首の動脈のこぶ~頭蓋外頚動脈瘤~
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
頭蓋外頚動脈瘤(ずがいがいけいどうみゃくりゅう)とは、首の中にある太い動脈(総頚動脈や内頚動脈)の壁が一部弱くなって、風船のように膨らんでしまう病気です。この動脈は心臓から脳へ血液を送る大切な道なので、ここに瘤(こぶ)ができると、血液のかたまり(血栓)が飛んで脳の血管を詰まらせることがあります。ごくまれな病気ですが、早く見つけて管理することが大切です。
重要な事実
- 首の動脈の壁が弱くなり、風船のように膨らむ病気です。
- 多くは動脈硬化(血管が硬く弱くなること)が原因です。
- 症状がないこともありますが、気づいたら医療機関で相談することが大切です。
- 脳卒中(脳の血管が詰まったり破れたりする病気)のリスクを高めることがあります。
非常にまれな病気です。首の動脈にできる瘤は、全動脈瘤の中でもごく一部にすぎません。
主に中高年に多く見られますが、事故やけが、血管の生まれつきの弱さなどがある場合は、若い人にも起こることがあります。
症状
- 顔が片側だけゆがむ、片方の手足に力が入らない、言葉がしゃべりにくいなど、脳卒中の強い症状
- 突然、片目が見えなくなる、視野が欠ける
- 首のしこりが急に大きくなる、または激しい痛みや出血がある
- 激しい頭痛に伴って首の痛みがある
- ⚠首に新しくドクドクするしこりを触れる
- ⚠声のかすれや飲み込みにくさが続く
- ⚠一時的な手足のしびれや脱力、ふらつきを繰り返す
- ⚠頸動脈瘤と診断されており、症状が変化した
一般的な症状
- 症状がないこともあります。
- 首にドクドクと拍動するしこりを触れることがあります。
- 首やあご、耳のあたりに痛みや違和感を感じることがあります。
- 声がかすれる、飲み込みにくいといった症状が出ることがあります。
- めまいやふらつき、片方の手足のしびれ・脱力など、脳への血流が少なくなる症状が出ることがあります。
子供の症状
- 子どもでは、首のしこりに気づくことがきっかけになることがあります。
- 頭痛やけいれん、言葉のもつれなど、突然の神経症状が現れることもあります(この場合は緊急です)。
- 首の痛みや腫れを訴えることもあります。
高齢者の症状
- 高齢者では動脈硬化が進んでいることが多く、症状が出ないまま見つかることがあります。
- 物忘れや認知機能の変化のように見える症状が出る場合もあり、注意が必要です。
- 血圧の変化や服薬の影響で、症状が変わりやすいことがあります。
原因
主な原因
- 動脈硬化(血管に脂質がたまり、壁が硬くもろくなること)
- 首や血管へのけが(外傷)
- 細菌やウイルスによる血管の炎症(感染性動脈瘤)
- 生まれつきの結合組織の弱さ(血管を作る組織の病気)
- 過去の首への放射線治療や手術の影響
リスク要因
- 高血圧(血圧が高い状態)
- 脂質異常症(血液中の脂肪が多い状態)
- 動脈瘤の家族歴
- 首の外傷の経験
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 首にドクドクするしこりを触れる場合
- 脳卒中のような症状が一過性でもあった場合
- 声のかすれや飲み込みにくさが急に出た場合
定期受診を予約すべき場合:
- 健康診断などで血管の異常を指摘された場合
- 首の違和感やしこりが続く場合
- 動脈瘤の治療後の定期通院
診断
問診と診察(首の触診や聴診)を行ったあと、画像検査で確定診断します。
行われる可能性のある検査
- 超音波(エコー)検査:首の動脈の形や血流の様子を調べる、痛みのない検査です。
- CT(コンピューター断層撮影)検査:血管の形を詳しくくっきりと写します。
- MRI(磁気共鳴画像)検査:放射線を使わずに、血管や周囲の組織を詳しく調べます。
- 血管造影検査:カテーテルという細い管を使って、より詳しく血管の中を調べる検査です(必要な場合)。
診察で予想されること
これらの検査は外来で行われることが多く、入院が必要な場合でも比較的短時間で終わります。検査結果に基づいて、治療が必要かどうか、どのような方法がよいかを医師が説明します。
治療
治療の目的は、瘤が大きくなるのを防ぎ、脳梗塞(脳の血管が詰まる病気)や瘤の破裂を防ぐことです。瘤の大きさや形、症状の有無、全体の健康状態によって、治療方針を選びます。
自宅でのセルフケア
- 血圧を高くしないように生活を整えましょう(塩分を控えめに、適度な運動を)。
- 禁煙をしましょう。
- 定期的に医師の診察を受け、画像検査で経過を見守りましょう。
- 急に力む動作や、首を強く捻る動作は避けましょう。
医療治療
薬物治療では、血栓ができないようにする抗血小板薬(血液を固まりにくくする薬)などが使われることがあります。ただし、どの薬を使うかは、患者さんの状態やリスクを考慮して医師が慎重に決めます。また、血圧やコレステロールをコントロールする薬を飲んでいる場合は、それを継続することが大切です。
手術が検討される場合
瘤が大きい、症状がある、脳梗塞のリスクが高いなどの場合には、手術やカテーテルによる治療(ステントグラフト治療など)が検討されます。瘤を切り取って人工血管に置き換える方法や、血管の中から金属の筒を入れて瘤を遮断する方法などがあります。
この病気と共に生きる
診断後は、経過を見守るための定期的な検査と、動脈硬化を進めない生活習慣を続けることが中心になります。瘤の状態によっては、激しいスポーツや重い物を持つ作業を制限されることがあります。医師の指示に従いましょう。
生活習慣のアドバイス
- 血圧を定期的に測りましょう。
- 禁煙をしましょう。
- 飲酒はほどほどにしましょう。
- ストレスをためすぎないように、リラックスする時間をつくりましょう。
食事と運動
野菜や魚を中心としたバランスのよい食事を心がけ、塩分と脂肪を控えめにしましょう。ウォーキングなど、負担のかかりすぎない有酸素運動を、医師と相談しながら続けることが推奨されます。
精神的健康と心の健康
血管の病気と診断されると、「いつ破裂するだろう」「脳卒中になったらどうしよう」と不安や恐怖を感じるのは自然なことです。そうした気持ちを一人で抱え込まず、家族や医療スタッフに話してみてください。必要に応じて、心の健康の専門家につなぐこともできます。
予防
高血圧や脂質異常症、糖尿病、喫煙といったリスクをコントロールすることで、動脈硬化の進行を防ぎ、頸動脈瘤の発生や悪化を減らせる可能性があります。
ワクチン
この病気に特別な予防接種はありませんが、感染が原因となる動脈瘤を防ぐためにも、日常的な感染予防を心がけましょう。
検診プログラム
一般的な健康診断では頸動脈瘤を調べることは多くありませんが、家族歴がある場合や、ほかの血管の病気を指摘された場合は、医師に相談して定期的な検査を受けることができます。
合併症
治療しない場合
- 脳梗塞(脳の血管が詰まる病気)を起こすことがあります。
- 瘤が大きくなって周りの神経や組織を圧迫し、声のかすれや飲み込みにくさが悪化することがあります。
- まれに瘤が破れて、大きな出血を起こすことがあります。
- 瘤の中に血液のかたまりができて、それが飛ぶことで症状が出ることがあります。
長期的な見通し
適切な治療とフォローアップを受けることで、多くの場合、良好な経過が期待できます。無症状で小さな瘤は、定期的な検査で経過を見守るだけで安定することがあります。治療が必要な場合も、手術やカテーテル治療の技術は進歩しており、しっかり相談して納得のいく治療を選ぶことが大切です。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。