膠芽腫(こうがしゅ)――患者さんとご家族のための基礎知識
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
膠芽腫は、脳の中にできるがん(悪性の腫瘍)の一種です。脳の神経細胞を支える「グリア細胞」という細胞から発生します。進行が速いため、早く見つけて治療をすることが大切です。
重要な事実
- 脳のがんのなかでは、最も多く見られるタイプのひとつです。
- 発生原因ははっきりわかっておらず、予防方法はまだ見つかっていません。
- 治療は手術・放射線治療・薬による治療(化学療法)を組み合わせて行います。
日本では、人口10万人あたり年間およそ2~3人が発症するとされています。脳腫瘍全体から見ると頻度は高くありませんが、悪性脳腫瘍のなかでは比較的よく見られる病気です。
大人に多く、特に50歳以上の方に多く見られます。子どもに発症することはまれですが、子どもにも起こることがあります。
症状
- 突然、意識を失う
- 激しい頭痛があり、止まらないおう吐がある
- けいれん発作が5分以上続く、または発作が止まらない
- 片方の手足が急に動かせなくなる
- 言葉が突然話せなくなる
- ⚠何日も続く頭痛があり、吐き気を伴う
- ⚠視力が急に落ちた、または視野の一部が欠けて見える
- ⚠言葉がもつれる、または理解しにくい
- ⚠体の片側の力がいつもより弱い
- ⚠初めてけいれん発作を起こした(すぐに医療機関へ相談する)
一般的な症状
- 頭痛(特に朝方や体を動かしたときに強くなることが多い)
- 吐き気や嘔吐
- 視力の低下や物が二重に見える
- 体の片側のしびれや力が入りにくい
- 言葉が出にくい、相手の話が理解しにくい
- けいれん発作
- 性格や行動の変化
子供の症状
- 頭が大きく見える、頭囲が大きくなる
- 機嫌が悪い、ぐずる
- 成長や発達の遅れ
- 歩き方がふらつく
高齢者の症状
- ぼんやりすることが増える
- 物忘れが目立つ
- 体の動きがゆっくりになる
- めまいやふらつき
原因
主な原因
- 現在の医学では、膠芽腫ができる正確な原因はわかっていません。遺伝子の変化が関わっていると考えられていますが、多くの場合は特定のきっかけや原因がないまま発生します。
リスク要因
- 高齢(特に50歳以上)
- まれに遺伝性の病気が関わることがある
- 過去に頭部への放射線治療を受けたことがある
- 男性にやや多いという報告がある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 数週間続く頭痛(特に朝に強い)
- 吐き気やおう吐を伴う頭痛
- けいれん発作を起こした
- 言葉がうまく話せない、または理解できない
- 体の片側に力が入らない
定期受診を予約すべき場合:
- 物忘れが増えてきた
- 時々めまいがする
- 体がだるい、気分が晴れない
診断
膠芽腫の診断には、まず神経の診察(問診や神経学的テスト)を行い、その後、画像検査で脳の状態を調べます。確定診断には、手術で腫瘍の一部を取って顕微鏡で調べる「生検」または「摘出」が必要です。
行われる可能性のある検査
- 神経学的診察:手足の力、感覚、視力、言葉、反射などを確認します
- MRI(磁気共鳴画像)検査:腫瘍の位置や大きさを詳しく調べます
- CT(コンピューター断層撮影)検査
- PET(陽電子放射断層撮影)検査:必要に応じて行います
- 生検(組織診):腫瘍の一部を採取してがん細胞の種類を見極めます
診察で予想されること
診断の流れは、かかりつけ医から脳神経外科や脳神経内科のある専門医療機関へ紹介されることが多いです。検査当日から結果が出るまで、通常は数日から1週間ほどかかります。不安なときは、主治医にわからないことを質問し、治療の選択肢について十分に話し合ってください。
治療
膠芽腫の治療は、主に手術、放射線治療、薬による治療(化学療法)の3つを組み合わせた集学的治療を行います。治療の目標は、腫瘍をできる限り取り除き、がんの進行を抑えるとともに、生活の質(QOL)を保つことです。また、症状を和らげる対症療法も合わせて行われます。
自宅でのセルフケア
- 治療中は主治医の指示に従い、無理をしない
- 頭痛や吐き気が出たら、遠慮なく医療者に伝える
- 十分な休養と睡眠をとる
- 家族や友人に頼り、一人で抱え込まない
医療治療
手術で可能な限り腫瘍を切除します。その後、放射線治療と、がん細胞の増殖を抑える薬を用いた化学療法を行うのが標準的な考え方です。薬の種類や組み合わせは患者さんの状態によって異なり、医師や薬剤師が詳しく説明します。また、症状に応じて、むくみを抑える薬や抗けいれん薬などが使われることがありますが、必ず医師の指示に従ってください。
手術が検討される場合
手術は、腫瘍の位置や大きさ、患者さんの全身状態によって行うかどうかが決まります。脳の重要な機能を守るために、手術が難しい場合もあります。その場合は放射線治療や薬による治療を中心に行います。
この病気と共に生きる
膠芽腫の治療とその後の生活は、ご本人だけでなくご家族にとっても大変な時期です。生活リズムを整え、疲れたときは休むことを優先してください。必要なときは、訪問看護やリハビリテーション、生活相談などの支援を利用できます。地域のがん相談支援センターでは、医療・生活・仕事に関する相談を無料で行っています。
生活習慣のアドバイス
- 規則正しい生活を心がける
- 強いストレスを長く続けない
- 十分な睡眠をとる
- 趣味やリラックスできる時間を持つ
- 仕事や家事の調整について職場や家族に相談する
食事と運動
食事はバランスよく、タンパク質や野菜、果物を十分に取りましょう。食欲がないときは、少量を何回かに分けて食べるとよいでしょう。運動は、医師の許可があれば、散歩など無理のない範囲で行ってください。リハビリ専門のスタッフが運動の計画を立ててくれることもあります。
精神的健康と心の健康
がんの診断や治療は、大きな不安や悲しみをもたらします。気分の落ち込み、怒り、孤独感など、感じ方は人それぞれです。感情を無理に抑え込まず、家族や医療者に気持ちを伝えましょう。つらいときは、ためらわずに心理士や精神科医を含む専門家に相談してください。緊急の危機にあるときは、地域の精神保健福祉センターや相談窓口に連絡し、生命の危険がある場合は119番や救急外来を利用してください。
予防
現時点では、膠芽腫を確実に予防する方法は見つかっていません。規則正しい生活やバランスの良い食事など健康的な生活習慣がリスクを下げる可能性はありますが、科学的に証明はされていません。
ワクチン
この病気に対する予防ワクチンはありません。
検診プログラム
一般的な健康診断では、膠芽腫の検診は行われていません。定期的な脳ドック(脳の健康診断)を受けることは、腫瘍を早期発見する可能性を高めますが、脳ドックが膠芽腫の死亡率を下げることを示す明確な証拠はありません。ご自分の症状や家族歴が気になる場合は、医師に相談して検討してください。
合併症
治療しない場合
- 腫瘍が大きくなり、脳が圧迫されて意識障害が進む
- けいれん発作が悪化する
- 麻痺や言葉の障害が固定する
- 最悪の場合、命に関わる
長期的な見通し
膠芽腫は進行が速く、現在の治療でも完治が難しい病気です。しかし、手術や放射線治療、薬による治療を適切に組み合わせることで、症状を和らげ、生存期間を延ばすことができます。治療成績は年々向上しており、新しい治療法の研究も進んでいます。一人ひとりの状態に合わせた治療を医師と一緒に決め、希望を持って治療を続けることが大切です。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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