声帯麻痺(こたいまひ)について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
声帯はのどにあるひだ状の筋肉で、声を出すときに振動します。声帯麻痺とは、この声帯を動かす神経が傷ついたり働かなくなったりして、声帯がうまく動かない状態のことです。
重要な事実
- 声帯麻痺は片側だけにおこることが多く、両側におこることはまれです。
- 原因によっては、数か月かけて自然に回復することもあります。
- 原因がはっきりしないことも少なからずあります。
- 治療で声の症状や飲み込みの問題を改善できる可能性があります。
声帯麻痺はごくまれな病気ではありませんが、正確な患者数は分かっていません。甲状腺の手術や胸部の手術のあとや、ウイルス感染のあとに起こることがあります。
どの年齢でも起こりますが、多くの場合40~60代で見られます。原因によっては子どもや高齢者にも起こります。
症状
- 急に息が苦しくなる
- 呼吸のたびにヒューヒュー・ゼーゼーという音がする
- 息を吸うときにのどが引っ込む
- 窒息しそうな感じがする
- ⚠急に声が出なくなった
- ⚠急に飲み込みが難しくなり、よだれが出る
- ⚠のどに強い痛みや腫れがある
- ⚠発熱とともにのどの症状が急に出た
一般的な症状
- 声がかすれる
- 声を出しにくい
- 声が小さくなる
- のどに痰がからむ感じ
- むせやすい
- 食べ物や飲み物を飲み込みにくい
子供の症状
- 泣き声が弱い
- 呼吸のときにゼーゼーという音がする
- 哺乳や食事のときにむせやすい
- 声が大きく出せない
高齢者の症状
- 声がれが続く
- 飲み込みの力が落ちる
- 食事中にむせることが増える
- 息苦しさを感じる
原因
主な原因
- 甲状腺や胸の手術の際に声帯の神経を傷つける
- 風邪やインフルエンザなどのウイルス感染
- がんの影響やがん治療による神経の損傷
- 首や胸へのけがや外傷
- 原因が特定できない特発性のもの
リスク要因
- 甲状腺の病気がある
- 胸部の手術を受けたことがある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 息苦しさが急に現れた場合
- 呼吸のときにヒューヒューという音がする場合
- のどが腫れて息ができない感じがする場合
定期受診を予約すべき場合:
- 声がれが2週間以上続く場合
- 飲み込みにくさやむせが続く場合
- 声が次第に出にくくなっている場合
- のどに違和感が続く場合
診断
声帯麻痺の診断は、主に耳鼻咽喉科で行います。医師がのどの中をファイバースコープ(細くて柔らかい管)で見て、声帯の動きを確認します。
行われる可能性のある検査
- 喉頭ファイバー検査(のどを直接観察する検査)
- 音声機能検査(声の高さや大きさ、空気の漏れなどを評価する検査)
- 必要に応じてCTやMRIなどの画像検査
- 神経や筋肉のはたらきを調べる検査
診察で予想されること
検査は痛みを伴うことは少なく、数分で終わるものも多いです。まずは声帯の動きを確認し、原因を調べるための追加検査が行われることもあります。
治療
治療は原因や症状の程度によって異なります。自然に回復する場合もあるため、まずは経過を見ながら、声のリハビリテーションや専門的な治療を検討します。
自宅でのセルフケア
- 「声の休息」をとり、声を出しすぎない
- 部屋を加湿してのどを潤す
- 早口や大きい声を避ける
- 禁煙や節酒を心がける
- 飲み込みやすいように、食事を一口ずつゆっくり食べる
医療治療
音声リハビリテーション(発声訓練)、声帯に注入材を入れて声帯の動きを補う治療、神経や筋肉のはたらきを改善する治療などが行われます。原因となる病気がある場合は、その治療も並行して行われます。具体的な薬や材料は専門医が患者さんの状態に合わせて判断します。
手術が検討される場合
声帯の位置や形を整える手術(喉頭形成術)や、神経をつなぎ直す手術(神経再建術)が、症状の重さや原因に応じて検討されることがあります。
この病気と共に生きる
日常生活では、声のケアと飲み込みの工夫が大切です。飲み込むときにあごを軽く引くとむせにくいとされています。無理に声を出さず、伝わりやすい話し方を見つけていきましょう。
生活習慣のアドバイス
- 十分な睡眠をとる
- こまめに水分を補給する
- 喫煙や飲酒を控える
- 声帯に負担をかけないよう、うがいや加湿を習慣にする
食事と運動
食事はゆっくり、一口ずつ食べましょう。飲み込みにくい場合は、とろみをつけたり、食べ物を細かくしたりすると食べやすくなります。運動は無理のない範囲で、呼吸を整えることを意識して行いましょう。
精神的健康と心の健康
声が出にくいと、会話や人とのつながりに不安を感じることがあります。気持ちのつらさが続く場合は、家族や友人に伝えたり、医師やカウンセラーに相談したりすることが大切です。
予防
すべての声帯麻痺を防ぐことはできません。甲状腺の手術などを受ける際には、事前に医師から声帯の神経について説明を受け、相談することが大切です。また、感染症を予防することで、ウイルスによる神経の影響を減らせる可能性があります。
ワクチン
声帯麻痺を直接予防するワクチンはありません。ただし、インフルエンザや肺炎などの感染症を予防することで、声帯の炎症や神経への影響を避けやすくなる場合があります。ワクチンについてはかかりつけ医に相談してください。
検診プログラム
声帯麻痺のための特別な検診はありませんが、声がれやむせが続く場合は早めに耳鼻咽喉科を受診してください。
合併症
治療しない場合
- 食べ物や唾液が誤って気管に入る「誤嚥(ごえん)」による肺炎
- 気道が狭くなり呼吸がしにくくなる
- 会話が難しくなり、日常生活や仕事に支障が出る
- 食事を楽しめなくなり、栄養が不足する
長期的な見通し
声帯麻痺の多くは、自然に回復したり、治療によって日常生活に大きな支障がない状態を目指せたりします。専門医のサポートを続けながら、声の状態に合わせた工夫をすることで、安心して生活することができます。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年8月1日
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