偽膜性大腸炎(ぎまくせいだいちょうえん)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
偽膜性大腸炎は、大腸の内側に炎症が起こり、表面に「偽膜」という黄色っぽい膜ができる病気です。多くは抗菌薬(抗生物質)を使ったあとに、腸内細菌のバランスが崩れて、クロストリディオイデス・ディフィシル(C. difficile)という菌が増え、その毒素が大腸を傷つけることで起こります。
重要な事実
- 抗菌薬を飲んだ後に起こりやすい感染性の大腸炎です。
- 主な症状は水のような下痢、腹痛、発熱です。
- 早く見つけて適切に治療すれば、多くの人は回復します。
抗菌薬を使った人のうち数%程度が発症するとされています。特に長期に入院している患者さんや高齢者の間では、より多く見られます。
最近抗菌薬を使った人、入退院を繰り返す人、高齢者、免疫力が低下している人、胃酸を抑える薬を長く使っている人などがかかりやすいです。
症状
- 便に大量の血が混じる、または黒い便が出る
- 強い腹痛で立っていられない、おなかが張って痛い
- 高熱とともに意識がもうろうとする
- 脈が速い、冷や汗、顔色が悪いなどショックのサイン
- これらの症状がある場合は、ためらわずに119番へ通報してください。
- ⚠下痢が1日に数回以上あり、水も飲めない
- ⚠38度以上の発熱が続く
- ⚠強い腹痛やふらつきがある
- ⚠便に血や粘液が混じる
- ⚠下痢が2~3日続く
一般的な症状
- 水のような下痢(1日に数回~十数回)
- 腹痛やおなかの張り
- 発熱(37~38度以上になることも)
- 吐き気や食欲低下
- 便に血や粘液が混じることがある
- 下痢が続くことによる脱水症状(口の渇き、尿が少ないなど)
子供の症状
- 水のような下痢
- おなかの強い痛み
- 機嫌が悪い、ぐったりする
- 吐き気・嘔吐
高齢者の症状
- 水のような下痢
- 食欲が落ちる
- ふらつきや転倒
- 意識がぼんやりする
- 尿量が減る、口の渇きなどの脱水症状
原因
主な原因
- 抗菌薬の使用によって腸内細菌のバランスが崩れる
- クロストリディオイデス・ディフィシル(C. difficile)という菌が増えて毒素を出す
- 医療機関や介護施設などで、この菌に感染する
リスク要因
- 最近抗菌薬を使った
- 高齢である
- 長期の入院や施設入所をしている
- 免疫力が低下している
- 胃酸を抑える薬を長く使っている
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 下痢に加えて発熱・血便・強い腹痛がある場合は、当日中に医療機関へ電話して指示を仰いでください。夜間や休日なら、地域の急患センターや救急相談窓口に連絡しましょう。
定期受診を予約すべき場合:
- 抗菌薬の処方後に下痢が出た場合、症状が軽くても、処方した医師またはかかりつけ医に相談しましょう。
- 下痢が1週間以上続く場合や、症状が改善と悪化を繰り返す場合も早めに受診してください。
診断
医師が最近の抗菌薬使用歴や入院歴、症状を確認し、便の検査や血液検査を行います。必要に応じて腹部CTや大腸内視鏡検査が行われることもあります。
行われる可能性のある検査
- 便の検査(原因菌の毒素を調べます)
- 血液検査(炎症や脱水の程度を確認します)
- 腹部CT(大腸の腫れ・炎症の範囲を見ます)
- 大腸内視鏡検査(大腸の粘膜や偽膜を直接確認します)
診察で予想されること
診察室で症状を話し、便や血液の検査をすると、多くの場合診断のめどが立ちます。便の検査は結果が出るまで数日かかることがありますが、症状が重いときには結果を待たずに治療が始まることもあります。
治療
治療の基本は、原因となった抗菌薬を医師の判断で中止・変更し、水分と栄養をしっかり補いながら、原因菌に対して効果がある抗菌薬を使うことです。軽症では外来治療が可能ですが、重症では入院して点滴や集中的な治療を行います。
自宅でのセルフケア
- 水分を少しずつこまめにとる(経口補水液や薄めたお茶など)
- 自己判断で市販の下痢止めを使わない
- 医師の指示があるまでは抗菌薬を自分で止めない
- トイレの後は石けんと流水でしっかり手を洗う
- 熱があるときやつらいときは無理をせず安静にする
医療治療
医師が原因菌に合わせた抗菌薬を選択して処方します。症状が重い場合や飲めない場合は、入院して点滴で薬を投与することもあります。再発を繰り返す場合は、治療の期間を延ばしたり、健康な人の便を移植する便移植療法などの選択肢について、専門医と相談しながら決めていきます。
手術が検討される場合
ごくまれに、薬でコントロールできない重症例や、大腸に穴が開く・壊死するような合併症がある場合、手術が必要になることがあります。
この病気と共に生きる
症状が落ち着くまでは、外出や通勤を無理せず、体を休めることが大切です。下痢の回数や腹痛、水分が取れているかなどの記録を付けると、受診時に医療者へ伝えやすくなります。
生活習慣のアドバイス
- 手洗いを徹底する(石けんと流水で丁寧に)
- トイレや浴室を清潔に保つ
- 下痢が続く間は、タオルや衣服を家族と共用しない
- 処方された薬は指示どおりに飲み、自己判断でやめない
食事と運動
食欲があれば、おかゆ・うどん・バナナなど消化の良いものを少しずつ食べてください。脂肪の多い食事、香辛料、アルコール、カフェインは下痢が続く間は控えめに。運動は脱水が改善し、体力が戻ってから、散歩など軽いものから再開しましょう。
精神的健康と心の健康
つらい下痢や入院生活は、不安や落ち込みを感じることがあります。そうした気持ちは無理に抑えず、家族や友人、医療者に話してみましょう。精神面のサポートが必要な場合は、かかりつけ医や自治体の相談窓口が専門の支援につないでくれます。
予防
完全に防ぐことは難しいですが、抗菌薬は医師の指示に従って必要な場合だけ使うことが大切です。医療機関では手洗いや感染対策が徹底されています。厚生労働省も、医療現場での手指衛生と環境の消毒を重要視しています。自宅でも石けんと流水での手洗いを続けることが予防につながります。
ワクチン
現時点で、この病気を防ぐ一般的なワクチンはありません。
検診プログラム
健康診断のような定期検診はありません。下痢などの症状があるときに、医師が便検査などを行います。
合併症
治療しない場合
- 重度の脱水と電解質異常
- 腎臓の機能低下(腎不全)
- 巨大結腸症(大腸が異常に拡張する)
- 腸に穴が開く・腹膜に炎症が広がる
- 敗血症など全身の感染症
- 再発を繰り返す
長期的な見通し
適切な診断と治療が早く始まれば、多くの人が回復します。特に軽症のうちに対応すれば、予後は良好です。再発の可能性もありますが、そのたびに医師と相談しながら治療法を選ぶことができます。不安なときは一人で抱え込まず、早めに医療者へ相談してください。
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- 厚生労働省 感染症情報 ↗ · 日本
- 日本感染症学会 ↗ · 日本
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年8月1日
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