ATTRアミロイドーシスについて
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
ATTRアミロイドーシスは、トランスサイレチンというたんぱく質が異常な形に変わり、「アミロイド」と呼ばれる繊維状の物質となって心臓や神経などにたまり、臓器のはたらきを低下させる病気です。遺伝するタイプと、年齢とともに起こるタイプがあります。
重要な事実
- 心臓や手足の神経に影響が出ることがあります。
- 遺伝性(家族性)ATTR型は、家族に同じ病気の人がいる場合があります。
- 早期にみつかり治療を始めると、進行を遅らせることができます。
まれな病気です。最近は診断技術の進歩により、以前考えられていたよりも少なくない可能性が報告されていますが、一般の人にはまず見られません。
遺伝性のタイプは全世界のさまざまな家系で見られ、通常は成人期以降(30~60代)に症状が出ます。加齢性のタイプは主に60歳以上の男性に多く見られます。
症状
- 胸の強い痛みが続く
- 息ができなくなるほどの息苦しさ
- 突然意識を失った
- 脈が急に速くなり、めまいや失神をともなう
- ⚠むくみが急に悪化した
- ⚠新しい動悸(脈の乱れ)を感じる
- ⚠日中も息切れが強くなった
一般的な症状
- 動くと息切れする
- 足やまぶたのむくみ
- 手足のしびれ・感覚がにぶる
- 慢性の下痢や体重減少
- 疲れやすさ
子供の症状
- 子どもではほとんど症状が出ません。遺伝子を受け継いでいても、大人になってから症状が始まることがほとんどです。
高齢者の症状
- 心臓のポンプの力が弱くなる「心不全」の症状が出やすい
- 階段や歩行時の息切れ
- 足首や脚のむくみ
- 夜に横になると息苦しくなる
- 立ちくらみや失神
原因
主な原因
- 遺伝子の変異により、トランスサイレチンが不安定になってアミロイドがたまる(遺伝性)
- 年齢とともに正常なトランスサイレチンが徐々に異常に変化してたまる(加齢性)
リスク要因
- ATTRアミロイドーシスの家族歴
- 加齢(特に60歳以上)
- 男性(加齢性のタイプに多い)
- アフリカ系の家系では特定の遺伝子変異が多いとされます(日本ではまれ)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 胸の痛み、息苦しさ、意識を失うなどの症状があれば、ためらわずに救急(119番)を呼んでください。
定期受診を予約すべき場合:
- 原因のはっきりしない息切れ・むくみ・手足のしびれが続く
- 家族にアミロイドーシスの人がいる
- 手根管症候群(手のしびれ)と診断されたことがある
診断
症状や家族歴の聞き取りから疑い、心臓の検査や血液の検査、組織の一部を取って調べる生検などで診断します。疑いがある場合は、専門の医療機関を紹介されます。
行われる可能性のある検査
- 血液検査・尿検査
- 心臓の超音波検査(心エコー)
- 心臓MRI(磁気共鳴画像)
- 骨シンチグラフィー(放射性の薬を使った画像検査)
- 組織生検(組織の一部を顕微鏡で調べる)
- 遺伝学的検査
診察で予想されること
診断には数か月かかることがあります。心臓と神経の両面から検査が進められます。検査は痛みをともなうものもありますが、医師や看護師がていねいに説明しながら進めます。
治療
現在の治療は、病気の進行を抑えることと、出ている症状をやわらげることを目標にします。近年、進行を遅らせる新しい薬が登場し、治療の選択肢が広がっています。
自宅でのセルフケア
- 処方薬は医師の指示どおりに飲み、自己判断でやめない
- 体重を毎日測り、急な増加に気をつける
- 塩分のとりすぎに注意する
- 十分な休養をとり、無理をしない
医療治療
心不全の症状には、循環器の専門医による治療が行われます。神経の症状には、痛みやしびれをやわらげる治療を行います。病気の進行を抑える薬には、TTR四量体を安定させる薬や、肝臓での異常たんぱく質の産生を抑える薬などがあります(日本で承認されたものがいくつかあります)。具体的な薬は、専門医が病型や症状に合わせて検討します。
手術が検討される場合
遺伝性のタイプでは、肝移植が検討されることがあります。また、心臓の機能が低下している場合には、ペースメーカーや補助人工心臓などの処置が必要になることがあります。
この病気と共に生きる
定期的に通院し、心臓の状態や神経の症状をチェックしながら生活します。進行の速さには個人差があるため、主治医と相談しながら無理のない生活リズムをつくりましょう。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙と節酒(特に心臓への負担を減らすため)
- ウォーキングなど無理のない範囲で体を動かす
- 十分な睡眠と休息
- ストレスをためずに気分転換の時間を持つ
食事と運動
心不全がある場合は減塩が大切です。極端な食事制限はせず、バランスのよい食事を心がけましょう。運動は、息切れが起きない程度の強さで、医師の許可を得てから行うのが安心です。
精神的健康と心の健康
原因がわからないまま症状が続くと、不安や気分の落ち込みを感じることがあります。病気とともに生きる気持ちのケアも大切です。病気を話せる相手や専門のカウンセラーを見つけましょう。
予防
遺伝性のタイプを完全に予防する方法はありませんが、発症前から遺伝カウンセリングを受けることで、生活設計について考えることができます。加齢性のタイプも、はっきりした予防法はまだありません。
ワクチン
心不全になると感染症で重症化しやすくなります。インフルエンザや肺炎球菌のワクチン接種を、主治医と相談して検討しましょう。
検診プログラム
一般の健康診断ではこの病気を調べることはありません。家族歴がある場合は、症状がなくても専門医に相談し、定期的な検査を受けることができます。
合併症
治療しない場合
- 心臓の機能が低下して、重い心不全になる
- 不整脈(心房細動など)を起こす
- 末梢神経の障害が進み、歩行が難しくなる
- 進行すると日常生活に大きな介助が必要になる
長期的な見通し
診断されて治療を始めれば、進行を遅らせることができる時代になりました。すべての症状がなくなると限らないかもしれませんが、多くの場合、今後数年にわたって安定した生活を送ることができます。あきらめずに治療を続けることが大切です。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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