ダウン症(ダウン症候群)について理解しよう
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
ダウン症は、生まれた時から体の細胞の中にある染色体の数に特徴があることで起こる状態です。染色体は、体の設計図のようなもので、この設計図に通常より1本多いものがあるため、体や発達にいろいろな影響が出ることがあります。
重要な事実
- ダウン症は、遺伝や親の責任ではなく、細胞分裂のときに偶然起こる変化です。
- 体や発達への影響は人によって大きく違い、成長とともにできることも増えていきます。
- 医療や療育・支援の発達により、多くの人が健康に生活しています。
およそ600人から800人に1人の割合で生まれると言われています。
性別を問わず、どの家庭でも生まれる可能性があります。特に妊娠した時の母親の年齢が高いほど増える傾向がありますが、年齢が若くても起こることがあります。
症状
- 突然の呼吸の苦しさ、唇や顔色が青い
- けいれんが長く続く、または何度も繰り返す
- 意識がもうろうとする、呼びかけに反応しない
- ⚠いつもと違ってぐったりしている
- ⚠水分が取れず、おしっこの量が減っている
- ⚠高熱が続く
- ⚠頭を打ってから様子がおかしい
一般的な症状
- 筋肉の力が弱く、赤ちゃんの頃は首すわりやおすわりがゆっくりです。
- 特徴的な顔つき(目がつり上がる、鼻の付け根が平らなど)が見られることがあります。
- 手のひらに一本の横じわ(猿線)があることがあります。
- 身長や体重の成長がゆっくりです。
- 言葉や運動などの発達に遅れがみられます。
子供の症状
- 歩き始めや言葉の発達が同じ年齢の子よりゆっくりです。
- 耳の感染症や目の病気(遠視など)にかかりやすくなります。
- 心臓や消化管の病気を合併することがあります。
- 遊びや学びに時間がかかりますが、根気強く関われば多くのことを身につけられます。
高齢者の症状
- 白内障や難聴などの感覚の衰えが起こりやすくなります。
- 甲状腺の病気、肥満、糖尿病などのリスクが高くなります。
- 若い時期からアルツハイマー型認知症のリスクが高いとの報告があります。
原因
主な原因
- 通常、体の細胞には46本の染色体がありますが、ダウン症では21番目の染色体が3本あるために起こります。これは細胞分裂のときのコピーの誤りなどによって生じます。
- まれに、親から受け継いだ染色体の構造の違いが原因となることもあります。
リスク要因
- 母親の妊娠時の年齢が35歳以上の場合、出生率が上がります。
- 両親のどちらかに染色体の転座がある場合は、遺伝することがあります(まれです)。
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 38度以上の発熱が続く、またはぐったりしている
- 耳の痛みや鼻水が黄色く濃くなるなど、感染症のサインがある
- うんちやおしっこの変化がある(便秘が続く、色が変わったなど)
- 目に異常を感じる(黒目が白っぽく見えるなど)
定期受診を予約すべき場合:
- かかりつけ医での定期健診
- 心臓や甲状腺の検査
- 発達の相談、療育・リハビリの相談
- 予防接種や歯科検診
診断
妊娠中に、血液検査や超音波検査で可能性を調べる出生前検査があります。生まれた後は、顔立ちや身体の特徴から疑い、血液を採って染色体を調べることで確定診断をします。
行われる可能性のある検査
- 母体血清マーカー検査(妊婦の血液で赤ちゃんの染色体異常の可能性を調べる)
- 超音波(エコー)検査
- 羊水検査(細い針で羊水を採り、染色体を調べる確定検査)
- 出生後の染色体血液検査
診察で予想されること
出生前に可能性が分かった場合も、確定診断にはさらに詳しい検査が必要です。診断後は、小児科医や遺伝カウンセラー、保健師が、赤ちゃんに合った支援計画を一緒に考えます。家族が心配していることを話し合う機会も大切です。
治療
ダウン症そのものを治したり、進行を止めたりする薬はありません。大切なのは、合併している病気をきちんと治療し、発達を支援していくことです。お子さんの場合は、乳児期から筋肉の発達を促すリハビリテーションや、ことば・運動・生活のスキルを育てる療育が中心になります。
自宅でのセルフケア
- 規則正しい生活リズムを整える
- バランスの良い食事と適度な運動を心がける
- 感染症予防のため、手洗い・うがいを習慣にする
- 寝る前の歯みがきなど、生活習慣を身につける
医療治療
合併する心臓病、甲状腺疾患、耳鼻咽喉(耳・鼻・のど)の病気、目の病気などは、それぞれの専門医が治療を行います。治療薬の種類や量は、年齢・体重・症状に合わせて医師が決めます。どのような治療が必要かは、必ず医師の説明を受けてから決めてください。
手術が検討される場合
心臓の奇形や消化管の閉鎖などで、出生直後から手術が必要になることがあります。大きな手術になる場合は、小児心臓外科などの専門チームと事前にしっかり相談します。また、首の骨(環軸椎)の不安定などで手術が必要になる場合もあります。
この病気と共に生きる
ダウン症のある人は一人ひとりの性格や能力が異なります。できないことではなく、できることに目を向け、本人のペースで生活できるようにすることが大切です。日常生活のなかで、自分で身の回りのことをする経験を増やすと、自信につながります。
生活習慣のアドバイス
- 絵本を読む、音楽を聴くなど、楽しく刺激になる時間をもつ
- 地域のイベントや親子サークルに参加して、交流を広げる
- 学校や職場の理解者がいる環境を大切にする
- 知的障害や発達の状況に合った支援(個別の教育計画・就労支援など)を活用する
食事と運動
成長に合わせて、不足しがちな栄養(特に鉄やビタミンD)に注意した食事がすすめられます。運動は、全身の筋肉をきたえ、肥満や生活習慣病を防ぐためにも大切です。かかりつけ医や管理栄養士に相談しながら、無理のない範囲で楽しく取り組みましょう。
精神的健康と心の健康
ダウン症のある人も、家族も、思いどおりにいかずに不安や悲しみを感じることがあります。特に思春期や成人期には、気分の落ち込みや不安をうつ状態として表すこともあります。気になる様子があれば、早めに医師や相談機関に話しましょう。
予防
ダウン症は細胞分裂の偶然の変化で起こるため、現在の医学では予防する方法はありません。妊娠を考えている方は、遺伝カウンセリングや出生前検査について、あらかじめ医師と話し合うことができます。
ワクチン
ダウン症そのものを予防するワクチンはありません。ただし、感染症にかかりやすい面があるため、かかりつけ医の指示に従って定期予防接種をきちんと受けることが大切です。
検診プログラム
妊娠中の出生前検査では、染色体異常の「可能性」を調べることができます。ただし、どの検査も確実な確定診断ではなく、受けるかどうかは強制ではありません。十分な説明を受け、夫婦でよく相談して決めてください。
合併症
治療しない場合
- 心臓の病気や甲状腺の病気を放置すると、全身の発育や健康に大きく影響します。
- 耳の感染症を繰り返すと、難聴が進み、ことばの発達に影響が出ることがあります。
- 首の骨(環軸椎)の問題を放置すると、脊髄が圧迫されて運動障害が出ることがあります。
長期的な見通し
医学の進歩と社会の支援により、ダウン症のある人の寿命はのびており、多くの人が成人し、働いたり暮らしたりしています。心臓や甲状腺などの病気をきちんと治療し、発達を支援し続けることで、充実した人生を送ることができます。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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