腸チフス(チフス熱)について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
腸チフスは、サルモネラ・チフィという細菌がおこす感染症です。汚れた水や食べ物を介してうつり、高熱やおなかの不調があらわれます。適切な治療で治る病気ですが、治療が遅れると重くなることもあります。
重要な事実
- 腸チフスは口から入った細菌が腸や血液で増えて症状を引き起こします。
- 主な症状は、長引く高熱・頭痛・おなかの痛み・食欲不振などです。
- 医療機関での適切な抗菌薬治療により、ほとんどの人は回復します。
- 手洗いの徹底と安全な水・食べ物の確保で予防ができます。
日本ではまれです。海外、特に衛生状態が十分でない地域への旅行では注意が必要です。
年齢を問わずかかる可能性があります。特に海外旅行者、小さな子ども、免疫力が低下している人は注意が必要です。
症状
- 突然の強いおなかの痛みが続く
- 血便や黒い便が出る
- 吐いたものに血が混じる
- 意識がもうろうとする、呼びかけに反応しない
- 息苦しさがある
- ⚠38℃以上の熱が2日以上続く
- ⚠何度も嘔吐して水分がとれない
- ⚠下痢がひどく、脱水の症状(尿が少ない、口が渇く)がある
- ⚠海外から戻ってまもなく、高熱やおなかの症状がある
一般的な症状
- 長く続く高熱(38℃以上の熱が数日続くことがあります)
- おなかの痛みや張り
- 食欲がない、体がだるい
- 便秘または下痢
- 胸やおなかに薄い赤い発疹(バラ疹)があらわれることがある
原因
主な原因
- サルモネラ・チフィという細菌による感染で起こります。
- 患者の便で汚染された水や食べ物、手指を介してうつります。
- 感染した人が調理した食事を食べることで広がることがあります。
リスク要因
- 衛生設備が整っていない国や地域への渡航
- 感染している人との密接な接触
- 手洗いが十分でない環境での調理・食事
- 胃酸を抑える薬の使用や免疫力が低下している状態
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 高熱が続く、またはおなかの症状が強い場合は、早めに医療機関を受診してください。
- 流行地域への渡航歴があり、発熱やおなかの症状がある場合は、そのことを医師に伝えましょう。
定期受診を予約すべき場合:
- 帰国後、体調に不安がある場合は、検診や旅行外来で相談できます。
診断
問診と診察のあと、血液や便の検査で細菌が原因かどうかを確認します。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(血液培養)
- 便の検査(便培養)
- 必要に応じて骨髄の検査が行われることもあります
診察で予想されること
検査の結果が出るまでに数日かかることがあります。結果を待つ間に、医師の判断で治療が始まることもあります。確実に診断できるよう、検査までの間も水分をしっかりとり、安静にしていましょう。
治療
腸チフスの治療は、主に抗菌薬を使い、安静と水分補給をしながら症状を和らげます。医療機関では、症状に合わせて点滴などの処置も行われます。自己判断で治療をやめず、医師の指示に従うことが回復への近道です。
自宅でのセルフケア
- 十分な休息をとる
- 水分をこまめに補給する
- 消化のよい食事を少しずつとる
- 体温をこまめに測り、記録する
- ほかの人への感染を防ぐため、手洗いを徹底し、調理をしない
医療治療
医療機関では、細菌を抑える抗菌薬による治療が行われます。重症の場合には入院して点滴などの支持療法が行われます。抗菌薬は処方された分をすべて、指示通りに飲み切ることが大切です。
手術が検討される場合
まれに、腸に穴があくなどの合併症がおきた場合には、緊急手術が必要になることがあります。
この病気と共に生きる
回復のスピードには個人差があります。熱が下がっても再発や周りの人への感染を防ぐため、医師の指示に従い、検便などの確認が終わるまで安心して過ごせるようにしましょう。
生活習慣のアドバイス
- 症状が落ち着くまで自宅で安静にして過ごす
- 家族とタオルや食器の共有を避ける
- 手洗いを流水と石けんでしっかり行う
- 医師の許可が出るまで、他人の食事を用意しない
食事と運動
回復期には、おかゆやうどんなど消化のよいものを少しずつとりましょう。運動は体力が戻ってから、無理のない範囲で再開してください。
精神的健康と心の健康
長く続く発熱や自宅での安静は、気分が落ち込むこともあります。無理をせず、家族や友人に話を聞いてもらったり、医師や看護師に相談するとよいでしょう。
予防
腸チフスは予防できる病気です。海外渡航前のワクチン接種を検討し、現地では安全な水と食べ物を選び、手洗いを徹底することが大切です。
ワクチン
腸チフスのワクチンがあります。渡航先や期間に合わせて、医療機関に相談しましょう。ワクチンがあっても、衛生対策は引き続き重要です。
検診プログラム
日本で一般的な検診はありません。渡航前や帰国後に不安がある人は、専門の医療機関に相談できます。
合併症
治療しない場合
- 腸からの出血(下血)
- 腸に穴があく(腸穿孔)
- 細菌が血液中で増える敗血症
- 意識障害や髄膜炎など、重い神経症状
長期的な見通し
腸チフスは適切な抗菌薬治療を受ければ、ほとんどの人は回復します。治療が遅れると重くなることがありますが、早期に受診すれば安心して治療を進められます。回復後も医師の指示に従って経過を見ていきましょう。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。