精巣上体囊胞(せいそうじょうたいのうほう)とは?
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
精巣上体囊胞は、精巣の後ろにある精巣上体(精子を運ぶ管)の中に、精液を含んだ液体の袋(囊胞)ができるものです。良性(悪性ではない)のできもので、多くは痛みがなく、健康に影響を与えません。
重要な事実
- 精巣上体囊胞は良性のできもので、がんになることはほとんどありません。
- 多くの場合、症状がなく、治療の必要もありません。
- 囊胞が大きくなると、重さや圧迫感を感じることがあります。
- 触診や超音波検査で診断できます。
精巣上体囊胞は比較的よく見られるもので、特に30〜50歳の男性に多く見られます。
成人男性に多く、特に中年層でよく見られます。まれに思春期の男性にも見られることがあります。
症状
- 突然の強い陰嚢の痛み(特に片側)
- 陰嚢の急激な腫れや赤み
- 吐き気や嘔吐を伴う陰嚢の痛み
- 陰嚢への強い打撲やけがの後
- これらは精巣捻転(精巣の索がねじれる緊急疾患)の可能性があるため、すぐに救急車(119番)を呼んでください。
- ⚠持続する陰嚢の痛みや腫れ
- ⚠発熱を伴う陰嚢の痛み
- ⚠しこりが急に大きくなった
- ⚠排尿時の痛みや血尿がある
一般的な症状
- 多くの場合、症状はありません。
- 陰嚢(いんのう)の中に、しこりやこぶ(通常は精巣の上後方)を感じることがあります。
- しこりは触ると滑らかで、液体が入っているように感じられます。
- 囊胞が大きくなると、陰嚢が重く感じたり、圧迫感や鈍い痛みを生じることがあります。
子供の症状
- 思春期の少年では、陰嚢のしこりとして気づかれることがあります。
- 痛みを伴うことはまれですが、しこりの存在を心配して受診する場合があります。
高齢者の症状
- 加齢に伴い囊胞が少しずつ大きくなることがあります。
- 大きな囊胞では、違和感や重だるさを感じることがあります。
原因
主な原因
- 精巣上体の管が一部ふさがり、精液がたまって袋ができると考えられています。
- 明確な原因はわかっていませんが、炎症や外傷が関係するという説もあります。
- 男性ホルモンの影響や精管の閉塞などが関与している可能性があります。
リスク要因
- 年齢(30~50歳台で多い)
- 過去の陰嚢や精巣の炎症
- 精巣や陰嚢の外傷の既往
- 出生時の精巣に関する問題(停留精巣など)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 陰嚢に急な強い痛みや腫れがある
- しこりが急に大きくなった
- 発熱や悪寒がある
- 吐き気や嘔吐を伴う
定期受診を予約すべき場合:
- 陰嚢にしこりを感じたら、泌尿器科を受診しましょう。
- しこりや痛みが続く場合、または気になる場合は受診してください。
- 精巣の自己チェックで異常を感じたら、受診を検討してください。
診断
医師が陰嚢を触って確認し、必要に応じて超音波検査を行います。超音波検査では、囊胞が液体で満たされているか、中に固体の部分がないかを詳しく調べられます。
行われる可能性のある検査
- 視診・触診:陰嚢の外観と触った感じを調べます。
- 透光試験:明るい光を当てて、しこりが液体で満たされているかを見ます。
- 超音波検査:最も確実な検査で、囊胞の形や中身を確認します。
診察で予想されること
診察は通常5~10分程度で、特別な準備は必要ありません。超音波検査は痛みを伴わず、検査後すぐに結果がわかることが多いです。安心のために、定期的に経過を見る場合もあります。
治療
精巣上体囊胞は治療の必要がないことがほとんどです。痛みや違和感がない場合は、定期観察だけで済みます。症状がある場合や囊胞が大きい場合には、いくつかの治療法があります。
自宅でのセルフケア
- 陰嚢を支えるために、サポート下着やトランクスを着用すると楽になることがあります。
- 長時間の立ち仕事や激しい運動で違和感がある場合は、休憩を取りましょう。
- 入浴時に陰嚢をやさしく洗い、清潔に保ちましょう。
- 痛みがある場合は、市販の冷却ジェルなどで冷やすと楽になることがあります。(薬を使う場合は薬剤師に相談してください)
医療治療
痛みや大きい囊胞に対しては、医師が穿刺吸引(針で液体を抜く)を行うことがありますが、再発することが多いです。症状が強い場合には、外科的に囊胞を摘出する手術(精巣上体囊胞摘出術)を検討することもあります。薬物療法は通常行われません。
手術が検討される場合
囊胞が非常に大きく、歩行や座っているときに痛みや圧迫感が強い場合、または見た目が気になる場合には、手術が選択されることがあります。手術が必要かどうかは泌尿器科医と相談して決めます。
この病気と共に生きる
精巣上体囊胞があるとわかっても、ほとんどの場合は日常生活に影響なく過ごせます。定期的に自己検診(精巣のチェック)を行い、変化がないか見守りましょう。
生活習慣のアドバイス
- 毎月1回、入浴時に精巣と陰嚢の中のしこりをチェックする習慣をつけましょう。
- 激しい運動や自転車に長時間乗る場合は、陰嚢に負担がかからないように工夫しましょう。
- 喫煙は血流に悪影響を与えるため、禁煙を検討しましょう。
食事と運動
特別な食事制限はありません。バランスのよい食事と適度な運動を心がけ、全身の健康を保つことが大切です。
精神的健康と心の健康
陰嚢のしこりは不安を引き起こしやすいものです。しかし、精巣上体囊胞は良性で、がんになるリスクは非常に低いことを理解すると安心できます。気になる場合は、医師に何度でも質問してください。
予防
精巣上体囊胞は原因がはっきりしないため、確実に予防する方法はありません。ただし、陰嚢の外傷を避け、感染症をきちんと治療することが、リスクを減らすのに役立つ可能性があります。
ワクチン
特に関連する予防ワクチンはありません。
検診プログラム
定期的な健康診断で泌尿器科のチェックを受けることや、月に1回の自己検診を行うことをおすすめします。
合併症
治療しない場合
- 多くの場合、放置しても問題ありません。
- 囊胞が大きくなり、違和感や痛みが出ることがあります。
- まれに感染を起こして、陰嚢が赤く腫れ、痛みが出ることがあります。
- 極めてまれですが、囊胞が精子の通り道を圧迫し、不妊に影響する可能性が報告されています。
長期的な見通し
精巣上体囊胞は予後がとても良く、がん化することはほとんどありません。大きな問題を起こさずに一生を過ごせる人がほとんどです。必要な場合の治療も安全で、多くの人が快適に生活を続けられます。
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最終更新: 2026年7月31日
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