脾臓破裂について ―症状・治療・回復のポイント―
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
脾臓(ひぞう)は、おなかの左上、肋骨の内側にある臓器です。免疫(体を守る仕組み)や、古くなった血液細胞の処理をしています。脾臓破裂とは、この脾臓に傷がついて出血したり、破れたりする状態のことです。交通事故や転落などの強い衝撃で起こることが多いですが、病気で脾臓が腫れている場合は、軽い衝撃でも起こることがあります。
重要な事実
- 脾臓は肋骨に守られていますが、強い衝撃を受けると破裂することがあります。
- 出血が続くと大量出血を起こし、命にかかわることがあります。
- 傷が軽ければ、入院しながら安静にすることで自然に治ることもあります。
- 脾臓を摘出しても、からだの機能をほかの臓器が補い、普通の生活ができます。
一般の人が経験する頻度は高くありません。しかし、腹部のけが(特に交通事故)の中では、脾臓は損傷を受けやすい臓器の一つです。
交通事故を受けることが多い若い世代の男性に多いと考えられています。また、伝染性単核球症やマラリア、血液の病気などで脾臓が腫れている人は、ちょっとした衝撃でも破裂しやすくなります。子どもや高齢者でも起こります。
症状
- おなかを強く打ったあとに、強い腹痛または左肩の痛みがある
- 意識がぼんやりする、または意識を失った
- 冷や汗が出て、顔色が青白く、脈が速い
- 何度も吐く、または血を吐く
- 上記のような症状がある、またはどうしても心配なときは、ためらわずにすぐ119番へ連絡してください
- ⚠おなかを打ったあと、鈍い痛みや違和感が1時間以上続く
- ⚠吐き気が続く
- ⚠おなかが張る感じがある
- ⚠子どもや高齢者、妊娠中の人が腹部に強い衝撃を受けた
- ⚠ケガのあとに、少しでも体調が普段と違うと感じる
一般的な症状
- 左上のおなか(わき腹)の痛み
- 痛みが左の肩に広がる(出血で横隔膜が刺激されたときに起こります)
- おなかが張る、触ると痛い
- 吐き気や嘔吐
- めまい、立ちくらみ、顔色が青白い
子供の症状
- おなかの痛みを言葉で説明できず、ぐずったり泣いたりする
- おなかを打ったあとに、ぐったりしている
- 顔色が悪い、食欲がない
- 吐く、または吐きそうな様子がある
高齢者の症状
- 痛みを感じにくく、症状が軽く見えることがある
- 転んだりおなかを打ったあとに、なんだか元気がない、食欲が落ちる
- 脈が速くなる、血圧が下がるなど全身の変化に注意が必要
- 認知症がある場合は、普段と様子が違うことも手がかりになる
原因
主な原因
- 交通事故(体がハンドルやシートベルトに強くぶつかることによる腹部の圧迫)
- 高いところからの転落、落下
- スポーツ中やケンカでの体への強い衝撃
- 脾臓が腫れている場合に、くしゃみや嘔吐、軽くぶつかっただけで起こることもある
リスク要因
- 脾腫(脾臓が腫れている)を起こす病気(伝染性単核球症、マラリア、慢性肝疾患など)
- 血液を固まりにくくする薬を使っている場合
- 血液の病気、血液凝固障害がある場合
- 接触の強いスポーツや、転倒・衝突のリスクが高い環境
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 「おなかを強く打った、または転んだ・ぶつかった」という出来事があり、痛みがある場合はすぐ受診
- 交通事故にあった場合は、たとえ軽く見えても病院で診察を受ける
- 子どもや高齢者、妊娠中の人が腹部に衝撃を受けた場合は、心配がなくても受診を検討する
- めまい、吐き気、冷や汗などがある場合
定期受診を予約すべき場合:
- 脾臓を摘出したあとの定期検診を受ける
- 脾臓が腫れる病気がある人は、定期的に医師に相談する
- けがのあと数日経ってから、痛みや違和感が出た場合は受診する
診断
お話と体の診察から緊急性を判断し、血液検査や画像検査で出血の程度を確認します。腹部の外傷では、まず気道・呼吸・脈などの状態を安定させることが最優先になります。
行われる可能性のある検査
- 血液検査:貧血の程度や出血量の目安を調べます
- 腹部超音波(エコー)検査:おなかの中の出血の有無をベッドサイドで確認します
- CT検査:脾臓の傷の程度や周りの臓器の状態を詳しく確認します
- 必要に応じて、心電図やレントゲン検査を行います
診察で予想されること
受診したら「いつ・どこで・どうやっておなかを打ったか」「今の症状」を伝えてください。検査は緊急で進むことがあります。医師からは、入院が必要かどうか、手術が必要かどうかの説明があります。
治療
治療は脾臓の傷の程度・出血の量・全身状態によって決まります。出血が少なく、状態が安定している場合は、入院して安静にし、出血が止まるのを待つこともあります。出血が多い場合や状態が不安定な場合は、止血のための処置や手術が必要になります。
自宅でのセルフケア
- 医師から指示があるまでは、激しい運動や重い物を持つことを避ける
- おなかを強く打った後は、症状がなくても当日は激しい動きを控える
- 処方された薬は、医師の指示どおりに飲む
- 退院後も、腹部に痛みや違和感が出たら無理せず受診する
医療治療
入院中の治療では、血管に点滴をして水分や輸血を補い、状態を安定させます。出血が止まらない場合には、手術室で脾臓を摘出する手術や、カテーテルを使って血管を塞ぐ止血術などの選択肢があります。担当医があなたの状態に合わせて説明します。
手術が検討される場合
脾臓を完全に摘出する手術は、出血が止まらず命に関わるときや、脾臓が大きく壊れているときに検討されます。摘出してもほかの臓器が働きを補いますが、感染症への注意や予防接種など、医師の指示に従うことが大切です。
この病気と共に生きる
脾臓破裂から回復している間は、まず安静が第一です。退院後も、医師の許可が出るまでは仕事や学校に戻る時期を調整し、疲れを感じたら休憩をとるようにしてください。
生活習慣のアドバイス
- 睡眠と休息をしっかりとる
- 医師の許可がない間は、車の運転や重い物を持つ作業を避ける
- 飲酒は回復中は控える
- ひとりでいるときに急な症状が出たときのために、受診先を確認しておく
食事と運動
食事は、消化のよいものを少しずつ食べ、バランスよく栄養をとるよう心がけます。運動は、医師の許可後、短い散歩から始め、痛みがない範囲で少しずつ時間を延ばすのが目安です。無理をしてぶつけたり転んだりしないよう、安全な場所で行ってください。
精神的健康と心の健康
突然のけがや入院、手術は、心にも大きな負担をかけます。不安や落ち込みを感じるのは自然なことです。一人で抱え込まず、医師や看護師、臨床心理士などに気持ちを話してみることが助けになります。
予防
すべての脾臓破裂を防ぐことはできません。交通事故や転落を減らすために、シートベルトを着用する、自転車やバイクではヘルメットをかぶる、転びそうな環境を整えるなどが役立ちます。脾臓が腫れている人は、激しい接触スポーツを一時的に控えるなど、医師と相談して過ごすことが予防につながります。
ワクチン
脾臓を摘出した人は、細菌感染のリスクが高まることがあるため、肺炎球菌やインフルエンザなどの予防接種を勧められることがあります。受ける時期や種類は医師に相談してください。
検診プログラム
脾臓が腫れている基礎疾患がある人は、定期健診の血液検査や腹部超音波検査で状態を確認することがあります。
合併症
治療しない場合
- 脾臓からの出血が続き、貧血や血圧低下を起こす
- おなかのなかに血液がたまり、腹部全体の痛みや呼吸が苦しくなることがある
- 出血性ショック(臓器に十分な血液が渡らず、意識が遠のく状態)を起こすことがある
長期的な見通し
脾臓破裂は、適切な治療を受ければ多くの人が回復します。脾臓を摘出した場合でも、日常生活には大きな支障がないことがほとんどです。医師の指示に沿って経過観察を続け、規則正しい生活を送ることで元の生活に戻っていくことができます。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年8月1日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
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