肝不全について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
肝不全とは、肝臓が病気やけがで強く傷つき、大切な働きを十分にできなくなった状態です。肝臓は、食べ物の栄養を処理したり、体に害のあるものを分解したり、出血を止める物質を作ったりする働きを持っています。この働きが低下すると、全身にさまざまな症状があらわれます。
重要な事実
- 肝不全は、急に起こることもゆっくり進むこともあります。
- 原因が分かれば、治療や管理によって症状を抑えられることがあります。
- 肝臓には再生する力があるため、早期に適切な対応をすれば回復が期待できる場合があります。
肝不全そのものは比較的まれな病気ですが、肝硬変など長い間の肝臓病がある人では一定の割合でみられます。日本では、ウイルス性肝炎や脂肪肝、飲酒による肝障害が主な原因とされています。
どの年齢でも起こり得ますが、慢性の肝臓病がある方、お酒を多く飲む方、肝炎ウイルスに感染したことがある方に多くみられます。男性は女性よりやや多いとされています。
症状
- 意識がもうろうとする、呼びかけに反応が乏しい
- 大量に血を吐く
- 黒色の便が出る(消化管からの出血の可能性)
- 呼吸が苦しい
- これらの症状がある場合は、ためらわずに119番に連絡してください
- ⚠皮膚や白目が急に黄色くなった
- ⚠強いおなかの痛みがある
- ⚠高熱が続く
- ⚠普段と違う強いだるさや吐き気が数日続く
一般的な症状
- 疲れやすい、体がだるい
- 食欲がない
- 吐き気やおう吐
- 皮膚や白目が黄色くなる(黄疸)
- おなかが張る(腹水)
- あざができやすい、出血しやすい
- 手足のむくみ
- 意識がもうろうとする(肝性脳症の可能性)
子供の症状
- 哺乳力が弱い、体重が増えない
- 黄疸が長引く
- 尿の色が濃い、便の色が白い
- 機嫌が悪い、嘔吐が続く
高齢者の症状
- 薬の影響で症状が現れやすい
- だるさや食欲低下が他の病気と似ていて気づきにくい
- 皮膚がかゆい
- 意識の変化(うつろになる、混乱する)
原因
主な原因
- ウイルス性肝炎(B型・C型肝炎など)
- 長期間にわたる大量の飲酒
- 脂肪肝・非アルコール性脂肪肝炎
- 薬の副作用
- 自己免疫性肝炎
- 生まれつきの代謝異常
- 肝臓の血流の障害
リスク要因
- お酒を大量に長期飲むこと
- 肝炎ウイルスへの感染
- 肥満や糖尿病(脂肪肝のリスクを高める)
- 肝臓に影響のある薬の長期使用
- 肝臓がんや胆道の病気
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 黄疸が目立つ
- 数日続く吐き気や食欲不振
- 尿が濃い、便の色が薄い
- おなかが張ってきた
定期受診を予約すべき場合:
- 健康診断で肝機能の結果が引っかかった
- 疲れやすさやだるさが続く
- お酒の量が多いと自覚している
- 肝臓病と診断されたことがある
診断
肝不全かどうかは、問診、身体診察、血液検査、画像検査などを組み合わせて診断します。医師が原因を探るため、飲酒や薬の使用歴、過去の病気についても詳しく聞きます。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(AST・ALT・ビリルビン・アルブミン・血液凝固の検査など)
- 腹部超音波(エコー)検査
- CT検査
- MRI検査
- 肝生検(針で肝臓の組織を少し採って調べる検査)
診察で予想されること
検査は一般的な医療機関で受けられます。肝不全が疑われる場合は、消化器内科や肝臓専門医を紹介されることもあります。結果の説明があるまでは不安が続くかもしれませんが、医師や看護師に遠慮なく質問してください。
治療
治療は肝不全の原因と重症度によって異なります。専門医の指導のもとで、原因を取り除くこと、症状を和らげること、肝臓の回復を助けることを目指します。すべての患者さんに当てはまる単一の治療法はなく、一人ひとりに合わせた治療が行われます。
自宅でのセルフケア
- 医師が指示した通りに通院し、検査を受ける
- お酒は医師の指示に従って完全に控える
- 塩分やたんぱく質のとり方は、医師や管理栄養士と相談して調整する
- 処方された薬は用法・用量を守る、市販薬も自己判断で飲まない
- 十分な休息をとり、疲れをためない
医療治療
治療薬は原因や症状に応じて選択されます。例えば、ウイルス性肝炎に対する抗ウイルス治療、炎症を抑える薬、腹水やむくみを改善する薬、脳の症状を改善する薬などがあります。これらは医師が効果と安全性を判断して処方します。また、栄養療法や点滴による支持療法も行われることがあります。重症の場合は、血液を浄化して肝臓の働きを助ける人工肝補助療法が行われることもあります。
手術が検討される場合
肝不全が非常に重く、肝臓の再生が見込めない場合は、肝移植が検討されることがあります。移植はいくつかの条件を満たす必要があり、専門の施設で進められます。
この病気と共に生きる
肝不全の治療は長期にわたることが多いため、毎日の生活習慣がとても大切です。かかりつけ医との連携を保ち、定期的に検査を受けながら、焦らずに生活を整えていくことが大事です。家族や周囲のサポートも大きな力になります。
生活習慣のアドバイス
- 規則正しい生活リズムを保つ
- お酒を完全にやめる
- 体重を適正に保つ
- 手洗いなど感染症対策を心がける
- 市販薬を買う前に薬剤師に相談する
食事と運動
肝臓に負担をかけない食事が基本です。塩分や脂肪のとりすぎを避け、たんぱく質の量は医師や管理栄養士の指示に従いましょう。運動は無理のない範囲で、短い時間の散歩などから始めるとよいでしょう。ただし、腹水やむくみがあるときは、運動の程度について医師に相談してください。
精神的健康と心の健康
肝不全は長く付き合う病気が多く、不安や気分の落ち込みを感じることもあります。自分の気持ちを家族や医療者に話したり、必要に応じて心理的なサポートを求めることも大切です。つらい気持ちが続くときは、ひとりで抱え込まずに相談しましょう。
予防
肝不全のすべてを予防できるわけではありませんが、原因となる肝臓病を早期に見つけてきちんと管理することで、肝不全への進行を防ぐことができます。飲酒を控えること、バランスのよい食事と適度な運動を続けることが基本です。
ワクチン
B型肝炎症はワクチンで予防できます。予防接種を希望する場合は、かかりつけ医に相談してください。
検診プログラム
健康診断の血液検査で肝機能の状態を調べることができます。お酒を多く飲む方や慢性の肝臓病がある方は、定期的な検査を受けることをおすすめします。
合併症
治療しない場合
- 食道静脈瘤(食道の血管が膨れて破裂することがある)
- 腹水がたまり、感染症を起こすことがある
- 肝性脳症(意識障害や性格変化)
- 肝臓がん
- 腎臓の働きの低下
- 出血しやすくなる
長期的な見通し
原因が取り除かれれば、早期の肝不全では回復が期待できることもあります。たとえ進行していても、適切な治療や生活管理によって症状を抑え、生活の質を保つことが可能です。近年は治療の選択肢も増えており、希望を持って治療に取り組むことが大切です。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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