エーラス・ダンロス症候群(EDS)— やさしい病気の解説
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
エーラス・ダンロス症候群(EDS)は、体の中で皮膚や血管、関節などをつなぐ「コラーゲン」というタンパク質に問題があり、関節がゆるみやすく、皮膚が伸びやすく傷つきやすい、生まれつきの病気です。
重要な事実
- 関節が柔らかすぎる、またはゆるいために痛みや脱臼を起こしやすい
- 皮膚が伸びやすく、あざができやすい
- 遺伝子の変化が原因で、親から子に受け継がれることがある
まれな病気の一つですが、実際には症状が軽い人を含めるとそれほど珍しくないという考え方もあります。正確な人数はわかっていません。
どの時代や地域、性別でも見られますが、特に女性に多い傾向があるといわれています。どの年齢で診断されることもあります。
症状
- 突然の強い胸の痛みや背中の痛み(血管が破れている危険があります)
- 突然の強いおなかの痛み
- 理由のない気絶や失神
- 突然、ももやおなかなどに腫れと激しい痛みがあらわれた
- このような症状があれば、すぐに119番に電話してください
- ⚠関節がはずれて、家庭で整復できない、または強い痛みがある
- ⚠目の痛みや視力の変化
- ⚠いつものけがより治りが悪い大きな傷や出血
一般的な症状
- 関節がやわらかく、必要以上に動く(関節の過可動性)
- 関節がはずれる(脱臼)ことがある
- 皮膚が伸びやすく、切れやすく、傷あとが残りやすい
- あざができやすい
- 全身の痛みや疲れやすさ
- 足首や肩などの関節のまわりの痛み
子供の症状
- 関節がゆるいため、転びやすい
- 運動の得意不得意にむらがある(体がやわらかいが、筋肉が弱い)
- あざができやすい
- 関節の痛みや足の痛みを訴える
- 疲れやすい
高齢者の症状
- 長年の関節の負担による関節の変形や変形性関節症
- 慢性的な痛み
- 姿勢の変化や歩行の困難
- 皮膚のたるみや傷あと
原因
主な原因
- コラーゲンという結合組織を作る遺伝子の変化が原因で起こります
- 多くは親から子に遺伝しますが、親にない新しい変化で起こることもあります
- 結合組織は全身の皮膚、骨、血管、内臓にあるため、体のさまざまな場所に症状が出ます
リスク要因
- 家族の中にエーラス・ダンロス症候群の人がいる
- 妊娠や出産、大きなけがなどで症状が悪化することがあります
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 突然の胸や背中の強い痛み
- 突然の強いおなかの痛み
- 関節がはずれて激しい痛みがある
- こうした症状がある場合は、ためらわずに医療機関を受診するか、119番を利用してください
定期受診を予約すべき場合:
- 関節の痛みや脱臼が繰り返し起こる
- 皮膚が傷つきやすい、あざができやすい
- 家族に同じような症状の人がいる
- 日常生活に支障があるほどの疲労感がある
診断
診断は、問診、診察、家族歴の確認などをもとに行われます。専門医(遺伝子専門医、整形外科医、リウマチ科医など)が、関節のゆるさを点数で調べる方法や皮膚の状態を調べて診断を検討します。一部のタイプでは、血液の遺伝子検査で原因を確認します。
行われる可能性のある検査
- 関節のゆるさを評価する「ベートン(Beighton)スコア」
- 皮膚の弾力や傷あとの確認
- 遺伝子血液検査(特定のタイプが疑われるとき)
- 心臓のエコー検査(血管の状態を調べるため、血管型が疑われるとき)
診察で予想されること
診断がつくまでに時間がかかることもあります。専門的な医療機関への紹介を受けると、より詳しい検査や相談ができます。
治療
現在のところ根本的に治す治療法はありませんが、症状をやわらげ、けがや合併症を防ぐことはできます。治療は、薬だけでなく、運動や生活の工夫を組み合わせて行います。
自宅でのセルフケア
- 関節を保護するために、動作や姿勢に気をつける
- 靴やサポーターなどで足首や膝を保護する
- 皮膚をこすらない、切らないように注意する
- 急な動きや重い物を持ち上げることを避ける
- 痛みが強いときは無理をせず、休む
医療治療
治療は、痛みや症状に合わせて、消炎鎮痛薬などの薬、理学療法、作業療法、装具(サポーター)などを組み合わせて行われます。医師の指導のもとで、リハビリで筋肉を育て、関節の安定をはかります。薬の種類や量は、必ず医師に相談してください。
手術が検討される場合
脱臼が何度も起こる場合や、関節の強い痛みや不安定さがある場合には、手術が検討されることがあります。ただし、創傷治癒の問題があるため、手術の適応は慎重に決められます。
この病気と共に生きる
無理をしない、けがをしないが基本です。日々の活動にゆとりをもち、疲れをためないようにしましょう。家庭や職場の環境を調整し、からだに負担のかからない工夫をしましょう。
生活習慣のアドバイス
- 十分な睡眠と休憩
- ストレスをためない工夫(趣味やリラックス法など)
- 家の中の手すりや段差の解消など、環境を整える
- 支援者や家族と情報を共有する
食事と運動
運動は、水泳や自転車など、関節に負担の少ないものを選びましょう。筋肉を鍛えることで関節を支える力を強くできます。食事は、骨を丈夫にするためにカルシウムやビタミンDを十分に取り、バランスのよい食事を心がけましょう。食事やサプリメントについては、医師や管理栄養士に相談してください。
精神的健康と心の健康
痛みが続いたり、周りに理解されにくかったりすると、ストレスや不安、落ち込みを感じることがあります。そうした感情は自然なことです。ひとりで抱え込まず、家族や友人、医療者に話すことが大切です。気分の落ち込みが長く続く場合は、心の専門家に相談することも検討しましょう。
予防
遺伝子の変化で起こるため、病気そのものを予防することはできません。しかし、けがや脱臼、関節の変形などの合併症を予防するために、日常生活で関節に負担をかけない工夫や、皮膚を守る工夫を行うことはできます。
ワクチン
一般的な予防接種は、感染症を予防するために推奨されています。予防接種の内容や時期は、医師と相談して決めましょう。
検診プログラム
家族にこの病気の人がいる場合、遺伝カウンセリングを受けることができます。妊娠や出産についての選択肢を専門家と話し合うことができます。
合併症
治療しない場合
- 適切な管理が行われないと、関節の脱臼や痛みが繰り返して起こり、関節の変形や変形性関節症のリスクが高まります
- 皮膚の傷が治りにくく、傷あとが残りやすくなります
- 血管型では、重大な血管や内臓の破れ(破裂)につながる危険があります
長期的な見通し
エーラス・ダンロス症候群は一生つきあう病気ですが、症状に合わせて治療や生活の工夫をすることで、多くの人が日常生活を送ることができます。重症なタイプでは注意が必要ですが、適切な医療を受けることで、合併症のリスクを下げられます。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
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