心室頻拍(しんしつひんぱく)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
心室頻拍は、心臓の下側にある部屋(しん室)から心臓が速く打つことが原因で起こる脈の異常です。正常な脈が毎分60~100回くらいなのに対し、心室頻拍では毎分100回以上、ときに150回以上になることがあります。これにより、全身に十分な血液が送られなくなることがあります。
重要な事実
- 心室頻拍は、心臓の拍動が速くなりすぎることで血液の流れが悪くなることがある状態です。
- 持続時間が短く、症状が出ないこともありますが、長く続くと危険な状態になることがあります。
- 心臓の病気がある人に多くみられます。
- めまいや失神などの症状が出る場合は、早めの受診が必要です。
心室頻拍は、一般的にはまれな不整脈ですが、心臓病のある人や高齢者では比較的みられます。
心臓の病気(特に心筋梗塞や心筋症)のある人、高齢者、電解質(体内のミネラル)のバランスが崩れている人に多くみられます。小児ではまれですが、生まれつきの心臓病がある場合に起こることがあります。
症状
- 突然意識を失った
- 脈が触れない、または呼吸をしていない
- 激しい胸の痛みがある
- めまいのあと気を失いそうになった
- ⚠速い脈拍が続き、めまいや息切れがある
- ⚠胸の不快感が続く
- ⚠失神に近い強いふらつきがある
一般的な症状
- 動悸(心臓がドキドキする感覚)
- めまい、ふらつき
- 胸の違和感や痛み
子供の症状
- 元気がない、機嫌が悪い
- 疲れやすい、遊ぼうとしない
- 呼吸が速い
- 顔色が悪い
高齢者の症状
- 失神(気を失う)
- 混乱、意識がもうろうとする
- 息切れや胸の痛み
- 血圧が下がるなど、ふらつきが強くなる
原因
主な原因
- 心筋梗塞などの心臓病
- 心筋症(心臓の筋肉の病気)
- 心臓の手術のあと
- 電解質(カリウムやカルシウムなど)のバランス異常
- 生まれつきの心臓の電気回路の異常
リスク要因
- 年齢を重ねること(特に高齢者)
- 心臓病の病歴がある
- 高血圧や糖尿病
- 不規則な薬の服用(勝手にやめたり増やしたり)
- アルコールの過剰摂取や違法薬物の使用
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 脈が非常に速く、めまいや息切れをともなう
- 胸の痛みや圧迫感がある
- 失神した、または失神しそうな強いふらつきがある
定期受診を予約すべき場合:
- 動悸や脈のとびを繰り返す
- 脈の速さやリズムの乱れを自覚する
- 心臓病の治療を受けているが、新たな症状が現れた
診断
心室頻拍は、心電図検査で心臓の電気的な活動を記録して診断します。発作が短い場合は、24時間の心電図記録(ホルター心電図)や、症状が出たときに記録する装置などを使うことがあります。
行われる可能性のある検査
- 12誘導心電図(心臓の電気信号を調べる検査)
- ホルター心電図(24時間、心臓のリズムを記録する)
- 心エコー(心臓の動きを超音波でみる検査)
- 血液検査(電解質や心筋の働きを調べる)
- 必要に応じて、電気生理学検査(心臓の電気回路を詳しく調べる検査)
診察で予想されること
医師は、脈の状態や心臓の音を確認し、詳しい検査へと進みます。検査自体は痛みをともなわないものが多く、入院が必要な場合は、あらかじめ説明があります。
治療
治療は、心室頻拍の原因や持続時間、症状の重さによって異なります。原因となる心臓病がある場合は、その治療を優先します。
自宅でのセルフケア
- 症状が出たときは、すわって安静にする
- ストレスをため込まない
- カフェインやアルコールのとりすぎに注意する
- 十分な睡眠と休養をとる
医療治療
症状が続く場合や、意識を失う危険性がある場合は、心臓のリズムを整える薬(抗不整脈薬)が使われることがあります。また、強く速い脈拍を止めるための電気ショック(一時的な措置)、心臓の異常な電気信号を焼灼するカテーテルアブレーション、危険な発作を未然に防ぐ心臓植え込み型除細動器(ICD)の植え込みなどが検討されます。具体的な治療は、医師があなたの状態を評価して決めます。
手術が検討される場合
重度の心室頻拍で、薬が効かない場合や薬の副作用が強い場合は、カテーテルアブレーション(心臓の異常な回路を熱で焼く治療)や、心臓植え込み型除細動器の手術が検討されます。
この病気と共に生きる
日々の生活では、症状の記録をつけ、医師の指示どおりに薬を飲み、定期的に検査を受けることが大切です。突然の発作に備えて、家族にも症状や対処法を伝えておくと安心です。
生活習慣のアドバイス
- 喫煙をやめる
- 飲酒は控えめにする
- カフェインの摂取を適量にする
- ストレス管理(深呼吸、軽い運動、趣味の時間)を行う
- 規則正しい生活を心がける
食事と運動
心臓に良い食事(塩分や脂肪を控えめにし、野菜や果物を積極的にとる)と、医師に相談したうえでの軽い運動(ウォーキングなど)がすすめられます。激しい運動は避け、体調に合わせて行いましょう。
精神的健康と心の健康
心臓の病気や不整脈の診断は、不安や恐怖を感じることがあります。無理にがまんせず、心配なことは医師や看護師に話しましょう。不眠や落ち込みが続く場合は、こころのケアも大切です。
予防
心室頻拍そのものを完全に予防することは難しいですが、原因となる心臓病の進行を防ぐことはできます。高血圧や糖尿病などの治療を継続し、健康的な生活習慣を保つことが重要です。
ワクチン
特にありません。
検診プログラム
心臓病のある人は、定期的に心電図や心エコーなどの検査を受けることがすすめられます。
合併症
治療しない場合
- 失神や突然倒れることによるけが
- 心臓のポンプ機能が保てなくなり、心不全を起こす
- 心室細動というより危険な不整脈に移行し、突然の心停止を起こすことがある
長期的な見通し
心室頻拍は、原因や重症度によってさまざまですが、適切な診断と治療を受けることで多くの人は生活を続けることができます。治療法は進歩しており、薬や手術、デバイスの植え込みなど、あなたの状態に合った選択肢があります。まずは医師とよく話し合い、無理のない対応を見つけていきましょう。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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