脊椎腫瘍(せきついしゅよう)|背骨にできる腫瘍について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
脊椎腫瘍とは、背骨(脊椎)やその周りの組織にできる異常なかたまり(腫瘍)のことです。良性(がんではない)のものと悪性(がん)のものがあり、ほかのがんが背骨に広がってできる場合もあります。
重要な事実
- すべての脊椎腫瘍ががんではありません。良性のものも多くあります。
- 悪性でも、早期に発見して治療すれば、症状の悪化やまひを防げる可能性があります。
- 背中や腰の痛みが長く続くときは、一度医師に相談することが大切です。
脊椎腫瘍そのものはまれな病気です。ただし、肺がん・乳がん・前立腺がんなどが背骨に広がる「転移性脊椎腫瘍」は、がん患者さんにおいて比較的多く見られます。
どの年代にも起こりえますが、多くは成人です。小児では良性の腫瘍が中心で、がんが背骨に広がる場合は高齢者に多く見られます。
症状
- 突然、脚や体幹の力が入らず立てない
- 尿や便が出ない、または漏れてしまう(排泄の感覚が失われる)
- 股の周りやおしりの感覚がなくなる
- 呼吸が苦しい(首の周りの腫瘍が疑われる場合)
- このような症状があれば、すぐに119番に連絡してください。
- ⚠数時間から数日の間に強くなる脚のしびれ・脱力
- ⚠立つ・歩くなどの動作が急に難しくなる
- ⚠強い背中・腰の痛みが休んでも治まらない
- ⚠発熱をともなう背中の痛み
一般的な症状
- 夜間や安静にしていても続く背中・腰の痛み
- 腕や脚のしびれ、脱力感
- 歩きにくい、つまずきやすい
- 排尿や排便のコントロールが難しくなる
- 背骨の一部に触れると痛みがあるしこり
子供の症状
- 夜間に痛みで目が覚める
- 歩き方が変わる、転びやすい
- 背骨のゆがみ(側弯症など)が目立つ
- 腰や背中をかばう姿勢をとる
高齢者の症状
- いつもの腰痛と違う、長引く背中の痛み
- 脚の力が入りにくい、立ち上がりにくい
- 歩くときふらつく、転倒しやすい
- 痛みのせいで活動量が減る
- 原因のはっきりしない体重減少や食欲低下
原因
主な原因
- はっきりした原因はまだ分かっていません。
- 多くは、ほかのがんが血流に乗って背骨に広がったものです(転移性脊椎腫瘍)。
- 一部は、神経や骨のもとになる細胞の変化によって発生すると考えられています。
リスク要因
- 過去または現在、がんの診断を受けたことがある
- 肺がん・乳がん・前立腺がん・腎臓がんなどがあった
- まれな遺伝性疾患を抱えている
- 放射線治療などで背骨に高い放射線を受けたことがある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 脚のしびれや力が入りにくい症状が続く、または悪化する場合は、すぐに医療機関に連絡してください。
- 排尿・排便の異常がある場合は、その日のうちに受診してください。
定期受診を予約すべき場合:
- 背中や腰の痛みが2週間以上続く
- 休息しても痛みが取れない
- 腕や脚のしびれがある
- がんの治療歴があり、新しく背中の痛みが出た
診断
まず問診と診察で、痛みの場所や神経の状態を確認します。必要に応じて画像検査や組織検査を行い、腫瘍の有無や種類を調べます。
行われる可能性のある検査
- MRI(磁気共鳴画像)検査:腫瘍の位置や広がり、脊髄への影響を詳しく確認します
- CT(コンピュータ断層撮影)検査:骨の状態や腫瘍の形を調べます
- X線(レントゲン)検査:背骨のゆがみや骨折の有無を確認します
- 骨シンチグラフィー:骨全体への広がりを調べます
- 生検:針などで腫瘍の一部を採取し、顕微鏡で詳しく調べます
診察で予想されること
画像検査は外来で行われることが多く、痛みを伴いません。生検は局所麻酔で行うため、その場での強い痛みは感じにくいです。検査結果をもとに、医師が治療方針を説明してくれます。
治療
治療は、腫瘍の種類・場所・大きさ・症状・全身の状態によって異なります。良性の場合、経過観察だけでよいこともあります。悪性や症状のある場合は、手術・放射線療法・薬物療法・リハビリテーションなどを組み合わせて行います。
自宅でのセルフケア
- 重いものを持ち上げる、激しく体をひねるなどの動作は避け、体に負担をかけない
- ベッドや椅子の硬さ・高さを調整し、楽な姿勢を見つける
- 歩くときに不安があれば、杖や歩行器を使う
- 痛みが続くときは無理をせず、早めに医療機関に相談する
医療治療
治療には、腫瘍を切除する手術、腫瘍に放射線を照射する放射線療法、がん細胞の増殖を抑える薬物療法(抗がん薬・ホルモン療法・分子標的薬など)、免疫の力を利用する免疫療法などがあります。また、腫瘍による炎症やむくみを抑えるためにステロイド薬が使われることもあります。薬の選択や量は医師が症状や全身状態に合わせて慎重に決めます。
手術が検討される場合
腫瘍が脊髄や神経を強く圧迫している場合や、背骨が不安定になっている場合、腫瘍を安全に取り切れる場合には、手術が検討されます。
この病気と共に生きる
定期的に外来を受診し、画像検査や診察で経過を見ます。痛みやしびれの変化をメモしておくと、医師と共有しやすくなります。
生活習慣のアドバイス
- 痛くない範囲で体を動かし、筋力やバランスを保つ
- 喫煙は血流や回復に悪影響があるため、禁煙を心がける
- 睡眠をしっかりとり、生活リズムを整える
- 過度な安静は筋力低下を招くため、医師や理学療法士の指示に従って運動する
食事と運動
バランスのよい食事を基本に、筋肉や骨を保つために十分なタンパク質・カルシウム・ビタミンDを意識しましょう。運動は医師や理学療法士に相談し、無理のない範囲で続けることが大切です。
精神的健康と心の健康
脊椎腫瘍と診断されると、不安やおそれの気持ちが強くなることがあります。痛みや生活の変化によって気分が落ち込むこともありますが、つらい気持ちを一人で抱え込まず、家族や友人、医療者に話すことが支えになります。
予防
良性の脊椎腫瘍には、はっきりした予防法は分かっていません。転移性の脊椎腫瘍は、もとになるがんの定期検診・治療を続け、がんの進行を防ぐことが予防につながります。
ワクチン
脊椎腫瘍そのものを直接防ぐワクチンはありません。ただし、一部のがんはウイルス感染が関係するため、予防接種ががんの予防に役立つ場合があります。
検診プログラム
脊椎腫瘍だけを対象にした健康診断はありません。背中の痛みやしびれなど、気になる症状があれば早めに受診しましょう。
合併症
治療しない場合
- 腫瘍が脊髄を圧迫し続けると、手足のまひが残る可能性があります
- 排尿や排便のコントロールができなくなる可能性があります
- 背骨が弱くなり、骨折や不安定になることがあります
- 痛みが強くなり、日常生活の動作が難しくなります
長期的な見通し
良性の腫瘍は、症状がなければ経過観察で済むこともあります。悪性の腫瘍でも、治療技術の進歩により症状をコントロールし、生活の質を長く保つことが可能になっています。自分に合った治療とケアを見つけることが大切です。
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重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年8月1日
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