「原発性免疫不全症候群(PID)」とは?
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
原発性免疫不全症候群(げんぱつせいめんえきふぜんしょうこうぐん)は、生まれつき免疫のしくみの一部がうまく働かない病気の総称です。免疫は、体をウイルスや細菌などの病原体から守るはたらきのことです。この病気があると、感染症にかかりやすくなったり、かかった感染症が重くなりやすくなったりします。
重要な事実
- 免疫システムに生まれつきの異常がある病気です
- 症状は人によってさまざまで、軽い感染症から重い感染症まであります
- 早期に診断し、適切な治療を受けることで、多くの人が日常生活を送れます
まれな病気で、正確な患者数はわかっていませんが、数千人に1人程度と推定されています。近年は検査技術が進み、以前より多くの人が診断されるようになってきました。
男の子にも女の子にも発症する可能性があります。多くの場合は子どもの頃に診断されますが、大人になってから初めて症状に気づくこともあります。
症状
- 呼吸が苦しい
- 意識がもうろうとする
- 高熱が続いてぐったりする
- けいれんが起きる
- ⚠高熱が続いている
- ⚠感染症が治りにくく、悪化している
- ⚠激しい下痢や嘔吐が続く
一般的な症状
- 感染症を繰り返す(中耳炎、肺炎、副鼻腔炎など)
- 感染症が重症化しやすい
- 通常の健康な人にはあまりかからないような菌による感染
- 下痢や体重増加不良などの消化器症状
- 治りにくい傷や、原因のはっきりしない炎症
原因
主な原因
- 免疫に関わる遺伝子の変化が主な原因です
- 多くは親から受け継ぐ遺伝性ですが、本人にだけ突然起こる場合もあります
- 原因となる遺伝子が特定されているタイプと、まだわかっていないタイプがあります
リスク要因
- 家族に原発性免疫不全症候群の人がいる場合
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 高熱が続く
- 呼吸が苦しい
- 意識がもうろうとする
定期受診を予約すべき場合:
- 繰り返す感染症がある
- 感染症がなかなか治らない
- 体調の変化が続く
診断
診断は、くわしい問診と血液検査を中心にして行われます。免疫の量や働きを調べるほか、必要に応じて遺伝子検査を行うこともあります。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(血球数、免疫グロブリンなど)
- リンパ球の働きを調べる検査
- 遺伝子検査
- 予防接種に対する反応を調べる検査
診察で予想されること
診断までに時間がかかることがあります。免疫の専門医がチームで診断を進めます。診断がついたあとは、生活の中で気をつけることや治療の選択肢について、丁寧に説明があります。
治療
治療の中心は、免疫の足りない部分を補い、感染症を予防することです。原因となる遺伝子や症状の重さによって、治療方法は一人ひとり異なります。
自宅でのセルフケア
- 手洗い・うがいを習慣にする
- 感染症が流行している時期は人混みを避ける
- 十分な睡眠と規則正しい生活を心がける
- 予防接種については必ず医師と相談する
- 体調が悪いときは無理をせず休む
医療治療
免疫グロブリン補充療法と呼ばれる、抗体を補充する治療が行われることがあります。また、感染症を予防するための薬や、感染症にかかったときの治療薬が使われます。重症の場合には、造血幹細胞移植が検討されることもあります。治療の詳しい内容は、担当の医師や専門医が説明します。
手術が検討される場合
一般的に、この病気そのものに対して手術が行われることはありません。ただし、合併症の治療のために手術が必要になる場合があります。
この病気と共に生きる
感染症を予防しながら、日常生活を工夫して送ることが大切です。学校や仕事は、自分の体調に合わせて無理のない範囲で続けられます。周囲の理解を得ることも、安心して暮らすために役立ちます。
生活習慣のアドバイス
- 十分な睡眠と休養をとる
- ストレスをため込まない
- インフルエンザなどの流行時にはマスクや手洗いを活用する
- 体調がすぐれない日は予定を調整する
食事と運動
バランスのよい食事をとり、体力に合わせて適度な運動をすることが大切です。運動については、医師と相談して自分に合った強度を見つけましょう。
精神的健康と心の健康
慢性的な病気と付き合うことは、不安や孤独感を感じることもあります。つらい気持ちがある場合は、一人で抱えずに、医療機関のスタッフや相談機関に話してみましょう。
予防
原発性免疫不全症候群そのものを予防することはできません。しかし、感染症を予防する対策を徹底することで、重症化を防ぐことは可能です。
ワクチン
予防接種は、免疫力の状態によって受けられない種類があります。必ず医師に相談してから受けてください。
検診プログラム
日本ではまだすべての赤ちゃんを対象にしたスクリーニング検査は行われていませんが、一部の原発性免疫不全症候群については新生児スクリーニングの研究が進められています。現在は、症状が出てから診断されることが一般的です。
合併症
治療しない場合
- 重症の感染症を繰り返す
- 臓器に障害が残ることがある
- がん(悪性腫瘍)のリスクが高まることがある
- 成長や発達に影響が出ることがある
長期的な見通し
原発性免疫不全症候群の治療は大きく進歩しており、適切な診断と治療を受けることで、多くの人が感染症を予防しながら、学校や仕事など日常生活を健康に送れるようになっています。診断後も、専門医と連携して長期的に管理していきましょう。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年8月1日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。