非浸潤性乳管がん(DCIS)について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
非浸潤性乳管がん(DCIS)は、乳房の中にある乳管(母乳の通り道)の内側に異常な細胞ができる病気です。この異常な細胞は乳管の中だけにとどまり、まだ周りの組織に広がっていないため、「0期の乳がん」や「前がん病変」とも言われます。適切な治療や経過観察をすれば、予後はとても良好です。
重要な事実
- DCISは、乳管の中に異常な細胞ができるものの、乳管の外に広がっていない状態です。
- 多くの場合、自覚症状がなく、乳がん検診のマンモグラフィで偶然見つかります。
- 放置すると、浸潤性乳がんに進む可能性があるため、診断されたら治療が必要です。
乳がん検診が普及した近年、乳がんと診断される女性の約2割がDCISです。以前よりも多く見つかるようになってきました。
主に40代から50代の女性に多く見られますが、30代の若い女性や70代以上の方でも見つかることがあります。男性では非常にまれです。
症状
- 突然の激しい胸の痛みや圧迫感がある場合
- 呼吸が苦しい、意識がもうろうとする場合
- 重度の出血がある場合
- ⚠乳房にしこりを触れる
- ⚠乳頭から血や異常な分泌液が出る
- ⚠乳房の皮膚がえくぼ状に凹む、または赤く腫れる
- ⚠乳頭が内側に引っ込む(以前からではない場合)
一般的な症状
- 自覚症状がないことがほとんどです。
- 乳房にしこりを触れることがあります。
- 乳頭から血液が混じった分泌物が出ることがあります。
- 乳房の皮膚がえくぼのように凹んだり、乳頭が引き込まれることがあります。
子供の症状
- 小児にDCISが起こることはほとんどありません。胸のしこりや変化があれば、早めに小児科医や乳腺専門医に相談しましょう。
高齢者の症状
- 高齢者でも自覚症状がないことがほとんどですが、しこりや乳頭からの分泌物に気づくこともあります。年齢に関係なく、異常を感じたら医療機関に相談してください。
原因
主な原因
- DCISの正確な原因はまだ完全にはわかっていません。乳管の中の細胞の遺伝子に変化が起こることがきっかけになると考えられています。
リスク要因
- 女性であること
- 年齢(特に50歳以上)
- 乳がんや卵巣がんの家族歴があること
- 初経が早い、または閉経が遅い
- 出産経験がない、または授乳をしたことがない
- 飲酒習慣
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 上記の「緊急症状」に該当する場合は、119番で救急車を呼んでください。DCIS自体は緊急の病気ではありませんが、他の重大な病気の可能性を考える必要があります。
定期受診を予約すべき場合:
- 乳房のしこり、乳頭からの分泌物、皮膚の変化などがある場合は、1~2週間以内に乳腺外来または産婦人科を受診しましょう。
- 症状がなくても、30歳を過ぎたら定期検診を心がけましょう。
診断
まず乳がん検診(マンモグラフィ)や超音波検査で異常が見つかることが多いです。確定診断には、異常な組織の一部を細い針で採取する「針生検」という検査を行い、顕微鏡で詳しく調べます。
行われる可能性のある検査
- マンモグラフィ(乳房X線検査)
- 乳房超音波検査
- 針生検(組織を採取して調べる検査)
- 必要に応じて乳房MRI検査
診察で予想されること
検査は外来で行われることが多く、針生検は麻酔をするのでほとんど痛みはありません。結果が出るまでに数日から1週間ほどかかります。医師から説明を受ける際には、不安なことや質問をあらかじめメモしておくと良いでしょう。
治療
DCISは浸潤がんではないため、病変を確実に取り除くための手術が治療の中心です。手術後には、再発を防ぐために放射線治療やホルモン療法を行うことがあります。どの治療を選ぶかは、病変の広がりや悪性度、年齢、体の状態などを考慮して、医師とよく相談して決めていきます。
自宅でのセルフケア
- 術後は、医師や看護師の指示に従って腕のリハビリを行いましょう。
- 治療中にだるさや不安などの副作用や症状が出た場合は、我慢せずに医療者に伝えましょう。
- 十分な休養と睡眠をとり、体を回復させることが大切です。
医療治療
治療には主に手術(乳房温存術または乳房切除術)が行われます。必要に応じて、放射線治療やホルモン療法(乳がんの細胞がホルモンに反応するタイプの場合)を組み合わせます。具体的な薬剤名や用量は、必ず担当医に相談してください。
手術が検討される場合
通常、治療の第一歩は手術です。病変が小さい場合はがんの部分だけを切除する「乳房温存術」で乳房を残せることが多いです。病変が広い場合や良性に見えても完全に取り除きたい場合には「乳房切除術」が選ばれることもあります。最終的な決断は、十分な説明を受けた上で、自分の希望も医師に伝えて行いましょう。
この病気と共に生きる
治療後も定期的な通院とマンモグラフィなどの画像検査が必要です。手術後は腕が動かしにくくなったり、だるさが残ることがありますが、時間とともに回復していきます。術後の変化で気になることがあれば、次回の受診時に相談しましょう。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙をしましょう。
- 飲酒はほどほどに(できるだけ控えめに)しましょう。
- 無理のない範囲で体を動かす習慣をつけましょう。
- ストレスをため込まず、趣味や気分転換の時間を持ちましょう。
食事と運動
再発を予防する特別な食事は確立されていませんが、野菜や果物、全粒穀物を多く取り、脂肪や糖をとりすぎないバランスの良い食事が基本です。運動は、体力維持や気分の改善に役立ちます。食生活や運動で分からないことがあれば、管理栄養士や医師に相談しましょう。
精神的健康と心の健康
がんと診断されたり、前がん病変と説明されたりすると、とても不安になるのは自然な気持ちです。自分一人で抱え込まず、家族や友人に気持ちを話しましょう。「こんな不安を感じるのは自分だけではない」と理解して、感情を表現することが大切です。
予防
DCISを完全に予防する方法はまだありません。最も大切なのは、乳がん検診を定期的に受けて早期に見つけることです。
ワクチン
乳がんを直接予防するワクチンはありません。
検診プログラム
日本では、40歳以上の女性に2年に1回の乳がん検診(マンモグラフィ)が推奨されています。自治体のがん検診や職場の健診をぜひ利用しましょう。自己検診だけに頼らず、医師による診察や機器を使った検診も定期的に受けてください。
合併症
治療しない場合
- そのまま放置すると、異常な細胞が乳管の外に広がり、浸潤性乳がんへ進む可能性があります。
- 浸潤がんに進むと、手術や薬物療法などより幅広い治療が必要になることがあります。
- さらに病状が進むと、リンパ節や他の臓器に転移する可能性があります。
長期的な見通し
DCISは前がん病変であり、まだ浸潤していません。適切な治療を受ければ、その後の生命予後は極めて良好です。多くの場合、再発なく健康的な生活を続けられます。不安な点は繰り返し医師に尋ね、安心できるまで話し合いましょう。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年8月1日
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