無気肺(むきはい)について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
無気肺(むきはい)とは、肺の一部がつぶれてしまい、空気が入らなくなっている状態です。肺は小さな空気の袋(肺胞)がたくさん集まってできていますが、この袋がしぼんでしまうと、肺が十分にふくらまなくなります。重い病気というよりは、手術後や風邪の後などに起こりやすい状態です。
重要な事実
- 無気肺は肺の一部がしぼんだ状態で、多くの場合、時間とともに自然によくなります。
- 手術後に起こりやすく、特に全身麻酔のあとに呼吸が浅くなることが原因となります。
- 痰(たん)が気道をふさぐことで起こることもあります。
- 軽い場合は無症状のこともありますが、息苦しさや咳などの症状が出ることもあります。
はい、無気肺は一般的な状態です。特に大きな手術を受けた後や、長時間ベッドで安静にしている人に起こりやすいと言われています。
無気肺はどの年代の人にも起こりえますが、手術後の方、肺の病気(COPDなど)のある方、喫煙者、未熟児や小さな子ども、ご高齢の方で特に多く見られます。
症状
- 呼吸がゼーゼーして、大きく息を吸っても息苦しさがおさまらない
- 唇や顔色が青白く、または青紫色になっている
- 意識がもうろうとしている、呼びかけに反応しない
- 突然、激しい胸の痛みが現れた
- 息をすることができず、しゃべれない
- ⚠発熱や咳が出て、痰の色が黄色や緑色になっている
- ⚠息苦しさがだんだん強くなっている
- ⚠咳が2週間以上続いている
- ⚠胸の痛みが長く続く、または悪化する
一般的な症状
- 息切れや呼吸がしづらい感じ
- 浅く速い呼吸になる
- 乾いた咳や痰のからむ咳
- 胸の痛みや重苦しさ
- 酸素が不足して唇や爪が青っぽく見える(チアノーゼ)
子供の症状
- 呼吸が速い
- 肋(あばら)の下がへこんで呼吸する(努力呼吸)
- 機嫌が悪い、ぐったりする
- ミルクや食事を飲み込みにくい
- 唇や皮膚の色が青っぽい
高齢者の症状
- 意識がぼんやりする、反応が鈍い
- からだのだるさや疲れやすさが目立つ
- 呼吸が速くなる
- 食欲が落ちる、話すときに息が切れる
- 風邪のような症状が長引く
原因
主な原因
- 手術後の麻酔や痛みで、呼吸が浅くなり肺が十分にふくらまない
- 痰や異物が気道をふさいで、空気が肺の奥まで届かない
- 肺を圧迫するもの(胸水、腫瘍、気胸など)がある
- 長時間ベッドに寝たきりで、呼吸が浅くなる
- 喫煙や肺疾患によって肺の弾力が低下している
リスク要因
- 腹部や胸部の手術を受けた方
- 全身麻酔を受けた方
- 慢性的な肺の病気(COPD、ぜんそくなど)
- 喫煙習慣
- 高齢である
- 長期安静や寝たきりの状態
- 痛み止めや麻酔薬で呼吸が浅くなっている状態
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 息苦しさが急にひどくなる
- 唇や顔色が青い
- 意識がはっきりしない
- 高熱や濃い痰が出る
定期受診を予約すべき場合:
- 咳が長引く
- 呼吸が何となく浅い、または胸の違和感が続く
- 手術後で痰を出しにくい、呼吸がしづらいと感じる
診断
医師の診察では、聴診器で呼吸の音を確認し、血液中の酸素の量を測ります。そして、胸部X線(レントゲン)写真を撮って、肺のどの部分がつぶれているかを調べることが普通です。
行われる可能性のある検査
- 身体診察(聴診器で呼吸音を聞く)
- パルスオキシメーターによる酸素飽和度(血中酸素濃度)の測定
- 胸部X線検査(レントゲン)
- 胸部CT検査(より詳しい断面画像で確認)
診察で予想されること
診察室では、呼吸の状態や症状を詳しく尋ねられます。検査は痛みが少なく、多くの場合すぐに終わります。必要に応じて、痰の検査や呼吸機能検査を行うこともありますが、基本的には外来で対応可能です。
治療
無気肺の治療は、つぶれた肺を再びふくらませて、空気が十分に入るようにすることが目的になります。痰が原因なら痰を取り除き、圧迫があるならその原因を治療します。多くの場合、呼吸訓練や体位調整、体を動かすことなど、特別な医療処置を必要とせず改善します。
自宅でのセルフケア
- 深呼吸をこまめに行う(息を大きく吸って、ゆっくり吐く)
- 痰が出そうなときは、無理のない範囲で咳をして痰を出す
- ベッドの上でも、できる範囲で体を動かす(足踏み、肩の運動など)
- 姿勢を正して座る、または起き上がる時間を少しずつ増やす
- 水分を十分にとり、痰をからみにくくする
- 喫煙している方は禁煙を心がける
医療治療
医療機関では、呼吸を深くするための呼吸理学療法や、痰を出しやすくするための器具を使った訓練を行うことがあります。酸素の量が低い場合は酸素吸入を行い、気道をふさいでいる痰を取り除くために気管支鏡(かんし鏡)を使うこともあります。細菌感染があれば、医師が適切な抗生物質を処方します(自己判断での服用は避けてください)。
手術が検討される場合
腫瘍や異物が気道をふさいでいる場合など、原因を取り除くために手術が必要になることがあります。ただし、無気肺そのものに対して手術を行うことはまれで、まずは保存的な治療(呼吸訓練や痰の除去)を優先します。
この病気と共に生きる
無気肺の状態は、多くの場合、原因が取り除かれると回復します。手術後であれば、医師や看護師の指示に従いながら、少しずつ体を起こしたり歩いたりして、肺をふくらませることが大切です。自宅では、無理のない範囲で深呼吸や散歩などを続けましょう。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙する(喫煙は肺の働きを大きく弱めます)
- 規則正しい生活と十分な睡眠
- 痰がからみにくくするために、室内を適度に加湿する
- 長時間同じ姿勢で寝たり座ったりせず、定期的に体勢を変える
- 手指衛生を心がけて感染症を予防する
食事と運動
バランスの良い食事を心がけ、特に免疫力を高めるたんぱく質や野菜をまんべんなく摂りましょう。運動は、体力に合わせて、ウォーキングやゆっくりした体操から始めます。息切れが強くなるときは無理をせず、運動量を医師に相談して調整してください。
精神的健康と心の健康
息苦しさや長引く咳は、不安やストレスを感じさせることがあります。無理に我慢せず、その気持ちを家族や友人、医療者に伝えることが大切です。息が苦しいと感じるときは、安心できる姿勢を取る、ゆっくり呼吸するなど、自分なりのリラックス法を見つけましょう。
予防
特に手術後に関しては、無気肺は予防できることが多いです。手術後は、麻酔や痛みで呼吸が浅くなりがちですが、深呼吸や痰を出すこと、早めに体を動かすことが予防に役立ちます。また、禁煙は手術後の肺合併症を大きく減らすことが知られています。
ワクチン
インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンは、呼吸器感染症を予防することで、無気肺の原因となる痰や炎症を防ぐのに役立ちます。接種については、かかりつけ医に相談してください。
検診プログラム
特に定期的な検診はありませんが、喫煙者や肺疾患がある方は、健康診断に含まれる胸部X線検査などで肺の状態を確認することをおすすめします。
合併症
治療しない場合
- 細菌が溜まって肺炎(肺の感染症)を起こすことがある
- 肺のつぶれた範囲が広がり、呼吸困難が悪化する
- 血液中の酸素が不足して、心臓やほかの臓器に負担がかかる
- 慢性化すると、肺が元の状態に戻りにくくなる
長期的な見通し
無気肺は、原因が適切に取り除かれれば、多くの場合、肺は再びふくらみ正常な機能を取り戻します。特に手術後や痰が原因の場合は、対策を始めると数日から数週間で改善することがほとんどです。医師の指導を守り、呼吸訓練や体を動かすことを続ければ、回復が期待できる病気です。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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