冠動脈疾患(心臓の血管が狭くなる病気)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
冠動脈疾患とは、心臓に血液を送る血管(冠動脈)が狭くなったり、詰まったりする病気です。原因の多くは、血管の内側にコレステロールなどの脂肪分がたまって血管が硬くなったり細くなったりすること(動脈硬化)です。その結果、心臓が必要な血液と酸素を受け取れず、胸の痛みや息切れが起こります。
重要な事実
- 日本の主な死因の一つで、適切な治療と生活習慣の改善で予防や進行を防ぐことができます。
- 典型的な症状は胸の圧迫感や痛みですが、人によってはまったく症状がないこともあります。
- 喫煙・高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病との関連が強い病気です。
とても身近な病気です。心臓病の中では最も一般的なものの一つで、日本では40代以上を中心に多くの方がこの病気と共に生活しています。
中年以降の男性と、閉経後の女性に多く見られます。また、喫煙習慣がある方、高血圧・糖尿病・脂質異常症を持つ方、肥満の方、家族に心臓病の方がいる方は、リスクが高くなります。近年は若い世代でも増えています。
症状
- 安静にしていても続く強い胸の痛みや圧迫感が5分以上続く
- 胸の痛みに加えて、腕・あご・背中に広がる痛みがある
- 突然の強い息苦しさ、冷や汗、吐き気、めまい、意識が遠くなる感じ
- これらの症状があれば、ためらわずにすぐ119番に連絡してください。
- ⚠動いたときや階段で胸が痛む、圧迫感がある(数分で治まる場合も要注意)
- ⚠今までより胸痛の頻度が増えたり、長くなったりしている
- ⚠横になっても息苦しい、急に動悸がする
- ⚠その場合は、当日または翌日中に医療機関に連絡しましょう。
一般的な症状
- 胸の中央や左胸の痛み、圧迫感、締め付けられる感じ
- 痛みが腕や肩、あご、背中に広がる
- 動くと息切れがする、疲れやすい
- めまい、冷や汗、吐き気
原因
主な原因
- 動脈硬化:コレステロールや脂肪が血管の壁にたまり、血管が硬く狭くなる
- 血管のけいれん:ストレスや喫煙などで冠動脈が一時的に縮む
- 血のかたまり:できたプラーク(脂肪の塊)が破れて、血栓が血管をふさぐ
リスク要因
- 脂質異常症(悪玉コレステロールの高値)
- 肥満・メタボリックシンドローム
- 運動不足
- 塩分や脂肪の多い食生活
- 過度の飲酒
- 家族歴(両親・兄弟姉妹に心臓病の人がいる)
- ストレス
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 動いたときの胸の痛みや圧迫感が最近始まった、または増えている
- 夜寝ているときに胸が苦しくて目が覚める
- 血圧が高いままなかなか下がらない
- かかりつけ医に相談しましょう。緊急性が高ければその場で119番を案内されます。
定期受診を予約すべき場合:
- 40歳を過ぎたら年に一度は健康診断を受ける
- 高血圧・糖尿病・脂質異常症と診断されたら、治療を続ける
- 胸の違和感や動悸が気になる場合は、健康診断を待たずに受診する
診断
診察では、医師が詳しい症状や病歴、生活習慣について質問します。そのうえで心電図や血液検査、画像検査を使って、心臓の血管の状態を調べます。
行われる可能性のある検査
- 血液検査:コレステロール値や血糖値、心筋の負担を調べる
- 安静時心電図:心臓のリズムや血液の流れ方の異常を確認
- 運動負荷心電図:トレッドミルやサイクリングで心臓に負荷をかけて調べる
- 心エコー(心臓超音波検査):心臓の形や動きを確認
- 冠動脈CT:造影剤を使って冠動脈の石灰化や狭窄を詳しく見る
- 冠動脈造影検査:カテーテルを使って直接冠動脈に造影剤を流し、狭窄の場所や程度を確定する
診察で予想されること
最初は問診と簡単な検査で、慌てる必要はありません。検査の緊張や器具はありますが、多くの検査は外来で受けられます。結果がすべて出るまで数日かかることもありますが、医師が結果をていねいに説明して、無理のない治療プランを一緒に考えてくれます。
治療
治療の目的は、症状を和らげること、動脈硬化の進行を抑えること、心筋梗塞や心不全などの重い合併症を防ぐことです。軽症なら生活習慣の見直しで十分なこともあります。重症の場合は薬に加えて、カテーテル治療や手術を検討します。
自宅でのセルフケア
- 禁煙(家庭内の受動喫煙にも注意)
- 減塩・バランスのよい食事
- ウォーキングなど、医師にすすめられた範囲で定期的に体を動かす
- ストレスをためない時間を作る
- 体重を健康的な範囲に保つ
- 処方された薬を自己判断で止めない
医療治療
お薬には、血管を広げる薬、血圧を下げる薬、コレステロールを下げる薬、血液を固まりにくくする薬などがあり、症状や全身の状態に合わせて処方されます。医師は薬の名前や飲み方、注意点をきちんと説明してくれます。これらで十分に症状が改善しない場合は、狭くなった血管を広げるカテーテル治療(風船や網状のパイプを使う方法)や、狭くなった部分を迂回して血液の流れを確保するバイパス手術が検討されます。具体的な治療法は、狭窄の場所や本数、年齢、持病などを考慮して、医師とよく話し合って決めます。
手術が検討される場合
薬での治療で症状が落ち着かない、狭くなる場所が多い、重症の心不全などがある場合は、カテーテル治療や冠動脈バイパス手術がすすめられることがあります。どちらも入院が必要ですが、体への負担や回復の速さが異なるため、医師の説明を聞いて自分に合った選択を検討しましょう。
この病気と共に生きる
冠動脈疾患は一度診断されたら、長く付き合うこともある病気です。しかし、正確に理解して正しくケアを続ければ、生活の質を保ちながら過ごせます。医師の指示通りに薬を飲み、定期的に通院し、無理のない範囲で仕事や趣味を楽しみましょう。旅行や飛行機なども、主治医の許可が出れば可能なことが多いです。ただし、胸の痛みが出たときのために、受診の方法や対処の仕方を医師に確認しておきましょう。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙を継続する
- 飲酒は医師と相談した量まで
- 毎日の食事は野菜・魚・大豆食品を意識する
- 運動は「歩く」など、症状が出ない強度から始める
- 睡眠時間を確保し、疲れをためない
- ストレス解消の方法を身につける
食事と運動
食事は、塩分(1日6g未満を目標)と脂肪を控え、野菜・果物・全粒穀物・魚を中心とした日本型食生活が基本です。油はオリーブ油やごま油など質のよいものを適量に。運動は、主治医と相談のうえ、毎日30分程度のウォーキングから始めるのが安心です。体調や症状に合わせて、医師や管理栄養士と具体的な計画を立てましょう。
精神的健康と心の健康
心臓の病気と診断されると、「また胸が痛むのでは」という不安や、「自分はもうだめだ」という気持ちになることがあります。これは自然なことですが、ストレスは心臓に負担をかけます。気持ちがつらいとき、夜眠れないとき、自分を傷つけたい気持ちがわいたときは、ひとりで抱え込まずに、かかりつけ医や心療内科、精神科、相談機関に助けを求めてください。信頼できる人に話すだけでも気持ちが楽になることがあります。緊急時は119番をためらわずに。
予防
完全に防ぐことはできませんが、進行を抑え、発症するリスクを大きく下げることは可能です。特に禁煙・減塩・適度な運動・肥満解消は効果が高く、健康的な生活習慣を続けることが最大の予防です。
ワクチン
インフルエンザや肺炎などの感染症は、心臓に大きな負担をかけることがあります。心臓の病気を持つ方は、かかりつけ医と予防接種について相談することをおすすめします。
検診プログラム
健康診断で血圧・血糖・コレステロール値を測定しましょう。特に40歳を過ぎた方やリスクの高い方は、定期的な検査が早期発見につながります。すでに胸の症状がある人は、健康診断を待たずに受診してください。
合併症
治療しない場合
- 心筋梗塞(血管が完全に詰まり、心筋が壊死する)
- 心不全(心臓のポンプ機能が低下し、息切れやむくみが現れる)
- 不整脈(脈が乱れ、ときに危険な状態になる)
- 狭心症の悪化(発作の頻度や強さが増す)
長期的な見通し
命に関わる病気ですが、適切な治療と生活管理を行えば、多くの人はその後も元気に日常生活を送れます。心臓の状態は定期的にチェックしながら、少しずつ運動強度を上げることで体力も戻ります。あきらめずに、医師と一緒に長い目で付き合っていきましょう。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
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