虚血性心筋症について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
虚血性心筋症は、心臓に血液を送る冠動脈(かんどうみゃく)が狭くなったり詰まったりして、心臓の筋肉に十分な酸素や栄養が届かず、心臓のポンプの力が弱くなる病気です。その結果、全身に十分な血液を送り出せなくなり、息切れやむくみなどの心不全の症状があらわれます。
重要な事実
- 心筋梗塞の後に起こることが多い病気です。
- 高血圧や糖尿病などの生活習慣病が深く関係しています。
- 薬物療法と生活習慣の改善で、進行を遅らせることができます。
虚血性心筋症は、心不全の原因の中で最も多いものの一つとされています。日本では心筋梗塞の患者さんが増えていることに伴い、この病気と診断される方も少なくありません。
主に高齢者に多く見られますが、若い方でも、心筋梗塞を起こしたことがある方や、冠動脈の病気を持っている方に起こることがあります。男性にやや多いとされています。
症状
- 胸の強い痛みや圧迫感が15分以上続く
- 突然の激しい息苦しさで呼吸ができない
- 意識がもうろうとしている、または意識を失いかけた
- 冷や汗を伴う顔色の青白さ
- 突然の動悸に加えてめまいや失神がある
- ⚠息切れが普段よりも明らかに悪化した
- ⚠むくみが急に増えた
- ⚠横になると息苦しくなり、座らないと眠れない
- ⚠動悸が長く続く、または止まらない
- ⚠血圧が普段より低く、ふらつく
一般的な症状
- 息切れ(階段や少し歩いただけで息が切れる)
- 疲れやすさや体のだるさ
- 足首や脚のむくみ
- 動悸(心臓がドキドキする)
- 胸の痛みや圧迫感(狭心症のように感じられることもあります)
- 夜、横になると咳や息苦しさが出る
原因
主な原因
- 冠動脈の動脈硬化(血管が硬くなり、内側にコレステロールなどがたまって狭くなる)
- 心筋梗塞の既往(心筋が壊死した後に傷跡になり、心臓の収縮力が低下する)
- 冠動脈のけいれん(血管が急に縮むことで血流が途絶える)
リスク要因
- 脂質異常症(悪玉コレステロールが多い状態)
- 運動不足
- 過度なストレス
- 家族に心臓病や脳卒中がある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 胸の激しい痛みや圧迫感がある
- 呼吸が苦しくて動けない
- 意識がおかしい、または失神した
- 冷や汗を伴う強い症状がある
定期受診を予約すべき場合:
- 息切れやむくみが続く、またはしばしば起こる
- 高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病がある
- 心筋梗塞を起こしたことがある、または家族歴がある
- 定期的に心臓の検査を受けたい
診断
医師は問診と聴診を行ったうえで、血液検査や心電図、心臓の超音波検査(心エコー)などを行い、心臓の構造や機能、血流の状態を詳しく調べます。診断を確定するために、冠動脈造影(かんどうみゃくぞうえい)などの検査が行われることもあります。
行われる可能性のある検査
- 心電図(安静時、場合によっては負荷をかけた状態)
- 心エコー(超音波で心臓の動きやポンプ機能を調べる)
- 胸部X線(心臓の大きさや肺のうっ血を確認)
- 血液検査(心不全のマーカーや腎機能、電解質を調べる)
- 心臓MRI(心筋の状態を詳しく調べる)
- 冠動脈CT(血管の狭窄を調べる)
- 冠動脈造影(カテーテルを血管に入れて直接血流を確認する)
診察で予想されること
検査は外来で行えるものが多く、入院が必要な精密検査もあります。痛みや造影剤による副作用が起こる可能性がありますが、医師や看護師が詳しく説明し、安全を確認しながら進められます。検査は数十分から1時間程度で終わることがほとんどです。
治療
治療の目標は、心臓への負担を減らし、血液の流れを良くし、心臓のポンプ機能を補うことです。薬物療法、食事や運動などの生活習慣の改善に加えて、状態によってはカテーテル治療や手術が行われます。治療は長期にわたることが多いですが、医師と相談しながら進めます。
自宅でのセルフケア
- 塩分を控え、バランスの良い食事を心がける
- 毎日体重を測り、急な増加に注意する
- 水分の取りすぎに注意する(医師の指示に従う)
- 禁煙し、お酒は控える
- 無理のない範囲で体を動かす(医師や理学療法士の指導を受ける)
- ストレスをためない、十分な休養をとる
医療治療
薬物療法では、血圧を下げる薬、心臓の働きを助ける薬、体の余分な水分を除去してむくみを取る薬などが、患者さんの状態に合わせて組み合わせて使われます。具体的な薬の種類や量は医師が個別に決めます。市販薬を自己判断で追加したり、他の薬を併用したりするときは、必ず医師や薬剤師に相談してください。
手術が検討される場合
冠動脈の狭窄が強い場合には、風船のようなカテーテルで広げる治療(経皮的冠動脈インターベンション)や、冠動脈バイパス術が検討されることがあります。また、心臓のポンプ機能が著しく低下している場合には、体内に植え込む除細動器や、心臓の拍動を同期させる治療器(心臓再同期療法)が行われることもあります。
この病気と共に生きる
毎日の生活では、自分の体調に耳を傾け、無理をしすぎないことが大切です。体重や血圧、症状を記録し、悪化のサインが見られたら早めに医療機関に相談してください。心臓リハビリテーションには、運動だけでなく生活習慣の見直しや心理的なサポートも含まれます。
生活習慣のアドバイス
- 塩分は1日6g未満を目標にする(可能な範囲で医師と相談)
- 野菜や果物、魚を多くとり、脂肪分を控える
- 禁煙する
- お酒は控えめにする
- 十分な睡眠と休養をとる
- 体重を毎日同じ条件で測る(決まった時間に、食事の前など)
食事と運動
食事は、塩分を控え、野菜・果物・魚を中心としたバランスの良いものを意識しましょう。運動は、ウォーキングなど有酸素運動を無理のない範囲で行います。心臓リハビリテーションの専門家の指導を受けると、安全に続けられます。運動中に胸痛や息切れが強くなったら、すぐに中止して休み、必要なら医療機関に連絡しましょう。
精神的健康と心の健康
慢性の心臓病は、不安や抑うつ気分を引き起こすことがあります。「自分は病気になってしまった」と悲観的になるのも自然なことです。気持ちのつらさを家族や友人、医療者に話し、必要に応じて心のケアの専門家に相談することも大切です。無理に我慢せず、助けを求めてください。
予防
動脈硬化を予防することで、虚血性心筋症のリスクを下げることができます。健康的な食事、禁煙、適度な運動、ストレス管理、持病のコントロールが基本です。すでに診断されている方でも、治療をきちんと続ければ、悪化を防ぎ、生活の質を維持できます。
ワクチン
インフルエンザや肺炎などの感染症は心臓に強い負担をかけるため、予防接種を受けることが勧められます。かかりつけ医に相談し、自分に合ったワクチンについて確認しましょう。
検診プログラム
定期的な健康診断で、血圧、血糖、コレステロール値をチェックすることが大切です。心臓に不安のある方は、かかりつけ医や循環器内科を受診し、必要に応じて心電図や心エコーなどの検査を受けることをおすすめします。
合併症
治療しない場合
- 心不全の進行(息切れやむくみが強くなる)
- 不整脈(心房細動や心室頻拍など)
- 心臓突然死のリスク
- 心筋梗塞の再発
長期的な見通し
虚血性心筋症は、長い付き合いとなる病気ですが、適切な治療を続け、生活習慣を改善することで、多くの方が安定した状態を保ち、充実した日常を送ることができます。悪化を恐れすぎず、医療チームと一緒に一歩ずつ進んでいきましょう。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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