ブルセラ症(動物からうつる感染症)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
ブルセラ症は、ブルセラという細菌によって起こる感染症です。おもに感染した牛や豚、山羊、羊などの動物との接触や、殺菌されていない牛乳や乳製品をとおして人にうつります。人から人へうつることはほとんどありません。
重要な事実
- ブルセラ症は「人獣共通感染症」で、動物から人にうつります。
- 主な症状は発熱・だるさ・関節痛などで、風邪に似ています。
- 放置すると数か月から数年にわたって症状が続くことがあります。
- 適切な治療を受ければ、多くは治る病気です。
- 日本ではまれですが、海外旅行や輸入食品をきっかけに発症することがあります。
日本ではとてもまれな病気です。しかし、世界中では年間数十万人の感染が報告されており、海外の酪農・牧畜地域や、そこで働く方・旅行者に多くみられます。
牧場や食肉加工場で働く方、獣医師、狩猟をする方など、動物と接する機会が多い人がかかりやすい病気です。また、殺菌していない生の乳製品を食べることも感染のきっかけになります。
症状
- 意識がもうろうとする、呼びかけに反応しない
- 呼吸が苦しい、胸の痛みが強い
- けいれんが起きている
- 突然の激しい頭痛や首の痛みがある
- ⚠40度近い高熱が続く
- ⚠水分がとれず、ぐったりしている
- ⚠激しい頭痛や嘔吐を繰り返す
- ⚠激しい関節痛や背中の痛みで動けない
- ⚠鼻血が止まらない、内出血が増える
一般的な症状
- 発熱(上がったり下がったりを繰り返す)
- 全身のだるさ・疲労感
- 夜間の発汗
- 関節痛・筋肉痛
- 食欲不振と体重減少
原因
主な原因
- ブルセラという細菌が、口や傷口から体内に入ることで感染します。
- 殺菌していない(生の)牛乳や乳製品を飲む・食べる
- 感染した動物の血液・体液・胎盤・肉に直接触れる
- 動物の尿や便、汚染された土や水が口や傷口に入る
リスク要因
- 酪農場・食肉加工場など動物と接する仕事
- 獣医師や検査技師など、動物の検体を扱う仕事
- 狩猟や動物の解体を行うこと
- 未殺菌の乳製品を食べること
- ブルセラ症が多い地域(中東・アフリカ・中央アジア・南米など)への旅行
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 高熱が続く、または熱を繰り返す
- 関節や背中の痛みが強く、動かしにくい
- 妊娠中に発熱や体調不良がある(妊娠中のブルセラ症は流産・早産のリスクがあるため)
定期受診を予約すべき場合:
- 動物や生乳製品に触れる機会があり、その後1週間以上発熱やだるさが続く
- 海外旅行から帰国してから原因不明の熱や関節痛がある
- 原因不明の発熱が長引いているが、緊急ではない場合
診断
医師が問診で症状や動物との接触歴、海外渡航歴を確認し、血液検査などを行って診断します。ブルセラ症は感染症法で定められた「四類感染症」に指定されているため、診断された場合には保健所へ報告されます。
行われる可能性のある検査
- 血液培養(血液中の細菌を調べる検査)
- 血清抗体検査(体の中にできた抗体を調べる検査)
- PCR検査(遺伝子を直接検出する検査)
- 必要に応じて、X線・CT・MRIなどの画像検査
診察で予想されること
血液検査の結果がわかるまで数日かかることがあります。ブルセラ症は診断が難しいこともあり、医師は問診を詳しく行い、場合によっては繰り返し検査をします。保健所の協力が必要になることもありますが、診断のための検査は医療機関で安心して受けられます。
治療
ブルセラ症の治療は、抗菌薬を複数組み合わせて、数週間から数か月間つづけます。症状がやわらいでも、細菌を完全に取り除き再発を防ぐために、医師の指示どおり治療を最後まで続けることがとても大切です。
自宅でのセルフケア
- 処方された薬は、症状がよくなっても自己判断でやめず、医師の指示どおり飲み続ける
- 発熱やだるさがあるあいだは、十分な休息をとる
- こまめに水分を補給する
- 関節や背中が痛いときは、無理に動かさない
- 動物や生肉・生乳製品に触れた後は、石けんできちんと手洗いする
医療治療
感染症を専門にする医師の指導のもと、抗菌薬を組み合わせて治療します。薬の種類や服用期間は、症状・重症度・持病によって一人ひとり異なります。重症の場合や合併症がある場合は、入院して治療することもあります。自分で市販薬を追加したり、治療を中断したりしないでください。
手術が検討される場合
手術が必要になることはまれです。しかし、背骨や関節に膿のたまった部分(膿瘍)ができて症状が強い場合には、それを排出する処置が必要になることがあります。
この病気と共に生きる
治療中は熱やだるさが続くことがあります。それは細菌が体の中に残っているサインです。焦らず、体力が戻るまでゆっくり過ごしましょう。人にうつす心配はほとんどありませんが、血液や体液の取り扱いには注意してください。
生活習慣のアドバイス
- 睡眠をしっかりとり、疲れをためない
- 仕事や家事は、体調に合わせて無理のない範囲で
- 動物や生肉・生乳製品に触れた後は、ていねいに手洗い・うがいをする
- 治療が終わった後も、再発の症状(発熱・関節痛など)に注意し、気になる場合は医師へ
食事と運動
特別な食事制限はありません。消化のよい食事をとり、栄養バランスを整えることで体力の回復を助けます。運動は、症状が落ち着いて医師の許可が出てから、軽い散歩などから始めるとよいでしょう。
精神的健康と心の健康
原因のはっきりしない熱やだるさが長く続くと、不安になったり気分が落ち込んだりすることもあります。それは自然なことです。ひとりで抱え込まず、医師や家族、信頼できる人に気持ちを話すことが大切です。
予防
はい、予防できる病気です。最も大切なのは、殺菌されていない乳製品や加熱が不十分な肉を食べないこと、動物やその製品に触れた後は手洗いを徹底することです。海外に行く際には特に注意しましょう。
ワクチン
現在、人用のブルセラ症ワクチンはありません。動物用のワクチンはありますが、日本では一般的には使われていません。動物の衛生管理や検疫、食品の加熱処理が予防の中心になります。
検診プログラム
健康診断でブルセラ症を調べることは一般的ではありません。ただし、リスクのある動物との接触歴や海外渡航歴があり、気になる症状がある場合は、医療機関で血液検査を受けることができます。
合併症
治療しない場合
- 慢性化して、発熱やだるさ・関節痛が数か月から数年くり返す
- 背骨や関節の炎症(脊椎炎・関節炎)
- 心臓の弁に感染が広がる心内膜炎
- 肝臓や脾臓に膿のたまった部分(膿瘍)ができる
- 脳や脊髄を包む膜に炎症が起こる髄膜炎
- 妊娠中の感染により流産や早産のリスクが高まる
長期的な見通し
ブルセラ症は、早期に発見して治療をしっかりおこなえば、多くの人が完全に回復します。治療が長引いても、あきらめずに医師の指示に従えば改善が期待できます。決してあきらめず、最後まで治療を続けることが大切です。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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