大腸菌感染症(腸管出血性大腸菌など)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
大腸菌は、私たちの腸の中にもともとすんでいる細菌の一種です。ほとんどの大腸菌は害がありませんが、中には食べ物や水を通じて体に入ると、腸に炎症を起こして下痢や腹痛などの症状を引き起こすものがあります。特に「腸管出血性大腸菌(O157など)」と呼ばれるタイプは、血が混じった下痢を起こし、まれに重い合併症につながることがあります。
重要な事実
- 大腸菌感染症は、主に汚染された食べ物や水からうつります。
- 下痢や腹痛、吐き気、発熱などの症状が急に出ることがあります。
- 小さい子どもや高齢者は、脱水や重い合併症になりやすいため注意が必要です。
大腸菌は世界中にいる細菌で、感染症の原因となるものは日本でも毎年報告があります。特に夏場に多く見られます。
年齢を問わず誰でもかかる可能性がありますが、幼い子どもや高齢者、免疫力が低下している人は症状が重くなりやすいです。
症状
- 血が混じった激しい下痢(おむつやトイレで目に見える血がある)
- 尿の量が極端に減る、またはまったく出ない
- 意識がもうろうとする、またはけいれんを起こす
- 顔色が青白く、ぐったりしている(特に子どもや高齢者)
- ⚠高熱が出ている(38度以上)
- ⚠おう吐が続いて水分が摂れない
- ⚠強いおなかの痛みが続く
- ⚠下痢が2~3日以上続く
一般的な症状
- 水のような下痢(軽いものから重症までさまざま)
- おなかの痛み(けいれんするような痛み)
- 吐き気やおう吐
- 発熱(出ないこともあります)
- 食欲がなくなる
子供の症状
- 子どもは下痢やおう吐で水分が失われやすく、元気がない、泣いても涙が出ない、おしっこの量が減るなどの脱水のサインが見られます。
- 血が混じった下痢や激しいおなかの痛みがある場合は、すぐに医療機関を受診してください。
高齢者の症状
- 高齢者は症状が重くなりやすく、下痢による脱水が進むと、めまいやふらつき、意識がもうろうとすることがあります。
- 血が混じった下痢が続く場合は、早めに医療機関に相談してください。
原因
主な原因
- 牛や豚などの生肉や、加熱が不十分な肉の場所からうつることがあります。
- 生乳(殺菌していない牛乳)や未殺菌の飲食物が原因になることがあります。
- 感染した人がトイレのあとに十分手を洗わず、食べ物やドアノブを介してうつります。
- 動物とのふれあい(牧場などの動物園)で、うんちを触ってしまってうつることがあります。
リスク要因
- 生肉やレアな肉を食べることが多い人
- 井戸水や湧き水を利用している人
- 海外の衛生状態が不明な地域に旅行する人
- 高齢者や赤ちゃん、免疫力が低い人
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 血が混じった下痢がある
- おしっこが減っている、または色が濃い
- おう吐が続いて水分が摂れない
- 意識がおかしい、またはけいれんがある
定期受診を予約すべき場合:
- 38度以上の熱が出ている
- 下痢が3日以上続く
- おなかの痛みが強くて日常生活に支障がある
- 妊娠中である、または乳幼児・高齢者で症状が続く
診断
医師が症状や最近食べたもの、周囲での感染の状況を確認したうえで、便の検査をして診断します。
行われる可能性のある検査
- 便の検査(便の中の大腸菌の有無や毒素を調べます)
- 血液検査(脱水や腎臓の機能が悪くなっていないかをチェックします)
診察で予想されること
診察では、おなかの状態を触って確認し、便の容器を渡されることがあります。提出した便の結果が出るまでに1日ほどかかることがあります。結果が出る前に、症状に合わせて水分の補給などが始まります。
治療
大腸菌感染症の治療の中心は、水分と電解質(塩分やカリウム)をしっかり補うことです。特別な薬がなくても、水分を摂って休むことで自然に良くなることがほとんどです。
自宅でのセルフケア
- 少量ずつでもよいので、水やお茶、市販の経口補水液をこまめに飲む
- 消化に良いものを食べる(おかゆ、うどん、バナナなど)
- おなかを冷やさないようにして、ゆっくり休む
- トイレのあとや食事の前には必ず手を洗う
医療治療
医師は、脱水の程度に応じて、水分を静脈から点滴を行ったり、必要に応じて症状を和らげる薬を処方することがあります。抗菌薬(抗生物質)を使うかどうかは、感染のタイプや症状の重さによって医師が慎重に判断します。自己判断で抗菌薬を飲まず、医療機関の指示に従ってください。
手術が検討される場合
この病気で手術が必要になることは通常ありません。
この病気と共に生きる
下痢が続く間は、無理せず自宅で休みましょう。湿ったタオルや温かい飲み物で体を楽にし、おなかの負担を減らすために食事は少量を数回に分けて摂るのも方法です。
生活習慣のアドバイス
- 下痢が治まるまでは、仕事や学校を休み、他の人にうつさないようにしましょう。
- トイレの後は石けんと流水でしっかり手を洗いましょう。
- 家族とタオルや食器を共用しないようにしましょう。
- 下痢の間は、食べ物の準備や調理を避けてください。
食事と運動
水分を十分に摂りながら、消化の良い食べ物を選びましょう。下痢が治まった後も、脂っこいものや刺激の強いものは控えめにし、体調を見ながら普通の食事に戻してください。無理な運動は避け、体力が戻るまで静かに過ごしましょう。
精神的健康と心の健康
下痢や腹痛が続くと、不安や落ち込みを感じることがあります。これは自然な反応です。特に原因が食べ物や旅行だった場合、気持ちが後ろ向きになることもありますが、多くの人は時間とともに回復します。気分がつらくなったら、家族や友人に話をしたり、保健所や医療機関の相談窓口を利用してください。
予防
はい、大腸菌感染症は正しい手洗いと食品の十分な加熱によって予防できます。特に生肉の扱いには注意し、肉と野菜のまな板を分けるなどの工夫が大切です。
ワクチン
現在、大腸菌感染症を予防する一般的なワクチンはありません。
検診プログラム
一般的な健康診断での大腸菌感染のスクリーニング検査はありません。症状がある場合や感染が疑われる場合に、医療機関で検査を行います。
合併症
治療しない場合
- 脱水(体内の水分が極端に不足する状態)
- 溶血性尿毒症症候群(HUS)(赤血球が壊れ、腎臓の働きが悪くなる重い合併症)
- 腎機能の低下や障害
- 腸の重い炎症による穿孔(腸に穴が開くこと、まれ)
長期的な見通し
ほとんどの人は適切な水分補給と休養で数日から1週間程度で回復します。ただし、乳幼児や高齢者は合併症のリスクが高いため、しっかりと医療機関のケアを受けることが大切です。助けを求めることで、重症化を防げることが多いです。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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