壊疽性膿皮症(PG)とは
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
壊疽性膿皮症(PG)は、皮膚に強い炎症が起こり、痛みをともなう深い潰瘍(損傷)ができるまれな病気です。感染症ではありません。免疫の働きに異常があることが関係すると考えられています。
重要な事実
- かさぶたや潰瘍が急にできて、広がることがあります。
- 皮膚の小さな傷がきっかけで起こることもあります。
- 炎症性腸疾患など、他の病気と合併することがあります。
まれな病気で、100万人に数人程度という報告があります。
20歳から50歳の成人に多くみられますが、子どもや高齢者にも起こることがあります。男女差はほとんどありません。
症状
- 潰瘍が急に急速に広がり、全身に激しい痛みがある
- 高熱(38度以上)が続き、悪寒がする
- 潰瘍から強い出血があり、止まらない
- 意識がもうろうとする、または呼吸が苦しくなる
- 上記のような症状がある場合は、ためらわずに救急車(119番)を呼んでください。
- ⚠潰瘍の周りが急に赤く腫れて熱を持つ
- ⚠膿や悪臭をともなう分泌物が出る
- ⚠痛みが強くなり、日常生活ができないほどになる
- ⚠潰瘍が急に深くなっている
- ⚠このような症状がある場合は、まず皮膚科またはかかりつけ医に電話で相談し、指示を仰いでください。
一般的な症状
- 小さな赤いしこりや水ぶくれから始まり、急速に痛みをともなう潰瘍になります。
- 潰瘍の縁が紫色に腫れて、中心部が崩れて深い傷になることがあります。
- 強い痛みがあり、通常の鎮痛薬では治まりにくいことがあります。
- 潰瘍は脚(特にすね)にできやすいですが、体のどこにでも現れる可能性があります。
- 症状がひとつの場所に限られることもあれば、複数の場所に同時に出現することもあります。
子供の症状
- 子どもでは、潰瘍が首や顔、陰部まわりにできることがあります。
- 発熱や全身の倦怠感をともないやすいです。
- 潰瘍が急速に大きくなることがあるため、早めの受診が必要です。
高齢者の症状
- 高齢者では、脚の潰瘍が治りにくく、繰り返すことがあります。
- 糖尿病や動脈硬化など、他の病気を合併しやすいため、傷の状態が複雑になりがちです。
- 痛みが強くても我慢してしまう傾向があるため、周囲のサポートが大切です。
原因
主な原因
- 免疫の異常によって、体が自分の皮膚を攻撃してしまうと考えられています。
- 正確な原因はまだ完全には解明されていません。
- 皮膚の小さな傷、手術の跡、虫刺されなどが引き金になることがあります。
リスク要因
- 潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患
- 関節リウマチなどの自己免疫疾患
- 血液の病気(白血病や骨髄異形成症候群など)
- 家族歴がある場合(まれですが)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 皮膚に痛みをともなう潰瘍が急速に広がる場合
- 潰瘍の周りが赤く腫れたり、熱を持ったりする場合
- 発熱をともなう場合
定期受診を予約すべき場合:
- 2週間以上治らない皮膚の傷がある場合
- 繰り返しできる潰瘍に悩んでいる場合
- 他の病気(炎症性腸疾患など)がある場合に皮膚に異常が現れた
診断
壊疽性膿皮症の診断は、問診と皮膚の視診・触診が中心になります。他の病気(感染症や血管の病気、皮膚がんなど)を除外するための検査を行いつつ、特徴的な皮膚所見を確認して総合的に診断します。
行われる可能性のある検査
- 血液検査:炎症の程度や、関連する持病がないかを調べます。
- 皮膚生検(組織検査):潰瘍の縁の一部を採取して顕微鏡で調べ、診断を確認します。
- 培養検査:細菌感染を除外するために、拭き取り検体を調べることがあります。
- 画像検査:必要に応じて、腹部の超音波や内視鏡検査で炎症性腸疾患がないかを調べることもあります。
診察で予想されること
診断には時間がかかることがあります。他の病気を除外してから初めて診断が確定するため、受診から診断まで数週間以上を要することも珍しくありません。
治療
治療の中心は、皮膚の炎症を抑えて潰瘍を治し、再発を防ぐことです。原因となる基礎疾患がある場合には、その治療を並行して行うことも大切です。傷の状態に合わせて、外用薬、内服薬、注入療法などを組み合わせて行います。
自宅でのセルフケア
- 傷をいじったり、かさぶたをはがしたりしない。
- 強い刺激のない保湿を心がけ、皮膚を乾燥させない。
- 潰瘍を保護するために、医師が処方する被覆材を正しく使う。
- 急な外傷を避けるため、必要に応じて下肢を保護する。
- 痛みが強いときは医師に報告し、適切な対策を相談する。
- 喫煙している場合は禁煙を目指す(傷の治りに悪影響が出るため)。
医療治療
治療には、炎症を抑える塗り薬・飲み薬や、免疫系にはたらきかけて炎症を鎮める薬が使われます。場合によっては、直接潰瘍に注射する方法をとることもあります。基礎疾患がある場合は、そちらも専門医と連携して治療します。寝たきりの方などでは創傷処置を専門のチームが行うことがあります。
手術が検討される場合
外科手術は通常避けられます。傷つけることで症状が悪化(パテルギー現象)するためです。ただし、感染が重症化した場合や、複雑な創傷管理が必要な場合には、専門医の判断で症状が落ち着いた後に慎重に手術が検討されることがあります。
この病気と共に生きる
壊疽性膿皮症は慢性的に経過することが多く、治療を続けながら生活を見直すことが必要な病気です。痛みを無理に我慢せず、通院や処置の時間を確保するために周囲の協力を求めましょう。
生活習慣のアドバイス
- 入浴時は刺激の少ない石けんを使い、やさしく洗う。
- 傷を保護するテープや包帯の選び方を看護師に相談する。
- 外出時は肌を保護する服装を心がける。
- 体調の変化を記録し、受診時に伝える。
- 十分な睡眠と休息をとり、疲労をためないよう気をつける。
- ストレスをためすぎないよう、趣味や身体に負担の少ない活動で気分転換をする。
食事と運動
特別な食事療法はありませんが、栄養バランスのよい食事は傷の治りを助けます。たんぱく質やビタミンを適切にとり、食事量が減っている場合は栄養士に相談しましょう。運動は、潰瘍の状態が安定していれば、無理のない範囲で歩くなどの活動を続けることが大切ですが、傷をこすったり圧迫したりする運動は避けてください。
精神的健康と心の健康
痛みや見た目の変化、長引く治療によって、不安や抑うつ、孤立感を感じることがあります。こうした感情は自然なものであり、一人で抱え込まず、家族や友人、医療者に気持ちを話すことが大切です。もし自分を傷つけたいという考えが浮かんだ場合は、すぐに精神保健の専門家や救急外来へ相談してください。緊急性が高ければ119番に電話することも選択肢です。必要に応じて心理的なサポートを受けることも大切です。
予防
壊疽性膿皮症そのものを完全に予防する方法はありませんが、引き金となる皮膚の外傷を避け、肌を清潔に保つことが、新たな病変の出現を減らすうえで役立つ可能性があります。
ワクチン
特になし
検診プログラム
一般の健康診断で壊疽性膿皮症を詳しく調べることはありません。
合併症
治療しない場合
- 潰瘍がさらに深く広がり、筋肉や骨まで達することがあります。
- 細菌感染を合併して敗血症(全身の重い感染症)のリスクが生じることがあります。
- 治癒後に強い瘢痕(傷跡)が残ることがあります。
- 関節の近くに潰瘍ができた場合、関節の動きが制限されることがあります。
長期的な見通し
壊疽性膿皮症は治療が難しい側面もありますが、近年の治療の進歩により、多くの人は潰瘍の改善や寛解(症状が落ち着いた状態)を目指せます。再発を繰り返すこともありますが、適切な治療を続けることで日常生活の質を保つことができます。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年8月1日
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