第Ⅴ因子ライデン(Factor V Leiden)とは?
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
第Ⅴ因子ライデンは、血液が固まりやすくなる体質を引き起こす遺伝子の変化です。この遺伝子を受け継いでいる人は、深部静脈血栓症(DVT)や肺塞栓症などの血栓ができるリスクが高くなります。ただし、遺伝子を持っていても、多くの人は血栓を発症しません。
重要な事実
- 日本人にはまれで、主にヨーロッパ系の人々に多い遺伝子変異です。
- 遺伝子は両親から受け継ぎ、一度も症状がないまま一生を終える人もいます。
- 診断は血液検査ででき、予防や治療の計画に役立てることができます。
日本では非常にまれです。欧米では人口の数パーセントに見られますが、日本人では0.1%未満とされています。
この遺伝子は出生時から持っているもので、特にヨーロッパ系の家族に多く見られます。男性と女性にほぼ同じ頻度で見られますが、妊娠や避妊薬服用などで女性の方が血栓を起こしやすい時期があります。
症状
- 突然の息切れ
- 胸の強い痛み
- 意識がもうろうとする
- 血を伴う咳
- 片方の脚が急に腫れて激しく痛む
- 冷や汗やふらつき
- ⚠脚のしこりや張り、痛みが続く
- ⚠脚の皮膚が赤く熱を持っている
- ⚠血栓の既往があり、新しい症状が現れた
- ⚠妊娠中で脚の痛みや腫れがある
一般的な症状
- 多くの人は全く症状がありません。
- 血栓が脚の静脈にできた場合は、脚のむくみや痛み、ふくらはぎの張り、皮膚の赤みや熱感などが現れます。
- 血栓が肺に飛ぶと、突然の息切れ、胸の痛み、咳、血を伴うたんなどが出ます。
子供の症状
- 子どもではまれですが、腕や脚の急な腫れ、痛み、色の変化が見られたらすぐに医師に相談してください。
高齢者の症状
- 加齢は血栓のリスクを高めます。脚のむくみや痛みが突然出た場合は、年のせいと決めずに医療機関を受診しましょう。
原因
主な原因
- 第Ⅴ因子ライデンは遺伝子の変異によって起こります。血液を固める働きのある「第Ⅴ因子」というタンパク質が、通常よりも長く活性化し続けるため、血栓ができやすくなります。
- この遺伝子は常染色体顕性遺伝という形で家族に受け継がれます。つまり、両親のどちらかが変異を持っていれば子どもにも伝わる可能性があります。
リスク要因
- 家族に第Ⅴ因子ライデンや血栓症の人がいる
- 長時間の手術や骨折による安静
- 長距離の旅行で長時間座る
- 妊娠、出産直後
- 経口避妊薬やホルモン補充療法
- 肥満、喫煙、高血圧、糖尿病
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 突然の胸の痛みや息苦しさを感じた場合は、すぐに救急車(119番)を呼んでください。
- 片方の脚が急に腫れて激しい痛みがあるときも、緊急の対応が必要です。
定期受診を予約すべき場合:
- 家族に血栓症や第Ⅴ因子ライデンがいる場合
- 妊娠を考えているか、妊娠中の静脈血栓が心配な場合
- 手術前に血栓のリスクについて相談したい場合
- 何度も原因不明の血栓を起こしたことがある場合
診断
第Ⅴ因子ライデンの診断は血液検査で行われます。遺伝子検査と、血液凝固の状態を調べる活性化プロテインC抵抗性検査があります。通常は、血栓を起こした後や強い家族歴がある場合に検査を行います。
行われる可能性のある検査
- 遺伝子検査(血液サンプルで第Ⅴ因子ライデン変異の有無を調べます)
- 活性化プロテインC抵抗性検査(血液の固まりやすさを調べる検査)
診察で予想されること
検査は普通の血液採血で行われるため、特別な準備は必要ありません。結果が出るまでに数日から数週間かかることがあります。検査前に、遺伝子検査を受けるかどうかについて十分な説明を受けることが大切です。
治療
治療の目標は、血栓ができるリスクをできるだけ減らし、もし血栓ができた場合にしっかり治療することです。遺伝子を持っていても血栓のない人には、すぐに薬をはじめる必要はありません。
自宅でのセルフケア
- 長時間座るときは、1時間ごとに立ち上がって歩く
- 飛行機や車での移動中は足首を曲げ伸ばしする
- 十分に水分をとる(特に長時間の移動時)
- 禁煙し、適正体重を保つために食事や運動に気をつける
- 妊娠や避妊薬の使用については事前に医師と相談する
医療治療
血栓を起こしたことのある人や血栓のリスクが非常に高い人には、血液を固まりにくくする薬(抗凝固薬)による治療が検討されます。どの薬を使うか、どのくらいの期間続けるかは、年齢や体質、血栓の場所などによって医師が個別に判断します。妊娠中の治療は、胎児への影響を考慮して、産科と血液内科が連携して進めます。
手術が検討される場合
手術や入院中は血栓ができやすい時期です。第Ⅴ因子ライデンをお持ちの場合は、手術前に医師へ伝えてください。リスクに応じて、抗凝固薬を一時的に使うなどの安全なプランを立てることができます。
この病気と共に生きる
基本的な日常生活は通常どおり送れます。意識しておきたいのは、体勢を長時間続けないこと、水分補給、足の運動です。大きな手術や長期入院の予定があるときは、事前に担当の医師へ伝えましょう。
生活習慣のアドバイス
- 定期的にウォーキングなどの有酸素運動をする
- 禁煙し、お酒は適量に抑える
- 長距離移動中は弾性ストッキングの使用を医師と相談する
- ストレスをためすぎず、十分に睡眠をとる
食事と運動
特別な食事制限はありません。野菜や魚が中心のバランスの良い食事を心がけ、過体重を防ぎましょう。運動は週150分程度の軽い有酸素運動(ウォーキングなど)が目安です。病気や脱水にも注意し、体調が悪いときは無理をしないでください。
精神的健康と心の健康
遺伝子を持っていると、将来血栓ができてしまうのではと不安になることもあるでしょう。しかし、ほとんどの人は治療や予防策で健康を保てます。気持ちの不安をひとりで抱えず、かかりつけ医や家族に話しましょう。
予防
遺伝子自体を変えることはできませんが、血栓ができるリスクを減らすことは可能です。移動中は体を動かし、脱水を避け、体重や喫煙習慣を見直すことが予防につながります。
ワクチン
特別なワクチンはありません。ただし、インフルエンザなどの感染症は血栓のきっかけになることがあるため、定期接種や医師が勧めるワクチンは受けるようにしましょう。
検診プログラム
家族に血栓症や第Ⅴ因子ライデンがいる場合、医師に相談して血液検査を検討することができます。ただし、無症状の人に全員検査をする必要はないと考えられています。
合併症
治療しない場合
- 深部静脈血栓症(脚の静脈に血栓ができ、脚の腫れや痛みを起こす)
- 肺塞栓症(血栓が肺に飛び、呼吸困難や胸の痛みを起こす命にかかわる状態)
- 妊娠中の血栓症(胎盤の血流障害や流産・死産のリスクを高める)
- 静脈血栓後症候群(血栓後の脚の慢性のむくみや皮膚の変化)
長期的な見通し
第Ⅴ因子ライデンを持っている人の多くは、生涯に一度も血栓を起こすことなく過ごします。すでに血栓ができた人でも、適切な治療と生活管理によって重症化を防げます。医師と一緒に、自分に合った予防計画を立ててください。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年8月2日
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