慢性静脈不全(CVI)とは? — 足の血液の流れが悪くなる病気
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
慢性静脈不全(CVI)は、足の静脈の血液を心臓に戻す働きが十分でなくなり、血液が足にたまりやすい状態をいいます。放置すると足のむくみや痛み、皮膚の変化を起こすことがあります。
重要な事実
- 足の静脈の「弁」と呼ばれる逆流防止の仕組みがうまく働かないために発症します。
- 早期に適切なケアを始めれば、症状の進行を抑え、日常生活への影響を小さくできます。
- 立ち仕事や座り仕事、妊娠、肥満などが関わることがあります。
比較的多く見られる病気で、調査によっては成人の数人から10人に1人程度に症状があるともいわれています。
女性、高齢者、立ち仕事や長く座ったままの仕事をしている人、妊娠経験のある人に多く見られます。
症状
- 突然、足が激しく腫れて痛む場合(血栓症など、緊急性の高い病気の可能性があります)
- 急な胸の痛み、息苦しさ、意識がもうろうとする場合(肺に血栓が飛ぶ可能性があります)
- 足の色が突然青白くなったり、冷たくなったりした場合
- これらの症状がある場合は、ためらわずに119番(救急要請)に連絡してください。
- ⚠足の皮膚の傷から膿が出る、赤く腫れて熱を持つ、発熱がある(感染の可能性)
- ⚠足の潰瘍が急に広がる、痛みが強くなる
一般的な症状
- 足やふくらはぎのむくみ(夕方にひどくなることがあります)
- 足が重い、だるい、疲れた感じ
- むずむずする感覚や、夜のこむらがえり(足がつる)
- 足の表面の静脈が浮き出て見える(静脈瘤)
- 足のむくみに伴う痛みやかゆみ
- 長く立っていると悪化する足のつらい感じ
子供の症状
- 子どもではまれですが、生まれつき静脈の形に問題がある場合、足のむくみや血管の膨らみが目立つことがあります。気になる場合は小児科か、かかりつけ医に相談しましょう。
高齢者の症状
- 皮膚が赤茶色っぽく黒ずむ、皮膚が硬くかゆくなる、湿疹のような変化が現れやすい
- ちょっとしたことで治りにくい皮膚の潰瘍(傷が治らない)ができることがあります。
原因
主な原因
- 静脈の中にある「弁」の働きが弱くなり、血液が逆流して足にたまる
- 深部静脈に血栓ができた既往がある(以前、足の静脈に血の塊ができたことがある)
- 長時間の立ちっぱなしや座りっぱなしで、ふくらはぎの筋肉のポンプ作用が低下する
リスク要因
- 年齢(加齢により静脈や弁が弱くなる)
- 女性、特に妊娠や出産の経験
- 家族に同じ症状の人がいる
- 肥満(体重が増えると足の静脈に負担がかかる)
- 長時間の立ち仕事・座位での仕事
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 足の腫れが急に大きくなり、強い痛みをともなう
- 足の皮膚の傷が治らず、膿が出たり熱を持ったりする
- 息苦しさ、胸の痛み、血の塊が飛んだような症状がある(この場合は救急車を呼んでください)
定期受診を予約すべき場合:
- 足のむくみや重さ、だるさが続く
- 静脈が浮き出て、痛みやかゆみがある
- 足の皮膚の色が変わってきた、硬くなってきた
診断
医師が問診と視診・触診を行い、必要に応じて足の静脈の血流を調べる超音波検査(エコー)を行います。これにより逆流の場所や程度を評価します。
行われる可能性のある検査
- 身体診察(足の見た目・触診、血管の確認)
- 超音波検査(血流と静脈弁の働きを評価する検査)
- 必要に応じて、足を上げた状態や下ろした状態での観察
診察で予想されること
診察は外来で行われることが多く、特別な準備はほとんど必要ありません。超音波検査では、足にゼリーを塗り、専用の機械(プローブ)を当てて血流を確認します。検査自体は静かで短時間です。
治療
治療の基本は、症状の重症度に合わせて、生活習慣の改善、圧迫療法、薬物療法、そして場合によっては手術や専門的な処置を組み合わせることです。まずは医師に相談し、自分に合った治療方針を決めましょう。
自宅でのセルフケア
- 足を心臓より高い位置に上げて休む(1日数回、15〜30分程度)
- 長時間座るときは、足を組まず、時々立ち上がって歩く
- 弾性ストッキング(圧迫ストッキング)を医師や看護師の指導のもとで正しく使用する
- 体重を適正に保つ
- 禁煙する(血流や血管に悪影響を与えるため)
医療治療
医師からは、血管や血流の状態を改善する目的で薬が処方されることがあります。また、圧迫療法(弾性ストッキングなどによる治療)が基本です。薬の名称や使い方は医師の指示に従い、自己判断で使用しないでください。
手術が検討される場合
皮膚潰瘍が治らない、静脈瘤が強い痛みや出血を起こすなど、重症の場合には、静脈の治療(血管内治療や手術)が検討されます。手術が必要かどうかは、専門医(血管外科医)による評価を受けて決まります。
この病気と共に生きる
慢性の症状は、うまく付き合いながら生活することが大切です。むくみが気になるときは、足を上げて休む習慣を取り入れましょう。座り仕事の合間には、足首を回す・歩くなどふくらはぎの筋肉を動かすようにしましょう。
生活習慣のアドバイス
- 足を動かすことを意識した生活(こまめに歩く、階段を使う)
- 弾性ストッキングを毎日使う習慣をつける
- 就寝時や休憩時に、足を上げてリラックスする時間を作る
- 健康診断や検診を活用し、体重や血圧などの管理を続ける
食事と運動
塩分を摂りすぎるとむくみに影響することがあります。漬物や加工食品は控えめに。野菜・果物・魚などを中心としたバランスのよい食事を心がけ、ウォーキングや水泳などの有酸素運動を、痛みのない範囲で続けましょう。
精神的健康と心の健康
足の不快な症状が続くと、イライラしたり、気分が沈んだりすることもあります。つらい気持ちは無理に隠さず、家族や友人、医師や看護師に相談してください。
予防
完全に防ぐことはできなくても、症状の悪化や再発を抑えることは十分可能です。長時間同じ姿勢を避け、足を動かすこと、体重の管理をすることが大切です。
合併症
治療しない場合
- 皮膚の色が黒ずみ、硬く帯状に変化することがあります(脂肪皮膚硬化症)
- 静脈瘤が大きくなり、痛みや出血をともなうことがある
- 治りにくい潰瘍(静脈性潰瘍)が足の内くるぶし付近にできる
- 深部静脈血栓症(静脈の中に血の塊ができる病気)のリスクが高まる
長期的な見通し
慢性静脈不全は、あきらめずに治療を続ければ、多くの場合、症状は改善し、悪化を防ぐことができます。早めに医療機関に相談し、生活習慣の改善や必要な治療を続けることで、快適な生活を取り戻すことができます。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。