未熟児網膜症
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
未熟児網膜症は、早産で生まれた赤ちゃんの目の網膜(目の奥で光を感じる部分)に、正常な血管がうまく育たず、異常な血管が増えてしまう病気です。状態が進むと、網膜がはがれたり視力に障害が出たりすることがあります。
重要な事実
- 未熟児網膜症は、主に妊娠36週より前に生まれたり、出生時の体重がとても軽い赤ちゃんにみられます。
- ほとんどの場合は自然に治りますが、一部の赤ちゃんでは治療が必要です。
- 早期に見つけて適切に治療すれば、重い視力障害を防げる可能性が高くなります。
未熟児網膜症は、医療が整った地域では、極低出生体重児(出生体重が1500グラム未満の赤ちゃん)の約3〜7割に何らかの変化がみられます。ただし、治療が必要な重症なものはその中の一部です。
主に妊娠37週より前、特に32週未満で生まれた赤ちゃんや、出生体重が1500グラム未満の小さな赤ちゃんに影響します。
症状
- 赤ちゃんの目が突然白く濁って見える場合は、すぐに救急車(119番)を呼ぶか、救急外来を受診してください。
- 赤ちゃんが光に反応しない、目を動かさない場合は、すぐに専門医の診察を受けてください。
- 目のけがや急な目の充血がある場合も、緊急の受診が必要です。
- ⚠定期検診で「要受診」と言われたのにまだ診てもらえていないときは、早めに眼科を受診してください。
- ⚠目や視力の様子が以前と違うと感じたときは、1日でも早く受診しましょう。
- ⚠未熟児で生まれ、まだ目の検診を受けていない場合は、すぐに新生児科または眼科に相談してください。
一般的な症状
- 赤ちゃんは目の不調を言葉で伝えることができません。症状が外からわかりにくいため、定期的な目の検査がとても大切です。
- 進行すると、瞳孔が白っぽく見える、目がうまく物を追わない、などのサインに気づくことがあります。
子供の症状
- 幼児期以降では、視力の発達に影響が出たり、斜視(片方の目が別の方向を向いてしまうこと)や弱視(視力がうまく発達しないこと)が見つかるきっかけになることもあります。
- 視力が悪い、片目をつぶって見る、目を細める、などの様子が見られることがあります。
高齢者の症状
- この病気は未熟児として生まれた赤ちゃんに特有のもので、大人になって新たに発症することはありません。ただし、過去に未熟児網膜症だった人は、大人になってから近視や斜視、網膜はく離などのリスクが高まることがあります。
原因
主な原因
- 早産で網膜の血管が未熟なまま生まれると、本来の血管の成長が止まり、異常な血管が芽のように増えてしまいます。
- この異常な血管が網膜を引っぱると、網膜はく離(網膜が目の壁からはがれること)を起こし、視力障害につながります。
- 出生後の酸素濃度の変化も発症に関わっていると考えられています。
リスク要因
- 妊娠週数が短いほどリスクが高まります。
- 出生体重が軽いほどリスクが高まります。
- 人工呼吸器や酸素投与など、新生児集中治療が必要だった赤ちゃんはリスクが高くなります。
- 貧血、輸血、感染症、呼吸窮迫症候群などの合併症があるとリスクが高まります。
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 早産児で、新生児科や眼科から指示された目の検診の予定を逃した場合は、すぐに予約を入れ直してください。
- 目の白い部分が光って見える、瞳孔が白いなど気になる変化がある場合は、早めに眼科を受診してください。
定期受診を予約すべき場合:
- 未熟児で生まれた赤ちゃんは、退院後も眼科で定期的に目の検査を受けることが推奨されています。
- 成長してからも、視力検査や眼圧検査などの定期検診を続けると安心です。
診断
未熟児網膜症は、赤ちゃんの瞳孔を目薬で広げて(散瞳)、網膜の状態を詳しく観察する眼底検査(眼底検査:目の奥を調べる検査)を行って診断します。
行われる可能性のある検査
- 両眼の眼底検査(網膜の写真や観察)
- 必要に応じて、網膜の断層画像を撮る光干渉断層計(OCT)などの検査
- 成長に合わせて、視力検査や屈折検査(近視・乱視・遠視の詳しい検査)も行われます
診察で予想されること
検査は赤ちゃんの目に麻酔の点眼薬を使い、専用の器具でまぶたを優しく開けて行います。赤ちゃんが嫌がることもありますが、短時間で終わります。検査後は一時的にまぶしさや涙が出ることがありますが、時間とともにおさまります。
治療
治療は、病気の進行具合や赤ちゃんの状態によって決まります。軽度の場合は自然に治るのを待つこともあります。進行している場合は、異常な血管の成長を止めて網膜を守るための治療を行います。
自宅でのセルフケア
- 医師の指示に従って、定期的に眼科を受診し、目の状態を確認してもらいましょう。
- 赤ちゃんが物をじっと見つめる、目で追うなどの様子を日ごろから観察し、気になることがあれば医師に伝えましょう。
- たばこの煙や強い光など、目に刺激になる環境を避け、優しい光の部屋で過ごすとよいでしょう。
医療治療
治療方法には、網膜の周りをレーザーで焼く光凝固療法や、眼球の中に薬を注射する方法があります。どちらも異常な血管の進行を抑えるための治療で、赤ちゃんの状態に合わせて医師が選択します。
手術が検討される場合
網膜はく離のリスクが高い、あるいはすでに網膜はく離が起こっている場合には、手術が必要になることがあります。手術は小児眼科や網膜の専門医が行います。
この病気と共に生きる
治療後も、視力や目の発達を長い目で見守ることが大切です。眼鏡やコンタクトレンズが必要になることもあるため、定期的に視力や目の健康をチェックしましょう。
生活習慣のアドバイス
- テレビやスマートフォンを長時間見る場合は、こまめに休憩を取り、遠くを見る時間をつくりましょう。
- 外で遊ぶときは、けがや強い紫外線を避けるために、状況に応じて帽子や保護具を使いましょう。
- 目の異常を早く見つけるために、定期的な眼科検診を習慣にしましょう。
食事と運動
目に特別に効く食べ物はありませんが、バランスのよい食事と規則正しい生活習慣は全身の健康に役立ちます。全身の健康状態は目の血管にも影響するため、健康的な生活を心がけましょう。
精神的健康と心の健康
赤ちゃんの目の病気と向き合うことは、ご家族にとって大きな不安や負担になることがあります。無理をせず、周りの人に相談したり、医療者に質問したりしながら、一緒に進んでいくことが大切です。パートナーや家族と気持ちを分かち合うだけでも安心につながります。
予防
早産そのものを完全に防ぐことは難しいため、未熟児網膜症を完全に予防することはできません。しかし、早産で生まれた赤ちゃんに適切な時期に目の検診を行い、進行した場合に早期治療を始めることで、重い視力障害を防ぐことができます。
ワクチン
この病気そのものを予防するワクチンはありません。
検診プログラム
未熟児網膜症は、出生時の体重や在胎週数に応じて定められた時期に、眼底検査による検診を受けることが大切です。厚生労働省は、低出生体重児に対して適切な時期の目の検診を推奨しています。
合併症
治療しない場合
- 網膜はく離(網膜が目の壁からはがれること)を起こすと、視力が大きく損なわれます。
- 斜視(片方の目が別の方向を向いてしまうこと)や弱視(視力の発達が妨げられること)の原因になります。
- 近視や乱視が進みやすくなります。
- 成長した後に、白内障や緑内障を発症するリスクが高くなることがあります。
長期的な見通し
早期発見と早期治療を行えば、多くの赤ちゃんは重度の視力障害を免れます。たとえ視力に影響が残っても、眼鏡や視覚支援器具、適切なリハビリテーションによって生活の質を高めることができます。あきらめずに、目の専門医と一緒に最適な方法を選んでいきましょう。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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