心筋症(しんきんしょう)について知っておきたいこと
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
心筋症(しんきんしょう)は、心臓の筋肉(心筋)に異常が起こり、心臓が十分な血液を全身に送り出せなくなる病気です。心臓の大きさや厚さ、硬さが変わり、ポンプの働きが弱くなります。
重要な事実
- 心筋症は心臓の筋肉自体の病気で、冠動脈(心臓に血液を送る血管)の問題とは異なります。
- 遺伝するタイプもあり、家族歴が重要な手がかりになります。
- 治療により症状を和らげ、心臓の機能を保つことができます。
心筋症はまれな病気ではありませんが、多くの人は症状があまりなく、気づかないまま生活していることもあります。正確な患者数は把握しきれていませんが、1000人に数人程度と推定されています。
心筋症は年齢を問わず発症しますが、特に40~50代で診断されることが多く、子どもや高齢者にもみられます。男性は女性よりやや多い傾向があります。
症状
- 胸の強い痛みや圧迫感が続く(すぐに119番へ電話してください)
- 安静にしていても息苦しい(すぐに119番へ電話してください)
- 意識を失った(すぐに119番へ電話してください)
- 脈が極端に速い・乱れて、めまいや失神をともなう(すぐに119番へ電話してください)
- 冷や汗や吐き気をともなう胸の痛み(すぐに119番へ電話してください)
- ⚠むくみが急に増えた(同日中に医療機関を受診しましょう)
- ⚠めまいがくり返す(できるだけ早く受診しましょう)
- ⚠動悸が強くなった(できるだけ早く受診しましょう)
- ⚠階段や坂道で以前よりも息切れがする(早めに受診しましょう)
- ⚠胸の違和感が治らない(早めに受診しましょう)
一般的な症状
- 息切れ(特に運動時や横になったとき)
- 疲れやすさ
- 足や足首のむくみ
- 動悸(心臓がドキドキする)
- めまいや失神
- 胸の痛みや圧迫感
子供の症状
- 哺乳や食事がうまくできない
- 体重増加がみられない
- 激しく泣くと息苦しそうになる
- 顔色が悪い
- 意識を失うような失神
高齢者の症状
- 息切れや疲労感が目立つ
- むくみが増える
- 日常生活の動作が遅くなる
- 混乱やぼんやりする様子がみられる
- 転倒しやすくなる
原因
主な原因
- 遺伝子の異常(家族性)
- 長期間の高血圧
- 心臓発作(心筋梗塞)の後の心筋の変化
- ウイルス感染による心筋炎
- アルコールの飲みすぎや薬物
- がん治療の一部の薬や放射線が心臓に与える影響
- 原因が特定できない特発性のもの
リスク要因
- 家族に心筋症や突然死をした人がいる
- 脂質異常症
- アルコール多飲
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 息切れ、胸の痛み、失神など、心筋症を疑う症状が現れたら、すぐに医療機関を受診しましょう。
定期受診を予約すべき場合:
- 家族に心筋症の人がいる場合は、症状がなくても検診を受けるようにしましょう。
- 心臓病の持病があり、症状が変化した場合は、受診しましょう。
- 日常生活に支障をきたすような症状がある場合は、受診しましょう。
診断
心筋症の診断では、まず医師が症状や家族歴を詳しく聞き、聴診器で心音を確認します。その後に心臓の状態を詳しく調べるための検査を行います。
行われる可能性のある検査
- 心電図(心臓の電気的な活動をみる検査)
- 心エコー図(超音波で心臓の動きや形をみる検査)
- 胸部X線検査(心臓の大きさや肺の状態を確認する検査)
- 心臓MRI(心筋の状態を詳しく調べる検査)
- 血液検査(心臓に負担がかかっていないか、BNPなどの値で確認する検査)
- 遺伝子検査(家族性の場合に行われることがあります)
診察で予想されること
検査は、外来でできるものがほとんどで、痛みを伴うものは多くありません。結果によっては、心臓の専門医(循環器内科)を紹介され、より詳しい検査や治療方針が決められます。
治療
心筋症の治療は、症状を和らげ、心臓の働きを保ち、合併症を防ぐことを目指します。原因やタイプによって治療の内容が異なるため、専門医とよく相談して進めることが大切です。
自宅でのセルフケア
- 塩分を控える
- 体重を毎日測り、急な増加に注意する
- 禁煙をする
- アルコールは控えめにする
- 医師に相談して無理のない範囲で運動を行う
- ストレスをためないようにする
医療治療
薬物治療では、心臓の負担を減らす薬(降圧薬など)、余分な水分を尿として排出する薬(利尿薬)、血液が固まりにくくする薬(抗凝固薬)、不整脈を抑える薬などが使われます。いずれも必ず医師の指示に従ってください。
手術が検討される場合
進行した心筋症では、ペースメーカーや植え込み型除細動器(ICD)などの医療機器を体内に入れる治療や、心臓移植などの外科手術が検討されることがあります。手術が必要かどうかは、心臓の状態や症状の程度によって専門医が判断します。
この病気と共に生きる
心筋症は長く付き合う病気ですが、治療を続けながら日常生活を送ることができます。定期的な通院と指示された薬の服用を続け、体調の変化に耳を傾けることが大切です。
生活習慣のアドバイス
- 通院と薬の内服を自己中断しない
- 毎日体重・血圧を記録する
- 感染症予防のため、手洗いやうがいを心がける
- 十分な睡眠をとる
- 旅行の際は、飛行機や長時間の移動について医師に相談する
食事と運動
食事は、野菜や果物、魚を中心としたバランスのよい食事を心がけ、塩分(1日6g未満が目安とされています。厚生労働省の日本人の食事摂取基準に基づきます)と水分の取りすぎに注意します。運動は、ウォーキングなどの有酸素運動が勧められますが、強度や時間は医師と相談して決めましょう。
精神的健康と心の健康
慢性の病気と向き合うことは、不安やストレスにつながることがあります。落ち込みが続く、眠れない、興味がわかないなどの症状があれば、一人で抱え込まずに医師や看護師、心の健康の専門家に相談しましょう。
予防
遺伝性の心筋症は完全に予防することはできませんが、高血圧や糖尿病など生活習慣によるリスクを管理することで、発症を遅らせたり、悪化を防いだりできることがあります。
ワクチン
インフルエンザや肺炎球菌などの感染症は、心臓に負担をかけることがあります。ワクチン接種を検討する際は、かかりつけ医に相談しましょう。
検診プログラム
家族に心筋症の人がいる場合は、症状がなくても定期的に心臓の検査を受けることが勧められます。遺伝子検査については、遺伝カウンセリングとあわせて専門医の説明を受けましょう。
合併症
治療しない場合
- 心不全(心臓のポンプ機能が低下し、全身に血液を送れなくなる状態)
- 不整脈(特に危険な心室頻拍・心室細動)
- 血栓による脳梗塞や肺塞栓症
- 心臓突然死
長期的な見通し
心筋症と診断されても、多くの人は適切な治療を続け、普通に近い生活を送ることができます。医学の進歩により、治療の選択肢は増えています。希望をもって、医療チームと一緒に長く付き合っていくことが大切です。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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