メイ・ターナー症候群
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
メイ・ターナー症候群は、右足の付け根を通る動脈(右腸骨動脈)が、左足の付け根を通る静脈(左腸骨静脈)を上から圧迫してしまい、左足の血流が滞りやすくなる体の特徴です。多くの場合は無症状ですが、血栓(血のかたまり)ができやすくなることがあります。
重要な事実
- 骨盤の中で右の動脈が左の静脈を圧迫するため、左足に症状が出やすいのが特徴です。
- 女性に多く、特に20〜40歳代で見つかることが多いです。
- 左足だけにむくみや痛みがある場合は、この症候群の可能性を考えます。
珍しい病気ではありません。症状が出る人と出ない人がいますが、深部静脈血栓症(DVT)の原因のひとつとして広く知られています。
主に若い女性(20〜40歳)に多く見られますが、男性や小児でも報告があります。妊娠中や経口避妊薬(ピル)を服用中の方はリスクが高まる可能性があります。
症状
- 脚が急に激しく腫れて、強い痛みがある
- 突然の息苦しさ、胸の痛み、動悸(肺に血栓が飛ぶ危険な状態の可能性)
- 立ち上がれないほどの痛みや脚の冷感がある
- ⚠脚の腫れや痛みがひどくなってきた
- ⚠発熱を伴う脚の腫れがある
- ⚠片側だけに強いむくみや色の変化がある
一般的な症状
- 左脚のむくみ(腫れ)
- 左脚の重だるさや痛み
- 立ちっぱなしや歩くときに悪化する左脚の疲れ
原因
主な原因
- 先天的(生まれつき)な血管の位置や形の違いによって起こります。
- 右の動脈が左の静脈を圧迫することで血流が滞ります。
リスク要因
- 女性(特に20〜40歳代)
- 妊娠・出産
- 経口避妊薬(ピル)の使用
- 長時間の座位(デスクワークや長距離運転)
- 血液が固まりやすい体質
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 急に片足が腫れて痛む場合
- 胸の痛み、息苦しさ、血痰が出る場合(肺血栓塞栓症の可能性)
定期受診を予約すべき場合:
- なんとなく左脚にむくみやだるさを感じる場合
- 立ち仕事の後に片足だけ疲れる場合
診断
医師は問診と触診を行い、脚の腫れや痛みの程度を確認します。必要に応じて画像検査を行います。
行われる可能性のある検査
- 超音波検査(エコー):脚の血流をリアルタイムで確認する最も一般的な検査です。
- CT(コンピューター断層撮影)検査:血管の圧迫の程度を詳しく見られます。
- MRI(磁気共鳴画像)検査:造影剤を使わずに血管を評価できます。
- 静脈造影検査:造影剤を入れて血管の流れをX線で観察する検査です。
診察で予想されること
検査は外来で受けることが多く、特に痛みを伴うものではありません。結果が出るまでの間も、医師は症状をやわらげるためのアドバイスをしてくれます。
治療
治療の目標は、血栓ができないようにすることと、血栓ができた場合はその拡大を防ぐことです。症状がない場合は経過観察になることもあります。
自宅でのセルフケア
- 弾性ストッキング(圧迫ストッキング)を医師の指示に従って着用する
- 長時間同じ姿勢を避け、こまめに足を動かす
- 水分を十分にとり、脱水を防ぐ
- 足を心臓より高い位置に上げて休む(特にむくみが気になる時)
医療治療
薬による治療としては、血液を固まりにくくする薬(抗凝固薬)を使うことがあります。また、血管内に細い管を入れて風船で広げたり、金属の網(ステント)を留置して血流を確保する低侵襲な治療法もあります。これらの治療を検討するかどうかは、専門医が画像所見や症状の程度に基づいて判断します。なお、血管内治療は従来の手術に比べて体への負担が少ないのが特徴です。
手術が検討される場合
カテーテル治療(ステント留置など)で改善しない場合や、血栓が広範囲に及ぶ場合は、外科的な手術が必要になることがあります。しかし、最近ではほとんどの場合カテーテル治療が選択されます。
この病気と共に生きる
多くの場合、圧迫ストッキングの着用と生活習慣の工夫で症状をコントロールできます。定期的に医師の診察を受け、再発のサインに注意しましょう。
生活習慣のアドバイス
- 日常的に適度な運動(ウォーキングなど)を行う
- 体重を適正に保つ
- 長時間の座位や立位を避け、休憩時に足を動かす
- 禁煙を心がける(喫煙は血栓のリスクを高めます)
食事と運動
塩分を控えめにし、バランスの良い食事を心がけましょう。むくみがある場合は特に塩分(ナトリウム)を控えることが役立ちます。運動は、血流を改善するためにウォーキングや水泳などの有酸素運動が適しています。無理のない範囲で続けることが大切です。
精神的健康と心の健康
慢性のむくみや痛みは、日常生活に不安やストレスを感じさせることがあります。このような症状は自分だけのせいではありません。悩みを一人で抱えず、医師や家族、友人に話すことが大切です。
予防
先天的な血管の形が原因のため、完全に予防することはできません。しかし、血栓症のリスクを減らす生活習慣を実践することは可能です。
ワクチン
メイ・ターナー症候群に対するワクチンはありません。ただし、インフルエンザなどの予防接種を受けることで、感染症による血栓のリスクを間接的に減らすことができます。
検診プログラム
一般の人を対象にした特別な検診は推奨されていません。ただし、片足だけのむくみや痛みを繰り返す場合は、早めに医療機関を受診し、血管の評価を受けることが大切です。
合併症
治療しない場合
- 深部静脈血栓症(DVT):脚の深いところにある静脈に血栓ができる病気
- 肺塞栓症:血栓が肺に飛んで血流を塞ぎ、呼吸困難やショックを引き起こす危険な状態
- 血栓後症候群:治療が遅れると、むくみや痛み、皮膚の色素沈着が慢性化し、潰瘍ができることもあります。
長期的な見通し
メイ・ターナー症候群は、適切な診断と治療を行えば、多くの人が安心して日常生活を送れる病気です。血栓ができた場合でも、早期に治療を受ければ良好な経過が期待できます。専門医の指導をしっかり守り、焦らずに付き合っていきましょう。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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