転移性脳腫瘍(がんの脳への転移)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
転移性脳腫瘍とは、体のほかの場所にできたがん(原発がん)が血管やリンパ管を通って脳に広がり、そこでもうひとつの腫瘍(かたまり)を作ったものです。脳から最初に発生する「原発性脳腫瘍」とは異なります。
重要な事実
- 脳転移は肺がん、乳がん、大腸がん、悪性黒色腫(メラノーマ)などから起こりやすいです。
- 治療の目的は、腫瘍を小さくして症状をやわらげ、生活の質を保つことです。
- 転移性脳腫瘍は、原発性脳腫瘍よりも多く見られます。
はい、転移性脳腫瘍は原発性脳腫瘍より一般的です。がん治療の進歩により、がん自体を長くコントロールできる人が増えた一方で、脳転移が見つかる人も増えています。
多くはがん治療を受けている成人の方です。どの年代にも起こり得ますが、高齢者に多く見られます。お子さんにはごくまれです。
症状
- 突然の激しい頭痛
- けいれん発作が初めて起きた
- 顔や手足が急に動かせない、しびれる
- 言葉が突然出てこない、相手の話が理解できない
- 意識が遠くなる、呼びかけに反応しない
- ⚠いつもと違う新しい頭痛が続く
- ⚠何となく体の片側が動かしにくい
- ⚠物が二重に見える、見えにくい
- ⚠吐き気やおう吐が続く
一般的な症状
- 頭痛(特に朝方や吐き気を伴う)
- けいれん(発作)
- 片方の手足の力が入りにくい
- 言葉がうまく話せない
- 視力の変化
- ふらつきや平衡感覚の障害
- 物忘れや性格の変化
子供の症状
- 小児では非常にまれですが、頭痛、吐き気、嘔吐、歩き方の変化などが見られることがあります。
高齢者の症状
- 高齢者では、ぼんやりする、混乱する、記憶力の低下、体がだるい、などの症状が目立つことがあり、認知症と間違われやすいこともあります。
原因
主な原因
- 体のどこかのがん細胞が血液やリンパの流れに乗って脳に運ばれ、そこで増えて腫瘍を作ります。脳に転移しやすいがんには、肺がん、乳がん、悪性黒色腫(メラノーマ)、腎臓がん、大腸がんなどがあります。
リスク要因
- がんにかかったことがある(特に肺がん、乳がん、悪性黒色腫など)
- 進行したがんがある
- 免疫力が低下している
- 治療をしていてもがんがコントロールされていない
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- けいれん発作が起きた
- 突然、言葉が話せない、体が動かせない
- 激しい頭痛が突然始まった
- 意識がもうろうとしている
定期受診を予約すべき場合:
- がん治療中の方で、新しい頭痛、しびれ、物忘れなどがあれば、担当医に相談してください
- 定期的にがんの検査を受けているか確認しましょう
診断
転移性脳腫瘍の診断には、画像検査という体の中を撮影する検査が中心です。特にMRI(磁気を使った断層写真)が詳しくわかります。医師が問診や神経学的診察(手足の動きや反射、視野などを確認)を行い、必要に応じて検査をすすめます。
行われる可能性のある検査
- 神経学的診察
- 頭部MRI
- 頭部CT
- 場合によりPET検査や生検(組織の一部を取って調べる検査)
診察で予想されること
検査は痛みを伴わないものが多く、MRIやCTは横になって撮影するだけです。造影剤を使うこともあります。結果は数日から数週間後に説明されることが多いです。不安なことは医師や看護師に遠慮なく聞きましょう。
治療
転移性脳腫瘍の治療は、脳の腫瘍そのものへの治療と、元のがん(原発がん)への治療を組み合わせて行います。脳神経外科、腫瘍内科、放射線科などの専門家が集まって、あなたの状態に合わせて計画を立てます。目標は、腫瘍を縮小または安定させ、症状をやわらげ、これからも安心して日常を送れるようサポートすることです。
自宅でのセルフケア
- しっかり休息をとる
- 医師に相談してから行ける範囲で軽い運動
- 家族や友人に気持ちを話す
- 飲み物や食事を無理なく摂る
医療治療
治療法には、放射線治療(脳全体や腫瘍のある場所に放射線を当てる方法)、定位放射線治療(細かい放射線を高精度で当てる方法)、手術(腫瘍を直接取り除く方法)、抗がん剤治療や免疫療法(元の種類に応じて選ばれる)などがあります。また、脳の腫れをやわらげるためにステロイド薬が使われることもあります。どの治療が適しているかは、腫瘍の数や場所、元のがんの種類、全身の状態によって変わります。必ず担当医とよく相談してください。
手術が検討される場合
脳の腫瘍が1個だけで、安全に取り出せる場所にある場合は、手術が検討されることがあります。ただし、体の状態や元のがんの進行具合によっては、手術以外の治療が選ばれることもあります。
この病気と共に生きる
治療中は体調の変化に気をつけながら、無理のない範囲で生活を続けましょう。定期的な通院や画像検査を欠かさず、不安な症状があれば早めに医療者に相談することが大切です。
生活習慣のアドバイス
- 規則正しい生活を心がける
- 気分がよい時間に散歩や軽い体操をする
- 運転や高所など、体の状態によって危険な動作は避ける
- 必要なときは杖や補助具を利用する
食事と運動
食事は、できる範囲で栄養バランスよく食べましょう。むせたり飲み込みにくい場合は、食べやすい形状や温度にしてもらうと食べやすくなります。運動は、体力に合わせて無理なく続けることが大切です。どの程度の運動が安全か、医師に確認しましょう。
精神的健康と心の健康
がんの転移と聞くと、不安や恐怖、悲しみを感じるのは自然なことです。眠れない、気分が落ち込む、食欲が出ないなどの症状が続く場合は、一人で抱え込まずに医師や看護師に伝えてください。心理的なサポートや、痛みや気分をやわらげる緩和ケアも選択肢のひとつです。
予防
転移性脳腫瘍そのものを完全に予防する方法はありません。しかし、原発がんをきちんと治療し、定期的に検診や画像検査を受けて経過を見ることで、脳転移を早く見つけて早めに対処することができます。
検診プログラム
がんの種類や進行度によっては、定期的な頭部画像検査が行われることがあります。しかし、全てのがん患者さんに必要なわけではありません。担当医の指示に従いましょう。
合併症
治療しない場合
- 腫瘍が大きくなると脳の中の圧力が上がり、激しい頭痛や吐き気を起こす
- 神経の働きが損なわれ、麻痺や言葉の障害が進む
- けいれん発作が起きて、意識障害につながることもある
- まれに、脳の重要な部分が圧迫されて命にかかわることがある
長期的な見通し
転移性脳腫瘍の経過は人によって大きく異なります。元のがんの種類、脳転移の数や場所、全身の状態、治療への反応などによって変わります。最近の治療の進歩により、以前より長く良好な状態を保てる方も増えています。担当医に現在の状態と今後の見通しについて丁寧に説明してもらい、あなた自身が納得して治療を選ぶことが大切です。
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重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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