頸動脈狭窄症(頸動脈疾患)について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
頸動脈は、首の左右にある脳へ血液を送る大切な血管です。頸動脈狭窄症は、この血管の内側にコレステロールのかたまり(プラーク)がたまり、血管が細くなったり詰まりかけたりする病気です。脳への血流が減ると、脳卒中(脳の血管が詰まったり破れたりする病気)のリスクが高まります。
重要な事実
- 初期には自覚症状がないことが多く、健康診断で偶然見つかることもあります。
- 脳卒中の重要な原因のひとつで、早期発見・早期対策が大切です。
- 生活習慣の改善と治療によって、脳卒中のリスクを大きく下げられます。
日本では、加齢とともに増える病気です。高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病と深く関わり、厚生労働省の特定健診・保健指導もこうしたリスクの早期発見を目的としています。自覚症状がないまま進行することも多いため、脳卒中になって初めて気づく人も少なくありません。
多くは65歳以上の中高年に見られます。男性にやや多いですが、女性や若い方でも、高血圧や糖尿病などのリスクがあれば発症することがあります。
症状
- 顔の片側が下がる、力が入らない
- 片方の腕や足に力が入らない、しびれる
- 言葉が話せない、相手の話が理解できない
- 突然の強い頭痛、意識が遠くなる
- 片方の目が見えにくい、物が二重に見える
- ⚠同じ症状が数分から数十分で消えた場合(一過性脳虚血発作の可能性)は、すぐに医療機関を受診してください。
- ⚠めまいやふらつきを繰り返す、転びやすいといった症状がある場合も、早めの受診を検討しましょう。
一般的な症状
- 初期には多くの場合、自覚症状がありません。
- 脳への血流が一時的に減ると、片方の手足が動かしにくい、しびれるといった症状があらわれることがあります(一過性脳虚血発作)。
- 片側の顔がゆがむ、言葉がうまく話せない、相手の言葉が理解できないなどの症状が現れることもあります。
- 片方の目が一時的に見えにくくなる(黒い幕が下りたように感じる)ことがあります。
子供の症状
- 子どもでは非常にまれな病気です。先天的な血管の異常や、血管の炎症などが原因となることもありますが、通常の動脈硬化が原因となることはほとんどありません。
高齢者の症状
- 高齢者では、めまいやふらつき、物忘れなどの症状を自覚することがありますが、加齢による変化と区別しにくいことがあります。
- 突然起こる片側の麻痺や言葉の障害は脳卒中のサインです。注意して見守りましょう。
原因
主な原因
- 動脈硬化(血管の壁が硬くなり、コレステロールや脂質のかたまりが血管内にたまる状態)が最も一般的な原因です。
- 血管の炎症、けがによる血管の損傷、首への放射線治療の影響などが原因となることもあります。
リスク要因
- 脂質異常症(悪玉コレステロールの増加)
- 運動不足
- 家族に脳卒中や心筋梗塞を起こした人がいる
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 突然、顔・手足の麻痺、言葉の障害、視力の異常が現れた場合は、すぐに119番で救急車を呼んでください。
- 一時的でも、半身麻痺や言葉が話せないなどの症状が出た場合は、脳卒中の前触れかもしれません。急いで医療機関を受診しましょう。
定期受診を予約すべき場合:
- 健康診断で頸動脈のエコー検査などで狭窄を指摘された場合は、医療機関で詳しい検査を受けましょう。
- 高血圧、糖尿病、脂質異常症と診断されている方、喫煙習慣や脳卒中の家族歴がある方は、かかりつけ医に相談することをおすすめします。
診断
まず問診で、症状や持病、生活習慣などのリスクを確認します。その後、聴診器で首の血管の音を聞いたり、画像検査を行って血管の狭窄の程度や血流を調べます。
行われる可能性のある検査
- 頸動脈エコー(超音波検査)
- CT検査(コンピューター断層撮影)
- MRI検査(磁気共鳴画像)
- 血液検査(コレステロールや血糖値など)
- 脳血管造影検査(造影剤を使って血管を詳しく見る検査)
診察で予想されること
検査は外来で行われることが多く、痛みや体への負担が少ないものがほとんどです。検査当日の安静や食事制限が必要になる場合もありますが、医師や看護師が詳しく説明します。検査結果に基づいて、今後の方針を医師と一緒に決めましょう。
治療
治療の主な目的は、脳卒中を予防することです。狭窄の程度や症状、全身の状態に応じて、生活習慣の改善、薬物療法、手術などの方法を組み合わせて行います。治療方針については、担当医が患者さんと相談したうえで決めます。
自宅でのセルフケア
- 禁煙を続ける
- 血圧を定期的に測り、医師の指示に従って管理する
- 偏った食事を改善する(塩分・脂質・糖分のとりすぎに注意)
- 無理のない範囲で運動習慣を取り入れる
- ストレスをため込まない
医療治療
薬物療法では、血液を固まりにくくして血栓を予防する薬、血圧を下げる薬、悪玉コレステロールを下げる薬などが用いられることがあります。いずれの薬も医師の処方と管理の下で使用されます。薬の名前や効果、副作用について不明な点は、医師または薬剤師に相談しましょう。
手術が検討される場合
狭窄が強い場合や、症状がある場合、脳卒中のリスクが高いと判断された場合には、頸動脈内膜剥離術(血管を切開してプラークを取り除く手術)や、頸動脈ステント留置術(カテーテルで血管を広げて網目の筒を留置する治療)が検討されることがあります。手術の適応については、脳神経外科や血管外科の専門医が詳しく説明します。
この病気と共に生きる
頸動脈狭窄は、無症状のまま進行することがあるため、定期的に医療機関で検査を受けることが何より大切です。脳卒中のような急な症状に備えて、家族に症状や連絡先を伝えておきましょう。血圧計を家庭に用意し、毎日測定するのも役立ちます。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙を継続する
- 飲酒は適量にとどめる(できれば医師に確認する)
- 十分な睡眠と休養をとる
- ストレスを減らし、趣味やリラックスできる時間を大切にする
- かかりつけ医や専門医に定期的に通う
食事と運動
1日の塩分を控えめにし、野菜や果物、魚、大豆製品を積極的に取り入れましょう。肉の脂身やバターなどの飽和脂肪酸、清涼飲料水やお菓子などの糖分を多く含む食品は控えめにします。運動は、医師の許可を得たうえで、散歩や水中歩行などの有酸素運動を、1日30分程度、週に3〜5回行うことが推奨されます。ただし、自分の体力に合わせて無理をしないことが大切です。
精神的健康と心の健康
脳卒中への不安から、気分の落ち込みや眠れないなどの症状が現れることがあります。そうしたときは、自分を責めず、家族や友人に気持ちを話したり、かかりつけ医や地域の相談窓口を頼りましょう。必要に応じて、心の専門家(臨床心理士や精神科医)につながることも治療の一部です。
予防
動脈硬化の進行を遅らせることで、頸動脈狭窄の予防が期待できます。具体的には、血圧・血糖・コレステロールを適切に管理し、禁煙・適度な運動・バランスのよい食事などの健康的な生活習慣を続けることが重要です。
ワクチン
感染症の中には、心筋梗塞や脳卒中の引き金になるものがあります。特に高齢者や持病がある方は、インフルエンザなどのワクチン接種をかかりつけ医と相談してみましょう。
検診プログラム
健康診断や人間ドックでは、頸動脈エコーを追加できる場合があります。高血圧、糖尿病、脂質異常症がある方、喫煙者、家族に脳卒中が多い方などは、定期健診の際に医師へ相談するとよいでしょう。
合併症
治療しない場合
- 脳卒中(特に脳梗塞)を起こすリスクが高まります。
- 脳卒中が起きると、片側の麻痺、言葉の障害、認知機能の低下、うつなどの後遺症が残ることがあります。
長期的な見通し
頸動脈狭窄は、脳卒中を起こす前の段階で見つかれば、治療と生活改善によってそのリスクを大きく減らせます。無症状でも経過観察が必要ですが、適切に対応すれば、多くの方が普段どおりの生活を続けられます。あきらめずに、医師と一緒に長い目で向き合いましょう。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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