網膜色素変性症(もうまくしきそへんせいしょう)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
網膜色素変性症は、目の奥にある「網膜(もうまく)」の光を感じる細胞が、ゆっくりと壊れていく遺伝性の病気です。最初は暗いところで見えにくくなり、次第に周りの視野が狭くなることが特徴です。
重要な事実
- 遺伝子の変異が原因で起こる、進行性の目の病気です。
- 夜盲(やもう)――暗いところで見えにくくなる――が最初の症状としてよく見られます。
- 視力は長く保たれることもありますが、視野が徐々に狭くなります。
網膜色素変性症は比較的まれな病気で、日本では難病(指定難病)の一つに数えられています。
多くは遺伝するため、家族に同じ病気の人がいる場合に発症しやすいです。発症する年齢は人によって違い、子ども期にあらわれることもあれば、成人してから気づくこともあります。
症状
- 突然、片方の目が見えなくなった
- 目に激しい痛みがある
- 頭を強く打った後で見え方に異常がある
- ⚠視野が急に欠けたり、狭くなったりした
- ⚠物が二重に見えるなど、急に見え方が変わった
- ⚠視力が急に低下した
一般的な症状
- 暗い場所で見えにくい(夜盲)
- 視野(見える範囲)が狭くなり、まわりが見えにくい
- まぶしさを感じたり、光の変化に慣れるのに時間がかかる
子供の症状
- 夜になると学校や家の中を歩くのが不安になる
- 暗い場所でおぼつかず、よく転ぶ
- 明るいところでも見え方の左右差や視野の狭さがみられることがある
高齢者の症状
- 視野の狭さが進み、中心も見えにくくなることがある
- 読み書きや顔の判別が難しくなることがある
- 白内障など目の老化による症状を合併しやすくなる
原因
主な原因
- 光を感じる視細胞の遺伝子に変異があること
- 遺伝子の変異が親から子に伝わること(遺伝形式はいくつかあります)
- 変異によって視細胞が正常にはたらかず、徐々に脱落していくこと
リスク要因
- 家族に網膜色素変性症の人がいる
- 遺伝子検査で関連する変異がみつかっている
- 他の目の病気との合併がある場合は重症化しやすいことがある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 上の「緊急」や「急いで受診」にあてはまる症状がある
- 夜盲や視野の狭さが急に進んだ
- 目をぶつけた後で見え方に問題がある
定期受診を予約すべき場合:
- 夜にものが見えにくくなった
- 視野が狭くなっている気がする
- 家族に網膜色素変性症の人がいるため、一度検査を受けておきたい
診断
眼科で、視力や視野、眼底(がんてい)など、目の詳しい検査を行います。網膜色素変性症の特徴である網膜の変化を確認し、必要に応じて遺伝子検査を案内されることがあります。
行われる可能性のある検査
- 視力検査
- 視野検査(見える範囲を調べる)
- 網膜電図(網膜が光に反応する力を調べる)
- 眼底検査(目の中の網膜を写真で観察する)
- 遺伝子検査(原因遺伝子を調べる)
診察で予想されること
検査の時は、瞳孔(ひとみ)を広げる目薬を使うことがあります。そのため、検査後しばらくはまぶしさが続いたり、近くが見えにくくなったりすることがあります。車の運転は控えた方がよい場合もあるため、予定を調整しておきましょう。
治療
現在のところ、網膜色素変性症を完全に治す治療法はありません。しかし、進行を遅らせるための治療や、残っている視力をよりよく使うためのリハビリテーションがあります。目の状態に合わせて、医師と相談しながら計画を立てていきます。
自宅でのセルフケア
- 紫外線の強い日は、サングラスやつばの広い帽子で目を保護する
- 生活する場所の照明を工夫する(足元を明るくするなど)
- 夜間の外出が不安なときは、白杖やライトを使う、慣れた人と一緒に歩く
- 拡大読書器やスマートフォンの拡大機能など、見え方を助ける道具を活用する
医療治療
目の状態によっては、進行を緩やかにする目的で、医師からビタミン剤や特定の薬が提案されることがありますが、どの治療が合うかは人それぞれです。必ず医師に相談し、指示に従ってください。また、遺伝子治療や人工網膜などの研究も進められています。
手術が検討される場合
網膜色素変性症そのものを治す手術は今のところありませんが、白内障などの合併症が視力を悪くしている場合は、白内障の手術が検討されることがあります。
この病気と共に生きる
見え方の変化に合わせて、家の中の明るさ、家具の配置、段差の目印などを工夫すると安心です。定期的に眼科の診察を受け、視野や視力の変化に早めに気づけるようにしましょう。
生活習慣のアドバイス
- 定期的に眼科の検診を受ける
- 外出のさいは安全な道選びや、時間帯(夜間の外出)を工夫する
- 視覚障害者向けのサービスや補装具を利用する
- 同じ病気を持つ人と交流する
食事と運動
バランスのよい食事を心がけ、目や体の健康を保ちましょう。運動は、転倒に十分気をつけ、安全な環境で無理のない範囲で行ってください。喫煙は目の健康にもよくないとされているので、禁煙を検討してもよいでしょう。
精神的健康と心の健康
将来の見え方への不安や、生活の不便さから、落ち込みやストレスを感じることもあります。「一人で抱え込まなくて大丈夫です」。不安な気持ちは医師や看護師、カウンセラーに話してみてください。うつ状態が続く場合も、適切な支援が受けられます。
予防
網膜色素変性症は遺伝子の変化が原因で起こるため、現在のところ発症を予防する方法はありません。ただし、早期に発見し、進行に合わせて生活を工夫することで、事故や合併症を防ぎ、生活の質を保つことができます。
検診プログラム
家族に網膜色素変性症の人がいる場合、自覚症状がなくても一度は眼科で検診を受けることをおすすめします。また、将来子どもを持ちたいか考えている場合は、遺伝カウンセリングを受けることもできます。
合併症
治療しない場合
- 夜間の転倒や交通事故のリスクが高まる
- 視野が広い範囲で失われると、歩行や読書など日常動作が難しくなり、外出の機会が減りやすい
- うつ状態や社会からの孤立を招くことがある
- 白内障や黄斑浮腫などの合併症に気づくのが遅れる
長期的な見通し
網膜色素変性症の進み方は人によってさまざまで、多くの人は何年もかけてゆっくり進行します。完全に失明する人ばかりではなく、残った視力を活かして日常生活を続けることができます。現在は遺伝子治療などの研究も進み、希望につながる新しい治療法が開発される可能性があります。眼科の医師や支援者とともに、自分に合った方法を見つけていくことが大切です。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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