耳の腫瘍(耳にできるできものや腫瘍)について知っておきたいこと
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
耳の腫瘍(しゅよう)とは、耳の外側や耳の穴の中、耳の奥にできる「かたまり」や「できもの」のことです。腫瘍には、がんではない良性(りょうせい)のものと、がんである悪性(あくせい)のものがあります。良性の腫瘍はゆっくり育ち、周りの組織に広がることはほとんどありません。悪性の腫瘍は周りの組織に広がったり、他の場所に飛んだりすることがあります。ただし、耳の腫瘍はまれな病気で、ほとんどは良性です。
重要な事実
- 耳の腫瘍は良性と悪性に分かれ、良性のほうが多く見られます。
- 外耳(耳の穴の周り)にできる腫瘍は見つけやすいですが、中耳や内耳の腫瘍は症状が現れにくいことがあります。
- 治療は腫瘍の種類や場所、大きさによって異なり、手術や放射線治療などが検討されます。
まれです。耳の腫瘍は、からだの他の場所にできる腫瘍と比べると頻度は低いとされています。
どの年齢でも起こり得ますが、良性の腫瘍は若い人に見られることもあり、悪性の腫瘍は高齢の方にやや多い傾向があります。また、外耳の皮膚がんは、日光を多く浴びてきた方に起こりやすいことが知られています。
症状
- 突然、顔の片側が動かせなくなった
- 激しいめまいで立っていられない
- 耳から大量に出血する
- 意識がもうろうとする
- 呼吸が苦しい(腫瘍が首やのどに近い場合)
- ⚠耳のしこりが急速に大きくなる
- ⚠数日たっても治らない強い耳の痛み
- ⚠耳だれに血が混じる、または悪臭を伴う
- ⚠新しい難聴が突然現れた
- ⚠耳の周りのしびれや力が入らない感じがある
一般的な症状
- 耳の周りや耳の穴にできるしこりやできもの
- 耳の痛み(特に片側だけに続く痛み)
- 耳だれ(耳から液体が出る、血が混じることもある)
- 聞こえが悪くなる(難聴)
- 耳がつまった感じがする
- 耳の周りのしびれや違和感
- 顔の筋肉が動かしにくくなる(顔面神経まひ)
子供の症状
- 耳の後ろや耳の周りにしこりを感じる
- 耳の痛みをうまく言葉で伝えられず、耳を触ったり引っ張ったりする
- 聞こえが悪く、呼んでも振り向かない
- めまいを訴える(子どもでは少ないですが、「ふらふらする」と言う)
高齢者の症状
- 外耳(耳の穴の入口や耳の殻)にできものができて、なかなか治らない
- 耳の痛みが続く、または出血する
- 難聴が進む、または片側だけ聞こえが悪くなる
- めまいやふらつきのために転びやすくなる
- 顔の片側が動かしにくくなる
原因
主な原因
- はっきりした原因はわかっていませんが、遺伝子の変化が関係していると考えられています。
- 外耳の皮膚がんは、長年にわたる日光(紫外線)の浴び過ぎが原因となることがあります。
- 長く続く慢性の炎症(中耳炎など)が、ごくまれに腫瘍の発生に関わることがあります。
- 特定のウイルス感染が一部の腫瘍に関係する可能性が指摘されていますが、完全には解明されていません。
リスク要因
- 高齢であること
- 屋外仕事や日光浴などで、耳に強い日差しを多く浴びてきたこと
- 慢性的な中耳炎を繰り返してきたこと
- 過去に頭頸部(とうけいぶ)へ放射線治療を受けたこと
- 家族に耳や頭頸部の腫瘍を患った人がいること(一部の遺伝性の病気で見られます)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 耳のしこりやできものが急速に大きくなっている
- 顔の半分が動かしにくい、または麻痺がある
- 耳から血が流れる(少量でも)
- めまいがひどく、吐き気を伴う
- 聴力が急に落ちた
定期受診を予約すべき場合:
- 耳にしこりを感じるが、痛みや変化はない
- 耳のつまり感や聞こえにくさが続く
- 慢性的な中耳炎で耳だれが続いている
診断
まず耳鼻咽喉科(じびいんこうか)の医師が、耳の周りや耳の中を視診(ししん)と耳鏡(じきょう)で調べます。必要に応じて画像検査や組織の一部を調べる検査(生検)が行われます。
行われる可能性のある検査
- 耳鏡による診察(耳の穴の奥を見る検査)
- 聴力検査(聞こえの状態を調べる)
- CTスキャンやMRI(画像で腫瘍の広がりを確認する検査)
- 生検(腫瘍の一部を取って顕微鏡で調べる検査)
- 血液検査(炎症の有無や全身状態を確認する)
診察で予想されること
医師はまず、症状の経過を詳しく尋ねます。その後、耳の周りや耳の中を診て、必要に応じて画像検査や生検を行います。結果が出るまで数日〜1週間ほどかかることがありますが、検査自体はそれほど痛みを伴いません。
治療
治療は腫瘍の種類(良性か悪性か)、場所、大きさ、進行具合によって異なります。良性であっても、大きくなって症状が出る場合は治療対象になることがあります。悪性腫瘍の場合は、がん専門の医師を含むチームで治療方針を決めます。
自宅でのセルフケア
- 耳にできものやしこりを見つけても、自分でつぶしたり、摘んだりしないでください。感染が悪化することがあります。
- 外耳の皮膚トラブルを防ぐため、長時間直射日光を浴びるのを避け、帽子をかぶるなどの対策をしましょう。
- 湿気を避けるため、耳の中を清潔に保ち、洗ったあとはよく乾かしましょう。
- 市販の耳そうじ棒などで耳の中を強くこすらないようにしましょう。
医療治療
良性腫瘍の場合は、経過観察だけを行うこともあります。症状がある場合や悪性の疑いがある場合は、手術による摘出が検討されます。悪性腫瘍の場合、手術に加えて放射線治療や抗がん剤治療(薬物療法)を行うことがあります。これらの治療法はがんの種類や進行度に応じて専門医が組み合わせを決めます。薬の名前や具体的な治療計画は、必ず担当医にご確認ください。
手術が検討される場合
腫瘍が大きい、痛みや難聴などの症状がある、または悪性の可能性がある場合には、手術で腫瘍を摘出することを検討します。外耳の小さな腫瘍であれば日帰り手術が可能なこともありますが、中耳や内耳の腫瘍では入院が必要なことがあります。
この病気と共に生きる
治療後は、耳の状態を定期的に医師がチェックします。再発がないかを確認するため、画像検査や診察を数年にわたって続けることが一般的です。気になる症状があれば、我慢せずにすぐに医療機関に相談しましょう。
生活習慣のアドバイス
- 耳に負担をかける大きな音を避ける
- 水が入らないようにシャワーの際に注意する(治療中や術後)
- 喫煙している場合は禁煙を検討する(血流を良くし、治りを助けます)
- 耳の皮膚を日光から守る(帽子や日焼け止め)
食事と運動
バランスの良い食事を心がけ、特にたんぱく質やビタミン類を十分に摂ることで、治療後の体調回復を助けます。適度な運動は体力維持に役立ちますが、めまいや平衡感覚に問題があるときは、転倒に注意し、無理のない範囲で行ってください。
精神的健康と心の健康
耳の腫瘍やその治療は、難聴やめまい、顔の動きの変化など、生活に影響を与えることがあり、不安や落ち込みを感じることがあるかもしれません。そうした気持ちは自然なことです。専門家に相談するだけでなく、家族や友人に話すことも心の負担を軽くする助けになります。
予防
耳の腫瘍の多くは原因がはっきりしないため、完全に予防することはできません。ただし、外耳の皮膚がんについては、日光を避け、帽子や日焼け止めで耳を保護することで、リスクを下げられる可能性があります。また、長く続く中耳炎は放置せず、医療機関で治療しましょう。
ワクチン
耳の腫瘍に関係する一般的な予防ワクチンはありません。ただし、一部のウイルス感染を防ぐワクチンが、ごくまれに腫瘍のリスクを減らす可能性が示唆されています。予防接種については、医師と相談してください。
検診プログラム
耳の腫瘍に対する特別な検診はありませんが、耳の症状が続く場合や気になるしこりがある場合は、早期発見のために医療機関で診察を受けることが大切です。
合併症
治療しない場合
- 腫瘍が大きくなって難聴が進む
- めまいや平衡感覚の障害が起こる
- 顔面神経が圧迫されて顔の動きが麻痺する
- 悪性腫瘍の場合は周囲の組織やリンパ節に広がる
- 腫瘍が破れて出血や感染を起こす
長期的な見通し
耳の腫瘍は、多くの場合良性で、適切な治療を受ければ経過は良好です。悪性腫瘍でも、早期に発見して治療すれば治る可能性が十分にあります。医療技術の進歩により、手術や放射線治療の安全性も向上しています。診断や治療には不安がつきものですが、医師とよく話し合いながら一歩ずつ進んでいきましょう。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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