橋本病(慢性甲状腺炎)とは?症状・治療・暮らしのヒント
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
橋本病は、体の免疫システムが自分の甲状腺を攻撃してしまうことで起こる病気です。甲状腺は首の前側にある、体のエネルギーを調整する臓器です。この病気になると甲状腺が慢性的に炎症を起こし、正常にはたらく甲状腺の細胞が減っていきます。その結果、必要な甲状腺ホルモンが作られなくなり、体の動きがゆっくりになる「甲状腺機能低下症」を引き起こすことがあります。
重要な事実
- 自己免疫疾患のひとつで、女性に多い
- ゆっくり進行し、初期は症状がないこともある
- 治療は甲状腺ホルモンを補うことが中心で、多くの場合、薬でコントロールできる
比較的一般的な甲状腺の病気です。日本でも甲状腺外来を受診する方の中で橋本病と診断される方は多く、特に成人女性でよくみられます。
30~50歳代の女性に最も多く、女性は男性のおよそ5~10倍と言われています。ただし、子どもや若い世代、高齢者でも発症することがあります。
症状
- 突然、意識がもうろうとする
- 体温が急に低くなる
- 呼吸がゆっくり、または浅くなる
- けいれんを起こす
- ⚠首の腫れが強く、息苦しい・飲み込みにくい
- ⚠強い動悸や胸の痛みがある
- ⚠意識がぼんやりする
- ⚠とても強いだるさと寒気で動けない
一般的な症状
- 疲れやすさ・だるさ
- 体重が増えやすい
- 寒がりになる
- 便秘がちになる
- 肌や髪が乾燥する・抜け毛が多い
- 物忘れや集中力の低下
- 気分が落ち込みやすい
- 首の前が腫れる(甲状腺の腫れ)
子供の症状
- 身長の伸びが遅い
- 思春期の発育が遅れる
- 学校の成績が急に落ちた
- 疲れやすく、活動量が少ない
- 便秘や肌の乾燥がある
高齢者の症状
- 慢性的な疲れや気力の低下
- 物忘れや判断力の低下
- 関節や筋肉のこわばり
- 脈が遅くなる
- 抑うつ気分や食欲低下
原因
主な原因
- 免疫システムが自分の甲状腺を攻撃してしまう自己免疫反応によるもの
- 遺伝的な体質が関係しており、家族に甲状腺の病気を持つ人がいることがある
- ウイルス感染や妊娠・出産、ストレス、過剰なヨード摂取などがきっかけになることがある
リスク要因
- 女性であること
- 家族に橋本病やほかの甲状腺疾患の人がいること
- ほかの自己免疫疾患(関節リウマチ、1型糖尿病など)を持っていること
- 妊娠・出産後
- 中高年になること
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 首の腫れが大きくなり、息苦しさや飲み込みにくさがある
- 脈が異常に遅くなる・速くなる
- 強いだるさとともに体が冷え、意識がもうろうとする
定期受診を予約すべき場合:
- 疲れやすさ、寒がり、体重増加などが続く
- 首の前が何となく腫れている
- 検査で甲状腺ホルモンの値が気になると言われた
- 妊娠を考えている
診断
問診と診察、血液検査で診断します。医師が首の触診をして甲状腺の腫れを確認し、血液中の甲状腺ホルモンの値や抗体を調べます。症状が軽い場合は、そのまま経過をみることもあります。
行われる可能性のある検査
- 血液検査:TSH(甲状腺刺激ホルモン)、FT3、FT4(甲状腺ホルモン)
- 血液検査:抗TPO抗体、抗サイログロブリン抗体(橋本病の自己抗体)
- 甲状腺エコー(超音波検査)
診察で予想されること
血液検査の結果が出るまでに数日かかることがあります。結果によっては、甲状腺を専門とする医師を紹介され、治療方針を決めます。痛みを伴う検査はほとんどありません。
治療
治療の基本は、足りなくなった甲状腺ホルモンを薬で補うことです。ただし、初期で症状がなく、ホルモンの値が正常な場合は、薬を使わずに定期的な経過観察だけ行うこともあります。治療は体の状態に合わせて調整されます。
自宅でのセルフケア
- 処方された薬は、決められた時間に毎日飲み続ける
- 定期的に血液検査を受けて、薬の量が合っているか確認する
- 疲れが強いときは無理をせず、十分に休む
- ストレスをためない方法を見つける
- 気になる症状があれば、次の受診時に医師に伝える
医療治療
甲状腺ホルモン薬による補充療法が中心です。薬の量は、血液検査でホルモンの値を確認しながら、一人ひとりに合わせて調整されます。妊娠中や妊娠を希望する場合は、薬の量を調整する必要があるため、必ず医師に相談してください。
手術が検討される場合
ごくまれに、甲状腺が大きく腫れて圧迫感や息苦しさがある場合や、甲状腺に悪性の腫瘍が疑われる場合に手術が検討されることがあります。
この病気と共に生きる
橋本病は、治療を続けながら付き合っていく病気です。多くの人は、適切に治療すれば普通の日常生活を送ることができます。自分の体調の変化に気づきやすくするために、体重やだるさの様子をメモしておくと受診時に役立ちます。
生活習慣のアドバイス
- 睡眠を十分にとる
- 規則正しい生活を心がける
- ストレスをためすぎない
- 急な体重変化が続くようなら医師に相談する
- 首の腫れの変化に注意する
食事と運動
特別な食事制限は基本的に必要ありません。ただし、ヨード(ヨウ素)を非常に多く含む食品(昆布など)を毎日大量に食べ続けることは避けたほうが良いと言われています。適度な運動は、疲れやすさや気分の落ち込みの改善に役立つことがありますが、無理のない範囲で行いましょう。
精神的健康と心の健康
橋本病の症状には、気分の落ち込みや不安、意欲の低下など精神面に現れるものもあります。これは甲状腺ホルモンと脳の働きが関係しているためで、決して気のせいではありません。つらいときは、医師や薬剤師、家族に話しましょう。また、周りに理解者や支援者がいることを知っておいてください。
予防
橋本病は、自己免疫の異常が原因で起こるため、完全に予防する方法はありません。ただし、早期に見つけて適切に管理することで、症状や合併症を防ぐことができます。日頃から体調の変化を気にかけ、気になる症状があれば早めに受診しましょう。
検診プログラム
特別な検診は一般的ではありませんが、血液検査で甲状腺の数値がわかります。妊娠を考えている方や、家族に橋本病の人がいる方は、一度かかりつけ医に相談してみてもよいでしょう。
合併症
治療しない場合
- 甲状腺機能低下症が進み、だるさや寒がりなどの症状が悪化する
- コレステロール値が上がり、動脈硬化や心臓病のリスクが高まることがある
- 妊娠中の場合は、赤ちゃんの発達に影響することがある
- ごくまれに「粘液水腫(ねんえきすいしゅ)」という意識障害を伴う重い状態になることがある
- うつ病のような症状で、日常生活に支障が出ることがある
長期的な見通し
橋本病は、適切な治療を続ければ多くの方が健康的な日常生活を送れます。薬の調整を続けながら、長く付き合っていく病気ですが、治療で症状は大幅に改善します。少しずつ体の調子が良くなっていくことを実感できる方がほとんどです。安心して治療を続けてください。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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