膝のうしろの動脈が圧迫される病気(膝窩動脈性絞扼症候群・PAES)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
膝窩動脈性絞扼症候群(PAES)は、膝のうしろを通る「膝窩動脈」が、まわりの筋肉や腱に圧迫されて、ふくらはぎや足に十分な血液が流れなくなる病気です。主に運動中に症状が出やすく、若いスポーツ選手に多く見られます。
重要な事実
- 膝のうしろの動脈が筋肉に挟まれて圧迫されるまれな病気です。
- 運動をするときにふくらはぎの痛みやしびれが出やすくなります。
- 生まれつきの構造が原因のことが多く、早期発見が大切です。
まれな病気です。一般的な膝の痛みやむくみとは違い、見逃されることもありますが、正確に診断すれば治療が可能です。
主に10代から30代の若い人、特に男性や脚をよく使うスポーツ選手(陸上、サッカー、バスケットボールなど)に多く見られます。
症状
- 急にふくらはぎや足が激しく痛む
- 足が青白くなり、冷たく感じる
- 足の脈が触れない、または脈が弱い
- 足やつま先が動かせない、しびれで感覚がない
- このような症状がある場合は、すぐに119番に電話してください
- ⚠運動中だけでなく、安静にしていても足の痛みやしびれが続く
- ⚠足が腫れたり、色が変わってきたりする
- ⚠症状がだんだん強くなり、歩くのもつらく感じる
一般的な症状
- 歩く・走るなど運動中にふくらはぎが痛む、つる、しびれる
- 運動をやめると数分で症状が軽くなる
- 足やつま先が冷たく感じる
- 足の色が青白くなる、または紫色になる
- 足の感覚がにぶる、しびれる
原因
主な原因
- 生まれつき膝のうしろの筋肉や腱の位置がずれていて、動脈を圧迫してしまうことがあります。
- ふくらはぎの筋肉が発達しすぎて、動脈と筋肉の間のスペースが狭くなることがあります。
リスク要因
- 10代から30代の若い年齢
- 男性であること
- 陸上競技、サッカー、バスケットボールなど脚を激しく使うスポーツをしていること
- ふくらはぎの筋肉が強いこと
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 急に足が痛くて動かせない、足の色が青白い、しびれて感覚がない場合は、すぐに119番に連絡してください。
- 安静にしていても症状が悪化する場合
- 足の脈が弱くなっている、または触れない場合
定期受診を予約すべき場合:
- 運動するたびにふくらはぎの痛みやしびれが繰り返す
- 足が冷たい、しびれるなど血流が悪い感じがする
- スポーツをしている子どもや若者の脚の痛みが続いている
診断
診断は、循環器科や血管外科の医師が問診と診察を行い、足の脈や運動前後の症状を確認します。それに加えて、血流や血管の状態を調べる検査を行います。
行われる可能性のある検査
- 足関節上腕血圧比(ABI)テスト:足首と腕の血圧を比べて、血流の低下を調べます。
- 超音波(エコー)検査:血管の中の血流や圧迫の様子を画像で確認します。
- CT血管造影やMRI:血管の形や周囲の筋肉との関係をくわしく調べます。
- 運動負荷検査:実際に運動したときの血流の変化を評価します。
診察で予想されること
診察では、いつから症状があるのか、どんな運動をすると出るのかなどを聞かれます。必要に応じて複数の検査を行いますが、診断が確定するまでに時間がかかることもあります。あせらず医師と相談しながら進めましょう。
治療
治療の目的は、動脈への圧迫を減らして、足に十分な血流を戻すことです。症状の強さや年齢、スポーツへの復帰希望を考えて、治療方針を決めます。
自宅でのセルフケア
- 運動中に症状が出たら、無理をせずその場で休む
- 症状が出るような強い運動を一時的に控える
- 医師や理学療法士の指導のもとでストレッチや筋力調整を行う
- 足を冷やしすぎないようにして、保温を心がける
医療治療
症状が軽い場合は、運動の調整や理学療法(リハビリ)で経過をみます。血流を改善する薬が使われることもありますが、医師の処方と指示に従ってください。圧迫が強く血流が低下している場合は、圧迫している筋肉や腱を切離する手術が検討されます。手術は多くの場合、効果が高いとされています。
手術が検討される場合
歩行や日常生活に支障が出るほど症状が強い場合、または血流が著しく低下している場合には、手術が必要になることがあります。手術では、動脈を圧迫している組織を取り除き、血流を回復させます。早めの治療ほど、動脈への負担を減らしよい結果につながります。
この病気と共に生きる
診断されたら、医師の指示にしたがって運動の量や種類を調整しましょう。スポーツを続けたい人は、完全にやめる必要はありません。症状が出にくい方法を医療者といっしょに探すことが大切です。
生活習慣のアドバイス
- 運動前は準備運動をしっかり行い、運動後はクールダウンをする
- 運動の強度を急に上げない
- 症状がでたら無理せず運動を中止する
- 喫煙は血流を悪くするため禁煙する
食事と運動
特別な食事制限はありませんが、バランスのよい食事と適度な運動で血流をよい状態に保ちましょう。筋力トレーニングやストレッチは、医師や理学療法士と相談しながら行うのが安全です。
精神的健康と心の健康
競技を続けたくても思うようにできない期間が長くなると、不安やいらだちを感じることがあります。自分の気持ちを家族や友達、医療者に話すことが助けになることもあります。
予防
この病気は生まれつきの構造が原因となることが多く、完全に予防することはできません。ただし、運動中の脚の症状を軽く見ず、早めに医療機関を受診することで、悪化や合併症を防ぐことができます。
合併症
治療しない場合
- 血流が悪い状態が続くと、動脈の中に血栓(血のかたまり)ができることがあります。
- 動脈の壁が弱くなってこぶのようにふくらむ「動脈瘤」ができることがあります。
- まれに、足の組織が壊死(えし)してしまい、切断が必要になることもあります。
長期的な見通し
早期に正しい診断と治療を受ければ、多くの人は症状が改善し、スポーツや日常生活に戻ることができます。治療を怖がらずに、医師とよく相談しながら進めていけば、希望のある経過が期待できます。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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