ゾリンジャー・エリソン症候群(ZES)とは
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
ゾリンジャー・エリソン症候群(ZES)は、膵臓(すいぞう)や小腸の上部に「ガストリノーマ」という小さな腫瘍(しゅよう)ができ、そこから過剰にガストリンというホルモンが分泌されることが原因で、胃酸がたくさん出てしまう、まれな病気です。胃酸が多くなりすぎると、胃や小腸に、治りにくく繰り返す潰瘍(かいよう)や下痢などが起こります。
重要な事実
- 非常にまれな病気です。
- 主に膵臓や小腸上部にできるガストリノーマという腫瘍が原因です。
- 遺伝性の腫瘍症候群である多発性内分泌腺腫症1型(MEN1)という病気と関連することがあります。
非常にまれな病気です。正確な患者数はわかっていませんが、100万人に数人程度と考えられています。
大人(特に20〜50歳代)に発症しやすいといわれていますが、どの年齢でも起こりえます。男性にやや多い傾向があり、MEN1の家系がある方はリスクが高くなります。
症状
- 突然の激しい腹痛があり、これまでにない痛みの場合は、ためらわずに119番に電話してください。
- 血を吐く、または吐いたものに血が混じる場合は、119番に電話してください。
- 便が黒くタールのようになった場合(消化管出血の可能性)は、119番に電話してください。
- 意識がぼんやりする、立ちくらみがして倒れそうな場合は、119番に電話してください。
- ⚠吐き気や嘔吐が続き、水分が摂れないときは、当日または翌日中に医療機関を受診してください。
- ⚠便に血が混じる、または下血が続くときは、早めに医療機関を受診してください。
- ⚠激しい下痢や腹痛が続くときは、早めに医療機関を受診してください。
一般的な症状
- 腹部の痛み(特に食後に強くなることがあります)
- 胃もたれ、胸やけ、吐き気
- 続く下痢(水のような便になることがあります)
- 食欲不振や体重減少
- 潰瘍からの出血(黒い便、貧血)
原因
主な原因
- 膵臓や小腸上部にガストリノーマという内分泌腫瘍ができることが根本的な原因です。
- 腫瘍が過剰にガストリンを出すことで、胃酸が異常に多く分泌されます。
- 多発性内分泌腺腫症1型(MEN1)という遺伝性疾患が原因となることがあります。
リスク要因
- 家族にMEN1やゾリンジャー・エリソン症候群の人がいる
- 20〜50歳代の年齢
- 男性にやや多い
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 吐血、黒い便、意識がぼんやりするなどの緊急症状がある場合は、すぐに119番に電話してください。
- 吐き気や嘔吐が続いて水分が取れない、激しい下痢でぐったりする場合は、我慢せずに近くの医療機関に電話してください。
定期受診を予約すべき場合:
- 胸やけや胃痛・下痢が数週間以上続く場合
- 胃潰瘍の薬をきちんと飲んでいるのに症状が良くならない場合
- 原因がわからない体重減少や貧血がある場合
- 家系にMEN1やZESのある方は、定期的な検査について医師に相談することをおすすめします。
診断
診断は、症状の問診から始め、血液中のガストリン値を調べ、胃液の酸度を測ります。その上で、画像検査や内視鏡検査を使ってガストリノーマ(腫瘍)の場所を探します。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(空腹時のガストリン値)
- 胃液の酸度を調べる検査
- 上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)
- CT、MRIなどの画像検査
- 超音波内視鏡や核医学検査などで腫瘍を詳しく調べる検査
診察で予想されること
診断には数日から数週間かかることもあります。専門の消化器内科や内分泌内科に紹介され、いくつかの検査を順番に受けることがあります。焦らず、医師と一緒に検査を進めていきましょう。
治療
治療の目標は、胃酸をしっかり抑えて潰瘍を治すこと、腫瘍そのものを小さくすること、そして消化管出血や穿孔などの合併症を防ぐことです。治療法は、病気の進行度や腫瘍の場所、患者さんの全身状態によって医師と相談しながら決めます。
自宅でのセルフケア
- 医師から処方された胃酸を抑える薬は、指示どおりに毎日飲みましょう。自分で中止したり量を変えたりしないことが大切です。
- 喫煙は胃酸の分泌を増やし、潰瘍を悪化させるため、禁煙を目指しましょう。
- アルコールは控えめにしましょう。特に症状が強いときは飲酒を避けてください。
- 一度に食べすぎず、少量の食事を何回かに分けるなど、胃に負担をかけない食べ方を心がけましょう。
医療治療
薬物療法では、胃酸の分泌を抑える薬を中心に使います。また、腫瘍から分泌されるホルモンの働きを抑える注射薬や、腫瘍の増殖を抑える治療が行われることもあります。進行している場合には、抗がん剤による治療や、肝臓への転移がある場合の治療も検討されます。いずれの場合も医師の説明と管理のもとで行われます。
手術が検討される場合
腫瘍が一か所に限られていて、安全に取り除ける場合には、手術で腫瘍を摘出するのが第一選択となることがあります。特に膵臓にだけ腫瘍がある場合は、手術により完治を目指すことができます。ただし、転移がある場合やMEN1による場合には、手術のタイミングや方法を慎重に判断します。
この病気と共に生きる
毎日薬を正しく飲み、決められた間隔で通院することがとても大切です。体調の変化(痛みや便の色など)を記録しておくと、医師への伝え方がスムーズになります。
生活習慣のアドバイス
- 十分な睡眠と休養をとる
- ストレスをためないようにする(深呼吸、散歩、趣味など)
- 禁煙と節酒
- 定期健診やがん検診をうける
食事と運動
バランスのよい食事を基本に、脂っこいもの、刺激の強い香辛料、コーヒーなどで症状が悪化する場合は控えるようにしましょう。運動は、軽いウォーキングなど無理のない範囲で続けることが勧められます。
精神的健康と心の健康
まれな病気という診断を受けると、不安や孤独感を抱えることがあります。気分の落ち込みや強い不安が続く場合は、医師や看護師、臨床心理士に相談しましょう。家族や友人に気持ちを伝えることも助けになります。
予防
ゾリンジャー・エリソン症候群そのものを予防する方法は、現在のところありません。ただし、早期に診断し適切な治療を始めることで、潰瘍や腫瘍の合併症を防ぎ、長く安定した生活を送ることができます。
ワクチン
この病気に対する特別なワクチンはありません。
検診プログラム
一般の人が定期受ける検診はありません。ただし、MEN1の家族歴がある方は、遺伝性疾患の専門医と相談して定期的な検査を受けることが勧められます。
合併症
治療しない場合
- 胃や小腸の潰瘍が深くなり、出血や穿孔(穴があくこと)が起こる
- 消化管が狭くなり、食べ物が通りにくくなる
- 腫瘍が肝臓やリンパ節などに転移する
- 長引く下痢による栄養失調や脱水、貧血が進む
長期的な見通し
現在の治療はとても進歩しており、胃酸をしっかり抑える薬を続けることで、多くの人が普通に近い日常生活を送れます。手術で腫瘍をきれいに取り除ける場合には、完治も期待できます。進行していたり転移がある場合にも、病気の進行を抑えながら症状をコントロールする治療法があります。診断された後も、希望を持って治療に取り組むことができます。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年8月1日
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