿時の違和感に気をつけましょう。お子さんの場合は、熱が上がったときは「尿路感染症かも」と思って早めに受診すると安心です。
生活習慣のアドバイス
- 規則正しい生活を心がけて免疫力を保つ
- 学校や園には、必要に応じて「排尿のことで配慮が必要」と伝えておく
- 気になることは小児科・泌尿器科の医師に相談する
食事と運動
多くの場合、食事制限は必要ありません。塩分をとりすぎない、水分をしっかりとるなど、腎臓にやさしい食生活を心がけてください。運動も、通常は制限なくできます。医師の指示があればそれに従いましょう。
精神的健康と心の健康
治療が長く続くと、子どもも家族も不安やストレスを感じることがあります。ひとりでかかえこまず、医師や看護師、ソーシャルワーカーに気持ちを話しましょう。必要に応じて心理サポートも受けられます。
予防
生まれつきの異常のため、完全に予防することはできません。ただし、妊婦健診をきちんと受けることで早期に発見し、生まれてすぐの適切なケアにつなげられます。
ワクチン
この病気そのものを防ぐワクチンはありません。一般的な感染症を予防するため、定期接種は年齢に応じて受けましょう。
検診プログラム
妊婦健診の超音波検査、生まれたあとの身体診察・尿検査、乳幼児健診が主な早期発見の機会です。
合併症
治療しない場合
- 尿路感染症を繰り返して腎臓に傷がつく
- 腎機能の低下から、高血圧や腎不全になるリスク
- 男の子の停留精巣は、将来の精子を作る働きに影響することがある
長期的な見通し
たいていの先天泌尿器系異常は、適切な治療とチェックがあれば、腎臓の働きを保ちながら通常の生活ができます。たとえ手術が必要でも、多くの子どもが元気に成長します。長い目で見守りながら、わからないことは担当医に相談していきましょう。
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重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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