眼のがん(眼腫瘍)について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
眼のがんは、眼またはその周辺の組織にがん細胞が形成される病気です。眼球そのもの、まぶた、涙腺、結膜などにできることがあります。正常な細胞が何らかの原因で変化し、増えすぎることで腫瘍となり、放っておくと視力や周囲の組織に影響を及ぼす可能性があります。
重要な事実
- 眼のがんはまれな疾患ですが、診断技術の進歩により早期発見がしやすくなっています。
- がんの種類や進行度によって治療方針は異なります。
- 視力に影響が出る前に、定期的な眼科検診を受けることが有効です。
眼がんは日本人全体のがんの中で非常にまれであり、通常のがん統計の中ではごく小さな割合です。目の異常を感じる人でも、多くはがんではなく良性の病気です。
眼がんには、大人に多いぶどう膜悪性黒色腫と、子どもに多い網膜芽細胞腫があります。色素が薄い肌の方や遺伝的素因のある方に見られることがありますが、健康な人でも発症する可能性があります。
症状
- 突然視力が失われたり、極端に低下したりした場合
- 急に目が動かせなくなった場合
- 激しい眼痛が突然起こり、改善しない場合
- ⚠視界のゆがみや影が数日間続く場合
- ⚠飛蚊症が急に増えた、または光が走る場合
- ⚠痛みを伴わないが、片目の視力が徐々に低下している場合
- ⚠まぶたが重くなり上げにくい、または眼球の突出を感じる場合
一般的な症状
- 視界のかすみ、ゆがみ、影が見える
- 目の中の小さな浮遊物(飛蚊症)が増える、光が走る
- 片目の視力がゆっくり低下する
- 目の痛み・炎症・発赤
- まぶたや眼球に触るとわかるしこり(腫瘤)
子供の症状
- 瞳の中心が猫の目のように白く反射する
- 目が内側や外側に寄る(斜視)
- 眼の腫れや発赤
- 視力低下による行動の変化(物を追わないなど)
高齢者の症状
- 視力低下やぼやけが軽度から進行する
- 目の痛みや飛蚊症が新たに現れる
- まぶたの形や眼球の位置が変わったと感じる
- 高齢者では症状を自覚しにくく、進行してから気づくこともある
原因
主な原因
- がんは正常な細胞の遺伝子に変異が起こることで、細胞が無秩序に増殖するようになる病気です。正確な原因はすべてわかっていませんが、遺伝的要因と環境要因の関与が考えられています。
- 特に網膜芽細胞腫は、RB遺伝子の異常が関与することが知られています。
- 目を紫外線に長期間さらすことや、免疫機能の低下もリスクとして挙げられます。
リスク要因
- 色白で日光に弱い肌のタイプ
- 目やまぶたに多いほくろ(母斑)がある
- 過去に放射線治療を受けたことがある
- 遺伝的素因(家族に網膜芽細胞腫がある)
- 高齢であること
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 上に挙げた症状(視界のゆがみ、影、視力低下など)が現れた場合
- 目のしこりや腫れが大きくなっている場合
- 痛みを伴う場合
診断
眼がんの診断は、眼の専門医が行います。問診と目の詳しい検査から始め、異常があれば画像検査や組織の検査へ進みます。確定診断には、がん細胞を直接顕微鏡で調べる生検が必要になる場合があります。
行われる可能性のある検査
- 視力検査と眼底検査(瞳孔を拡張して眼球内部を観察)
- 超音波検査(眼の内部の腫瘍の形や硬さを調べる)
- OCT検査(網膜の断面を撮影する光干渉断層計)
- 蛍光眼底造影(造影剤を使って血管の状態を観察)
- CT・MRI(腫瘍の広がりや転移を評価)
- 生検(組織の一部を採取して病理検査)
診察で予想されること
検査中に痛みが生じることはほとんどありません。眼底検査では瞳孔を広げる目薬を使うため、検査後しばらくまぶしく感じることがあります。画像検査では大きな装置の中で15〜30分ほどかかります。結果について詳しく説明を受けた後、治療方針を一緒に決めていきます。
治療
治療は、がんの種類・進行度・患者の年齢や全身状態を総合的に検討して決められます。目標は、がんを治し命を守ることです。その上で、可能な限り視力と目を温めることが検討されます。治療は、眼科医、放射線科医、病理医などが連携して行います。
自宅でのセルフケア
- 長時間の紫外線を避け、帽子やサングラスで目を守る
- 喫煙や過度の飲酒はがんのリスクを高めるため控える
- 定期的に症状の変化を記録し、受診時に医師へ伝える
- ストレスをためず、十分な休養と睡眠をとる
医療治療
医学的な治療には、手術、放射線療法、化学療法、免疫療法などがあります。手術では腫瘍を切除し、場合によっては眼球を摘出することもあります。放射線療法は、高エネルギーの放射線でがん細胞を破壊する方法です。化学療法では抗がん剤を使用します。免疫療法は体の免疫力を利用した治療です。どの治療法も、医師が患者の状態に合わせて選択し、具体的な薬剤名や投与方法はその都度説明があります。
手術が検討される場合
腫瘍が大きく視力を期待できない場合や、腫瘍が眼内に広範囲に及んでいる場合には、眼球を摘出する手術が検討されることがあります。摘出後は義眼を入れることで外観を整えられます。また、他のがん治療と同様に、リハビリテーションや心理的ケアも検討されます。
この病気と共に生きる
治療後は、定期的な通院と検査が重要です。視力に障害が残る場合には、拡大鏡や音声機能付きの器具、点字の情報など、生活を助けるサポートがあります。在宅での生活に不安があれば、訪問看護や社会福祉の制度も利用できます。詳しくは、病院のソーシャルワーカーに相談してください。
生活習慣のアドバイス
- 規則正しい睡眠と休息をとる
- まばたきを意識し、長時間の画面操作では休憩を挟む
- 目に違和感があるときは、無理をせず医師に相談する
食事と運動
治療中や治療後の体力維持のために、野菜や果物、全粒穀物を中心としたバランスの良い食事を心がけましょう。医師に運動の可否を確認してから、無理のない範囲で軽い運動(散歩など)を続けることも、身体的・心理的な健康に役立ちます。
精神的健康と心の健康
がんの診断は、多くの人に不安や悲しみをもたらすことがあります。その気持ちは自然な反応です。一人で抱え込まず、家族や友人、医師、カウンセラーに話してください。日本では、がん相談支援センターでの相談が可能です。もし生きることへの強い絶望感や、自分を傷つけたいという考えが浮かんだ場合は、すぐに119番や信頼できる人に助けを求めてください。
予防
眼がんのすべてを予防できるわけではありませんが、紫外線対策(帽子やサングラスの着用)、禁煙、定期的な眼科検診が、早期発見やリスクの低下に役立つと考えられています。
検診プログラム
定期的な眼科検診は、症状が出る前にがんを発見する機会を増やします。特に家族歴がある場合は、遺伝カウンセリングや検診が勧められることがあります。
合併症
治療しない場合
- 視力が徐々に低下し、失明に至ること
- 腫瘍が眼球の外側や頭蓋内に広がること
- がん細胞が血流やリンパ液に乗って、脳・肝臓・肺などに転移すること
- 重度の場合、命の危険を伴うこと
長期的な見通し
眼がんは多くのがんで、早期に治療を始めるほど経過は良好です。近年は治療技術の進歩により、視力を温存できる可能性も高まっています。治療後も定期的に経過観察を続けることで、再発や進行の兆候を早期に発見することができます。あくまで一般論として、多くの患者が治療後の生活を送っています。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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