家族性大腸腺腫症(FAP)とは?
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
家族性大腸腺腫症(FAP)は、大腸にたくさんのポリープ(小さなイボのようなできもの)ができる遺伝性の病気です。放っておくと大腸がんになるリスクがとても高くなります。ポリープは思春期ごろからでき始めることが多く、早くから定期的な検査と治療を行うことが大切です。
重要な事実
- 大腸の中に、数十個から数千個ものポリープができることがあります。
- 大半の患者さんでは、放置すると40代までに大腸がんに進行するといわれています。
- 遺伝子検査で原因が見つかることがあり、家族にも同じ病気の人がいる場合があります。
まれな病気で、およそ7000人から22000人に1人の割合で見られます。
男女を問わず発症します。ポリープは多くの場合10代から現れ始め、がんのリスクは年齢とともに高くなります。
症状
- 大量の下血が止まらない
- 突然の激しい腹痛に襲われる
- 便がまったく出ず、お腹が張り詰めて痛む(腸閉塞の可能性)
- ⚠便に血や粘液が続けて混じる
- ⚠原因不明の貧血や体重減少がある
- ⚠腹痛や下痢が長く続く
一般的な症状
- 便に血が混じる(血便)
- 下痢や便秘を繰り返す
- お腹の痛みや張り
- 貧血で疲れやすくなる
- 便が細くなったり、残便感がある
原因
主な原因
- APC遺伝子という、細胞の増殖を抑える遺伝子の変異が原因です。
- この変異は親から子へ受け継がれることが多いですが、約3割の人は家族歴がなく自分で新しく変異が生じます。
リスク要因
- 家族に家族性大腸腺腫症や若いころの大腸がんの人がいる
- 親や兄弟姉妹にFAPと診断された人がいる
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 血便や激しい腹痛がある
- 原因不明の体重減少や貧血が続く
- お腹が張って痛み、ガスや便が出ない
定期受診を予約すべき場合:
- 家族にFAPや若いころの大腸がんの人がいる場合は、症状がなくても早めに受診しましょう。
- かかりつけ医に相談し、消化器内科や遺伝子診療科を紹介してもらうのがよいでしょう。
診断
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)でポリープの数や特徴を確認したうえで、遺伝子検査(血液検査)で確定診断されることが多いです。症状や家族歴から診断に至る場合もあります。
行われる可能性のある検査
- 大腸内視鏡検査(大腸カメラ)
- 上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)
- 遺伝子検査(血液検査)
- 腹部のCTやMRIなどの画像検査
診察で予想されること
大腸内視鏡検査は少し不快に感じることがありますが、鎮静剤を使うことで苦痛を減らせます。検査前に医師から十分な説明がありますので、不安なことは遠慮なく質問してください。遺伝子検査の結果は家族にも関わるため、遺伝カウンセリングを受けながら進めることもあります。
治療
治療の中心は、大腸がんになる前にポリープや大腸をどのように管理するかを考えることです。内視鏡でポリープを切除する方法や、大腸を切除する手術があり、患者さんの状態や年齢に合わせて医師と相談しながら進めます。
自宅でのセルフケア
- 決められた間隔で、専門医による定期的な大腸検査を受ける
- 血便の有無や腹痛などの体調の変化を記録しておく
- 家族歴や不安なことを医師に伝える
- 禁煙し、適度な運動を続ける
医療治療
ポリープの増殖を抑えるお薬が使われることもありますが、すべてのポリープをなくすわけではありません。あくまでも補助的な治療です。お薬の種類や量はそれぞれの状態に合わせて医師が決定しますので、自己判断で中止したり、ほかの人からもらったりしないでください。必ず医師の指示に従いましょう。
手術が検討される場合
ポリープが非常に多く、内視鏡で取り切れない場合や、がんを疑う所見がある場合は、大腸を切除する手術が検討されます。手術を受ける時期や方法は、年齢や社会生活を考慮して、医師と十分に話し合って決めることが大切です。
この病気と共に生きる
FAPは長く付き合う病気ですが、定期的な検診と治療を続けることで、がんのリスクを大幅に減らせます。無理をせず、普段どおりの生活を送りながら、体調の変化に注意して過ごしましょう。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙をしましょう(喫煙はポリープの発生やがん化のリスクを高めます)
- 週に数回、30分程度の軽い運動(歩く、自転車など)を心がけましょう
- 十分な睡眠とリラックスする時間を取り、ストレスをためないようにしましょう
食事と運動
バランスのよい食事が基本です。野菜や果物、食物繊維を積極的にとり、赤肉や加工肉はとりすぎないことがすすめられます。特定の食品でがんを防げるわけではありませんが、体調を整えるために役立ちます。運動は腸の働きを助け、気分転換にもなります。
精神的健康と心の健康
遺伝性のがんのリスクを抱えることは、大きな不安やストレスになるのは自然なことです。一人で抱え込まず、家族や医療者に気持ちを話してください。気分の落ち込みや眠れない日が続く場合は、心の健康の専門家に相談しましょう。また、今すぐつらいときは、いのちの電話などの相談窓口を利用することもできます。
予防
遺伝子の変異そのものを防ぐことはできませんが、定期的な検査でポリープを早期に見つけて取り除くことで、大腸がんの発症を予防する、または発症を遅らせることができます。
検診プログラム
家族性大腸腺腫症の家系がわかっている場合は、思春期ごろから大腸内視鏡検査を定期的に受けることがすすめられています。厚生労働省もがん検診の重要性を伝えています。症状がなくても、医師と相談して検査計画を立てましょう。
合併症
治療しない場合
- 大腸がんに進行するリスクが非常に高い
- 大腸が詰まる(大腸閉塞)
- ポリープからの大出血で重度の貧血になる
- 胃や十二指腸にポリープができ、がん化することがある
長期的な見通し
定期的な検査と適切な治療を行えば、大腸がんになるリスクを大幅に下げることができます。診断後も、学校や仕事を続けながら治療している人は大勢います。希望を持って、医療チームと一緒にこの病気と向き合っていきましょう。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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