副腎の病気(副腎疾患)について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
副腎(ふくじん)は、両方の腎臓のうえにある小さな臓器で、血圧やエネルギーの調節、ストレスへの対応などに必要なホルモンをつくっています。副腎の病気とは、このホルモンが多くなりすぎたり、少なくなりすぎたりすることで起こるさまざまな状態のことをまとめて指します。
重要な事実
- 副腎の病気には、ホルモンが過剰になるタイプと不足するタイプがあります。
- 代表的なものに、アジソン病(副腎皮質機能低下症)、クッシング症候群、褐色細胞腫があります。
- 治療は、原因に合わせてホルモンのバランスを整えることが中心となります。
副腎の病気は、一般的にはまれな病気です。ただし、だるさや血圧の変動など、ありふれた症状が出るため、ほかの病気と見分けにくい面があります。
副腎の病気は、どの年齢でも起こり得ます。種類によって、子どもに多いもの(先天性副腎過形成)や、成人の女性にやや多いタイプ(自己免疫が原因のアジソン病など)があります。
症状
- 急に意識を失った、または反応がにぶくなった
- 激しい吐き気やおう吐が続く
- 血圧が極端に下がり、立っていられない
- けいれんが起きた
- このような症状がある場合は、すぐに119番(救急車)を呼んでください。
- ⚠いつもの薬が飲めない、または薬の調整が必要な体調不良
- ⚠強い下痢やおう吐、発熱が続く
- ⚠立ちくらみやめまいが強く、ふらふらする
- ⚠普段よりひどい腹痛が続く
一般的な症状
- 強い疲れやすさや体のだるさ
- 体重が急に減る・増える
- 血圧の高い・低いが続く
- 立ちくらみやめまい
- 筋肉の力が入りにくい
- 皮膚の色が部分的に黒ずむ
- 吐き気やおなかの痛み
- 気分の落ち込みや不安
子供の症状
- 身長の伸びが遅い、または早い
- 思春期が早く始まる(または進まない)
- 体重が増えやすい
- 出生時、性器の見た目にいつもの経過と違う点がある場合は、医師が検査をすすめます(先天性副腎過形成の可能性)
高齢者の症状
- けん怠感が強く、日常生活の動作がおっくうになる
- 立ち上がったときのふらつき・転倒
- 食欲低下や脱水のサイン(口の渇き、尿が少ない)
- いつもと違うぼんやり感・混乱
原因
主な原因
- 自己免疫の異常:体の免疫システムが自分の副腎を攻撃してしまい、ホルモンが作れなくなります
- 感染症:結核や真菌感染などによって副腎の組織が傷つきます
- 腫瘍:副腎にできた腫瘍(良性・悪性いずれも)がホルモンを過剰につくる場合があります
- ステロイド薬の長期使用:治療のために使うステロイド薬を急にやめると、副腎の働きが低下することがあります
- 遺伝的な要因:先天性副腎過形成など、生まれつきホルモンの合成に問題がある場合です
リスク要因
- 自己免疫疾患(1型糖尿病、橋本病など)を持っている
- 副腎に腫瘍やのう胞がある
- ステロイド薬を長期間・高用量で使用している
- 副腎にけがをしたり、手術を受けたことがある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 急に激しい痛みや体調不良が出現した
- 血圧が高い・低いの変動が大きく、息苦しさがある
- おう吐・下痢で水分が取れない
定期受診を予約すべき場合:
- 長期間、体のだるさや疲れが続く
- 理由のない体重の増減が続く
- 皮膚の色の変化や立ちくらみが目立つ
- 高血圧や低血圧の原因がまだ分かっていない
診断
医師は、まずあなたの症状や病歴を丁寧に聴きます。そのうえで、血液検査や尿検査を用いて副腎ホルモンの量を測り、画像検査で副腎の形を確認するのが基本的な流れです。
行われる可能性のある検査
- 血液検査:コルチゾールやACTH(副腎皮質刺激ホルモン)、ナトリウムやカリウムなどの電解質を調べます
- 尿検査:尿に含まれるホルモンの量を調べます(24時間の尿をためる場合もあります)
- CT検査・MRI検査:副腎の腫瘍や大きさ、形の異常を確認します
- 負荷試験:ホルモンの反応を調べるために、検査薬を使って副腎の働きを確認することがあります
診察で予想されること
検査は外来で行われることが多く、特別な入院はほとんど必要ありません。結果によっては、内分泌内科(ホルモンの専門医)を紹介されることもあります。
治療
治療の目的は、不足しているホルモンを補い、余分なホルモンの働きを抑えることです。副腎の病気の種類と原因、症状の程度によって治療方針が決まります。
自宅でのセルフケア
- 処方された薬は医師の指示どおりに、毎日欠かさず飲む
- 体調が良くなっても、自分で薬をやめたり量を変えたりしない
- 急な発熱・嘔吐・けがのときは、早めに医療機関に連絡する
- 緊急時に備えて、かかりつけ医への連絡方法を確認しておく
医療治療
ホルモンが不足している場合は、不足したホルモンを補うお薬で治療します。ホルモンが過剰な場合は、ホルモンの働きを抑えるお薬や、過剰なホルモンの産生を抑えるお薬を使用します。薬の種類や量は、血中のホルモン値や症状に合わせて医師が個別に決めます。急な体調不良に備えて使うお薬についても、医師や薬剤師から説明があります。
手術が検討される場合
副腎に腫瘍がある場合や、薬だけでは十分にコントロールできない場合には、手術で腫瘍や副腎を取り除くことがあります。
この病気と共に生きる
副腎の病気は、長く付き合っていくことが多い病気です。しかし、きちんと治療を続ければ、日常生活のほとんどを家族や友人と同じように過ごせるようになります。定期的な通院と、毎日の体調管理が大きな支えになります。
生活習慣のアドバイス
- ストレスをため込まず、睡眠をしっかりとる
- 発熱や下痢、けが、強いストレスをきっかけに体調が急変しやすいことを覚えておく
- 旅行や運動、手術・歯科治療の前には、かかりつけ医に事前に相談する
- 災害や急病に備えて、飲んでいる薬と診断の情報をメモしておき、常に携帯する
食事と運動
多くの場合、特別な食事制限はありません。バランスのよい食事と、無理のない範囲の運動をこまめに続けることが大切です。血圧や電解質のバランスによっては、塩分の調整が必要になることがあるため、医師の指示に従ってください。
精神的健康と心の健康
いつも通りの力が出ないなどの症状が続くと、気持ちが沈みがちになることもあります。しかし、治療がうまくいけば症状は確実に改善します。不安やつらさがあるときは、我慢せずに医師や看護師、薬剤師にも相談してください。
予防
副腎の病気そのものを完全に予防する方法はありません。ただし、ステロイド薬を安全に使うこと、気になる症状を早めに伝えること、健康診断を定期的に受けることなどで、重症化を防いだり、見つけやすくしたりすることができます。
ワクチン
副腎の病気を直接予防するワクチンはありません。ただし、感染症がきっかけで体調が悪くなることがあるため、インフルエンザや肺炎球菌など、一般的な予防接種は医師と相談して受けることが勧められます。
検診プログラム
日本では、生まれた赤ちゃんを対象にした新生児マススクリーニングの一つとして、先天性副腎過形成を検査する仕組みがあります。これにより、赤ちゃんのうちから治療を始めることができます。
合併症
治療しない場合
- 副腎クリーゼ(急性副腎不全)という、血圧が極端に下がる危険な状態を起こすことがあります
- 重度の脱水や電解質(塩分・カリウムなど)の異常が起こります
- 長く放置すると、命にかかわることもあります
長期的な見通し
副腎の病気は、正しく診断され、継続的に治療を受ければ、多くの場合、症状は改善し、日常生活をほぼ普通に送れるようになります。長い付き合いになることもありますが、無理せず治療を続けることで十分にコントロールできます。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。