もやもや病(脳の血管が細くなる病気)について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
もやもや病は、脳の奥にある太い血管(内頚動脈の終わり)がだんだん細くなり、脳に十分な血液が送られなくなるまれな病気です。細くなったかわりに、脳の深いところに細い血管が網のように張り巡らされ、これがレントゲン写真で「もやもや」と見えることからこの名前がつきました。この状態になると、脳の血流が悪くなり、脳卒中(脳梗塞や脳出血)を起こしやすくなります。
重要な事実
- 脳の血管が細くなって血流が不足することで、脳卒中のような症状が突然出ることがあります。
- 進行を抑える治療や血流を改善する手術があり、早く見つければ適切な対応ができます。
- 原因はまだ完全には解明されていませんが、遺伝が関係することがあります。
もやもや病はまれな病気です。日本には約2万人の患者さんがいると推定されていますが、一般の人がかかる頻度は非常に低いです。
日本を含む東アジアに多く、特に日本人に多い病気です。子どもでは5~10歳ごろに、大人では30~50歳ごろに見られ、女性にやや多い傾向があります。
症状
- 突然、片側の手足が動かない、または力が入らない
- 突然、言葉が話せない、相手の言葉が理解できない
- 今までに経験したことのない激しい頭痛
- けいれん発作が止まらない、または意識が戻らない
- 目の前が真っ暗になる、物が二重に見える
- ⚠短時間の手足のしびれや脱力が何度も起こる
- ⚠数日続く強い頭痛
- ⚠めまいやふらつきが続く
- ⚠今までできていた簡単な動作がやりにくい
一般的な症状
- 一時的に体の片側に力が入らない(数分で治ることもあります)
- 言葉がうまく話せない、他の人の言葉が理解しにくい
- 激しい頭痛
- めまいやふらつき
- 手足のしびれ
- 意識を失う発作(けいれん)
子供の症状
- 泣いたり、大きな声を出したり、笛を吹いたりした後に、手足が動かなくなったり、言葉が出なくなったりする
- 風船をふくらませるなど、息を強くはく動作で症状が出ることがあります
- 発達の遅れや、集中力・記憶力の低下が見られることがあります
高齢者の症状
- 脳出血(血管が破れて出血する)を起こしやすく、突然の激しい頭痛や嘔吐、意識障害が現れることがあります
- 高血圧を合併していると、脳出血のリスクが高くなります
- 頭痛やめまいなど、はっきりしない症状だけのこともあります
原因
主な原因
- はっきりとした原因はまだわかっていませんが、脳の主要な血管(内頚動脈の一部)が狭くなることが起点になります。
- 特定の遺伝子の変化が関係している可能性があり、家族内で発生することがあります。
- ダウン症などの特定の病気に伴って起こることもあります。
リスク要因
- 家族にもやもや病の人がいる
- 日本人や東アジア人である
- 特定の遺伝性疾患を持っている
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 突然の麻痺や言葉の障害など、脳卒中の疑いがある症状が出た
定期受診を予約すべき場合:
- 繰り返す頭痛やめまい、短時間の手足のしびれがある
- 物忘れや集中力の低下が気になる
- 家族にもやもや病の人がいて、健康状態を確認したい
診断
もやもや病は、脳神経内科(脳の病気を専門にする内科)や脳神経外科(脳の手術を専門にする外科)で診断されます。問診で症状を聞き、画像検査で脳の血管の状態を確認します。
行われる可能性のある検査
- MRI(磁気を使って脳の断面を写す検査)
- MRA(MRIを使って脳の血管を写す検査)
- 脳血管造影(カテーテルという細い管を血管に入れて造影剤を流し、詳細に血管を調べる検査)
- 脳血流検査(脳の血流がどのくらい保たれているかを測る検査)
診察で予想されること
最初に症状や経過を詳しく聞かれ、その後MRIやMRAを行います。もやもや病が疑われる場合は、脳血管造影などの詳しい検査を受けるため、専門の病院を紹介されることがあります。診断までに数日~数週間かかることがありますが、あわてずに医師の指示に従いましょう。
治療
治療の主な目的は、脳卒中を防ぎ、脳への血流を安定させることです。重症度や年齢、症状によって治療の方法は異なります。薬による治療と、血行を改善する手術の両方があり、医師が患者さんに合った方法を提案します。
自宅でのセルフケア
- 水分をしっかりとり、脱水を避ける
- 息を強くはく動作(風船をふくらませる、大きな声で歌うなど)を避ける
- ストレスをためすぎない
- 十分な睡眠をとる
- 血圧が高い場合は、塩分を控えて生活習慣に気をつける
医療治療
血液が固まりにくくなるようにする薬や、脳の血流を改善する薬などを使うことがあります。ただし、どの薬を使うかは患者さんの状態や年齢によって個別に決められます。医師の指示なしに薬を変えたりやめたりしないでください。
手術が検討される場合
血流不足が強い場合や、薬でも症状を防げない場合は、脳の外の血管を脳の表面に移して血流を補う「バイパス手術」が検討されます。特に子どもでは、この手術が効果的とされています。手術の時期や方法は、専門の脳神経外科医が慎重に判断します。
この病気と共に生きる
もやもや病と診断されても、日常生活の工夫でリスクを減らすことができます。急に息を強くはくことを避け、血流が変動しやすい脱水や過呼吸にならないように注意しましょう。定期的に医療機関を受診し、症状の変化を医師に伝えることが大切です。
生活習慣のアドバイス
- 規則正しい生活を送る
- 適度な運動を習慣にする(ただし息を止める競技や激しい運動は避ける)
- 禁煙・節酒する(たばこは血管を傷つけるため)
- 家族や周囲に自分の状態を伝え、緊急時の連絡方法を決めておく
食事と運動
特別な食事制限はありませんが、血圧が高い場合は減塩を心がけましょう。野菜や果物を多くとり、脂っぽい食事を控えると血管の健康に役立ちます。運動は、軽いジョギングや散歩などの有酸素運動が良いですが、息を止めるような運動は避け、医師に運動の内容を相談してから始めましょう。
精神的健康と心の健康
突然の脳卒中への不安や、将来への心配から、小さな子どもがいる方は特に精神的な負担を感じることがあります。不安や落ち込みが続く場合は、一人で抱え込まず、医師やカウンセラーに相談しましょう。心理的なサポートや、同じ病気を持つ人同士の交流が助けになることもあります。
予防
もやもや病そのものを予防する方法はまだありません。しかし、脳卒中を防ぐために、血圧を管理し、禁煙し、脱水や過呼吸を避けるなどの生活上の工夫は重要です。
ワクチン
特別にもやもや病に関係するワクチンはありませんが、感染症がきっかけで症状が悪化することがあるため、かかりつけ医と相談してインフルエンザなどの予防接種を受けておくとよいでしょう。
検診プログラム
家族にもやもや病の人がいる場合は、症状がなくても一度、専門の医療機関でMRIなどの検査を受けることをおすすめします。一般の人がスクリーニング検査として受ける必要はありません。
合併症
治療しない場合
- 脳の血流が不足して、手足の麻痺や言葉の障害などの脳梗塞を繰り返す
- 細くなった血管が破れて、脳出血を起こす
- 認知機能(記憶力や判断力)が低下することがある
- 重度の場合は、日常生活に支援が必要になることがある
長期的な見通し
もやもや病は進行する病気ですが、適切な治療や生活管理によって、多くの人は脳卒中を防ぎながら普段の生活を続けることができます。特に子どもの場合、手術で血流が改善されると発作や発達への影響を減らせることがあります。診断後も継続的なフォローアップが必要ですが、希望を持って前向きに治療に取り組むことが大切です。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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