てんかん:「発作」とどう向き合うか
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
てんかんは、脳の神経細胞が一時的に過剰に働くことで、発作(意識の変化やけいれんなど)が繰り返し起こる病気です。発作の表れ方は人によってさまざまで、数秒で終わるものから数分続くものまであります。適切な治療を続ければ、多くの人は発作を抑えて普段どおりの生活を送れます。
重要な事実
- てんかんは脳の病気で、どの年齢でも起こり得ます。
- 発作はけいれんだけではなく、ぼんやりする、違和感を感じるなど、いろいろな形があります。
- 薬による治療で、多くの人の発作をコントロールできます。
てんかんは珍しい病気ではありません。世界中で約100人に1人がてんかんを経験するといわれています。
てんかんは乳幼児から高齢者まで、どの年齢でも発症する可能性があります。特に乳幼児期と高齢期に発症が多いといわれています。
症状
- けいれんが5分以上止まらない(すぐに119番へ電話してください)
- 発作が繰り返し起こり、その間に意識が戻らない(すぐに119番へ)
- 初めての発作で、意識がなかなか戻らない(すぐに119番へ)
- 発作の後に呼吸が苦しそう、または顔色が青ざめて回復しない(すぐに119番へ)
- ⚠発作の回数が急に増えた
- ⚠いつもと違う様子の発作が見られた
- ⚠発作で頭を打った、または口の中を噛んで出血がある
- ⚠妊娠している、または妊娠の可能性がある人が発作を起こした
一般的な症状
- 体の一部が勝手にピクピクと動く
- 意識を失って倒れ、全身がけいれんする
- ボーッとして反応がなくなる
- 突然、奇妙なにおいや味、音を感じる
- 意味のない動作(服を触る、噛むなど)を繰り返す
子供の症状
- 急に動きを止めて、数秒間ぼんやりする
- 指をこすったり、服を触ったりする無意識の動作を繰り返す
- 夜間に突然泣き出したり、体を強くすることがある
高齢者の症状
- 短い意識の変化(話の途中で返事がおかしくなるなど)
- ぼーっとすることが増え、家族が「様子が変」と感じる
- めまいのような感覚や、ふらつく発作を起こす
原因
主な原因
- 頭部の外傷(頭を強く打った経験)
- 脳卒中や脳腫瘍など脳の病気
- 脳の感染症(髄膜炎や脳炎など)の後遺症
- 生まれつきの脳の構造や機能の異常
- 遺伝的な要因
- しかし、原因がはっきりしない場合も多くあります。
リスク要因
- 頭部外傷の既往がある
- 脳卒中や認知症などの脳の病気を抱えている
- 睡眠不足や過度の疲労が続く
- アルコールを大量に飲む
- 小児では熱が高いと発作を起こしやすい
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 初めての発作を起こした
- 発作がいつもと違う、または回数が増えている
- 発作の後に意識が戻りにくい
- 発作で頭を打った、けがをした
定期受診を予約すべき場合:
- 「発作かも?」と心配になることがある
- 治療中だが、発作が時々起こる
- 薬の副作用が気になる
- 運転や仕事について相談したい
診断
てんかんの診断は、発作の様子をできるだけ詳しく聞くことから始まります。本人だけでなく、発作を目撃した家族や友人の話もとても大切です。そのうえで、必要に応じて検査を行います。
行われる可能性のある検査
- 脳波検査(EEG): 頭に電極を付けて、脳の電気的な活動を調べます。
- MRI検査: 磁気を使って脳の構造を見て、腫瘍や傷の有無を確認します。
- CT検査: X線を使って脳の断面を調べます。
- 血液検査・尿検査: 他の病気が原因でないかを確かめます。
診察で予想されること
診断には時間がかかることがあります。発作の様子をメモに残し、通院時に伝えると診断の手助けになります。必要に応じて、専門の医療機関(てんかんセンターなど)を紹介されることもあります。
治療
てんかんの治療の中心は、発作を予防する薬(抗てんかん薬)を毎日飲むことです。発作のタイプや年齢、生活に合わせて薬の種類や量を調整しながら、長く続けることが大切です。治療の目標は、発作をなくして日常生活の安全と安心を取り戻すことです。
自宅でのセルフケア
- 毎日きまった時間に薬を飲む
- 睡眠をしっかりとり、疲れをためない
- 飲酒は医師と相談した上で、控えめにする
- 発作の日時や様子を記録しておく
医療治療
抗てんかん薬は、発作の種類に合わせて選ばれます。最初は少ない量から始め、効果と副作用のバランスを見ながら医師が調整します。薬の服用は一人で判断せず、必ず医師の指示に従ってください。薬で十分な効果が得られない場合は、手術や脳神経刺激療法などの治療が検討されることがあります。
手術が検討される場合
薬で発作が抑えられず、発作の原因となる脳の場所がはっきりしている場合には、その部分を手術で取り除く方法が検討されることがあります。手術が可能かどうかは、専門の医療機関で詳しく評価されます。
この病気と共に生きる
てんかんと診断されても、多くの人は学校、仕事、家庭生活を続けています。ただし、自動車運転には法律上の制限がありますので、必ず医師に相談し、指示を受けてください。また、安全のためにお風呂は家族に声をかけて入る、高所での作業を避けるなどの工夫をしましょう。
生活習慣のアドバイス
- 規則正しい生活を心がける
- 睡眠不足を避ける
- ストレスをためすぎない
- 服薬を継続する
- 風呂のときは発作に備えて家族や同居人に知らせておく
食事と運動
食事は基本的に制限はありませんが、バランスの良い食事を心がけましょう。運動は、医師と相談して安全に行えるものを選びます。水泳や登山など危険を伴う活動には、必ず付き添いの人や対策を用意してください。
精神的健康と心の健康
てんかんの発作への不安や周囲の理解不足から、気分が落ち込んだり、生きづらさを感じることがあります。そうした気持ちは自然なことです。ひとりで抱え込まず、医師や看護師、カウンセラーなどに話してください。もし、つらい気持ちが強く、自分を傷つけたいという考えが浮かぶ場合は、すぐに医療機関へ連絡するか、最寄りの救急(119番)を呼んでください。
予防
すべてのてんかんを予防することはできませんが、頭部のけがや脳卒中を防ぐことは、原因となる病気を減らすことにつながります。また、すでに発作がある人は、規則正しい生活と服薬を続けることで発作の誘因を避けられます。
ワクチン
日本では、はしかやおたふくかぜなどの感染症が原因で脳の炎症が起こり、てんかんになることがあります。予防接種はこうした感染症を防ぐのに役立ちます。日本の予防接種のスケジュールや詳しい情報は、厚生労働省のホームページやかかりつけ医に確認してください。
検診プログラム
てんかんを対象にした定期的な検診はありませんが、頭部外傷や脳卒中などの後は、医師の診察を受けることで発作の早期発見につながることがあります。
合併症
治療しない場合
- 繰り返す発作によって、頭部外傷や骨折の危険が高まる
- 「てんかん重積状態」(長く続く発作)により、脳にダメージが及ぶ可能性がある
- 突然の発作による事故(溺れ、転倒、やけどなど)のリスク
- 学校や仕事での困難、周囲の無理解による孤立感
長期的な見通し
てんかんは、適切な治療を続けることで多くの人の発作がコントロールでき、充実した生活を送れる病気です。医療の進歩もあり、薬を減らせる人、発作が数年出ない人もいます。あせらず、医師と協力しながら治療を続けていきましょう。
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重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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