頚動脈解離・椎骨動脈解離とは
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
首の動脈には、脳に血液を送る「頚動脈」と、脳の後ろのほうに血液を送る「椎骨動脈」があります。動脈の壁は、内側・中側・外側の3つの層からできていますが、何らかの原因で壁に裂け目ができて、血液が壁の中に入り込んでしまうことを「動脈解離」といいます。これにより血管が狭くなったり、血の塊(血栓)ができて脳の血管を詰まらせたり、まれに血管が破れてしまうこともあります。
重要な事実
- 動脈解離は、首や頭に激しい痛みを引き起こすことがあります。
- 脳梗塞(のうこうそく)の原因のひとつで、特に若い世代では注意が必要です。
- 早期に治療すれば、回復できる可能性が高い病気です。
頚動脈解離や椎骨動脈解離は、あまり一般的な病気ではありません。全脳卒中の約2〜3%程度とされていますが、若い人や中年の人の脳卒中では割合が高くなります。
どの年齢でも起こり得ますが、特に30代から50代の働き盛りに多く見られます。男女差はあまりありませんが、やや男性に多いという報告があります。
症状
- 突然の激しい頭痛が起こった
- 顔の片側が下がる、手足の力が入らない
- 言葉が話せない、ろれつが回らない
- 片方の目が見えない、物が二重に見える
- 激しい首の痛みとともに強いめまいがする
- ⚠数日続く新しい首や頭の痛みがある
- ⚠軽いふらつきや違和感が続く
- ⚠首を動かすと痛みが強くなる
一般的な症状
- 片側の首やこめかみに激しい痛みやずきずきする痛みが出る
- 突然の強い頭痛
- 目の前がかすむ、物が二重に見えるなどの視覚の異常
- 顔や手足のしびれ・麻痺
- 言葉が話しにくい、相手の言葉が理解できない
- めまいやふらつき
子供の症状
- 子どもでは、首の痛みや頭痛に加えて、顔の片側が動かない、歩きにくいなどの症状に気づくことがあります。
- 風邪や首のけがの後に起こることもあるため、注意が必要です。
高齢者の症状
- 高齢者では、首や頭の痛みを感じにくいこともあります。突然のふらつきやろれつが回らないなど、脳卒中の症状に注意が必要です。
原因
主な原因
- 首への外傷(交通事故、スポーツでの接触など)
- むち打ちなど首を強くねじる・曲げる動作
- カイロプラクティックなどの首の施術
- 結合組織の弱さなど生まれつきの要因
- 原因がはっきりしないもの(特発性)も多い
リスク要因
- 結合組織疾患(マルファン症候群など)の病歴
- 最近の感染症(風邪など)
- 経口避妊薬の使用(女性の場合)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 突然の強い頭痛や首の痛みがある
- 顔や手足の麻痺、言葉の障害、視力の異常など脳卒中のサインがある
定期受診を予約すべき場合:
- 気になる首や頭の痛みが続く場合
- 頸部の違和感があるが、緊急性は感じない場合
診断
医師が問診と神経診察を行った上で、画像検査(CT・MRIなど)で血管の状態を確認します。
行われる可能性のある検査
- 頭部CT検査(脳出血や脳梗塞の有無を確認)
- MRI検査 / MRA(脳の血管の状態を詳しく見る検査)
- 頚部の超音波(エコー)検査
- 血管造影検査(カテーテルや画像を使って血管を詳細に調べる検査)
診察で予想されること
診断のための検査は、多くは痛みを伴わず、外来や入院で行われます。検査結果が出るまでにかかる時間は、医療機関によって異なります。医師からは、症状や生活状況について詳しく質問されることがあります。
治療
治療の目的は、血管がこれ以上裂けないようにし、血栓ができて脳梗塞になるのを防ぐことにあります。多くの場合は薬物治療と安静で経過を見ますが、重症度によっては入院や手術が必要なこともあります。
自宅でのセルフケア
- 医師が指示するまで安静を保つ
- 頭を下にしたり、首を強くひねる動作を避ける
- 激しい運動や重量物の持ち上げを避ける
- 排便時に強くいきまない(便秘にならないように水分をとる)
医療治療
治療には、血液が固まりにくくする薬(抗血小板薬や抗凝固薬)が使われることが一般的です。また、痛みや血圧をコントロールする薬も併用されることがあります。具体的な薬の種類や量は、状態や原因によって医師が適切に決めます。
手術が検討される場合
血管が非常に狭くなっている、血の塊が大きい、出血のリスクが高いなどの場合には、カテーテルによる血管内治療や手術(ステント留置術やバイパス術など)が検討されることがあります。
この病気と共に生きる
回復後は、日常生活に戻れることが多いですが、定期的に医療機関へ通院し、画像検査で血管の状態をフォローすることが必要です。急な頭痛や神経症状が出た場合はすぐに受診してください。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙を心がける
- 血圧を高くしないように生活する(減塩など)
- 急激な首の動きを避ける
- 十分な睡眠と休養をとる
- ストレスをためない
食事と運動
バランスの良い食事を心がけ、塩分はひかえめにしましょう。運動は、医師の許可があるまでは激しいものを避け、ウォーキングなどの軽い運動から始めるとよいです。運動の種類や強さについては主治医に相談してください。
精神的健康と心の健康
「また再発するのでは」という不安や、症状の後遺症に対する心配があるかもしれません。気持ちがつらいときは、一人で抱えず、家族や友人に話すことも大切です。専門のカウンセリングや支援サービスを利用する方法もあります。
予防
動脈解離のすべてを予防することはできませんが、高血圧をしっかり治療すること、喫煙をやめること、首に強い衝撃を与えるような危険な動作を避けることで、リスクを下げることができます。
検診プログラム
特定の集団に対する定期的なスクリーニングは推奨されていません。ただし、結合組織疾患などリスクの高い病気がある場合は、定期的に医師の診察を受けることが大切です。
合併症
治療しない場合
- 脳梗塞(血栓が脳の血管を詰まらせる)
- くも膜下出血や脳出血(血管が破れる)
- 視力障害や言語・運動機能の後遺症
- まれに生命に関わることもあります
長期的な見通し
早期に診断・治療された場合、多くの人は大きく回復することができます。後遺症が残るかどうかは、発症の重症度や治療のタイミングによります。医師の指示に従い、前向きに治療を続けることが大切です。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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