メルケル細胞がん
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
メルケル細胞がんは、皮膚の「メルケル細胞」という触覚に関係する細胞から発生するまれな皮膚がんです。主に日光をよく浴びる顔や首、腕などに、痛みのない硬いしこりとして現れます。早く見つけて治療すれば、治る可能性もあります。
重要な事実
- 日本ではまれながんとされています。
- 日光や紫外線の浴びすぎがリスクを高めます。
- 高齢の方や、免疫力が低下している方に多くみられます。
- しこりが急に大きくなることがあります。
いいえ、まれながんです。日本では、皮膚がんの中でも特に頻度が低いとされています。ただし、高齢化や日光を浴びる機会の増加などにより、近年少しずつ増えています。
主に60歳以上の高齢の方に多く、特に肌の色が白い方、長年日光を浴びてきた方、臓器移植後などで免疫を抑える薬を使っている方、免疫に関わる病気のある方に発症しやすいと言われています。
症状
- 突然、息苦しくなる
- 意識がもうろうとする
- しこりから出血が止まらない
- ⚠皮膚に新しいしこりができた
- ⚠既存のしこりが数週間で大きくなった
- ⚠しこりの形や色が変わった
- ⚠しこりがただれたり、出血したりした
一般的な症状
- 皮膚に硬いしこりができる
- 痛みがないことが多い
- 赤や紫色、または皮膚の色と同じ色をしている
- 数週間から数か月の間にしこりが急速に大きくなる
- しこりが出血したり、かさぶたができたりすることがある
原因
主な原因
- 日光(紫外線)による皮膚のDNAの傷が関係しています。
- 「メルケル細胞ポリオーマウイルス」というウイルスの感染が関与することがあります。ただし、このウイルスは多くの人の皮膚に存在しますが、がんになるのはごく一部です。
- 免疫の働きが弱っていることが背景にあります。
リスク要因
- 高齢(60歳以上)
- 日光(紫外線)を長時間浴びる生活
- 肌の色が白い
- 臓器移植や化学療法などで免疫機能が低下している
- 免疫に関わる病気(HIV感染症など)がある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 皮膚のしこりが急速に大きくなる
- しこりが出血したり、出血が止まらない
- しこりの周りが赤く腫れて激しい痛みがある
定期受診を予約すべき場合:
- しこりはあるが、大きさや色に変化がない
- 数週間以上治らないかさぶたやできものがある
- 過去に皮膚がんと診断され、定期的なチェックが必要
診断
まず皮膚科の医師が視診と触診を行います。必要に応じて、しこりの一部または全部を採取して顕微鏡で調べる「皮膚生検」を行います。生検で見つかったがん細胞に特殊な印をつけることで、メルケル細胞がんと診断されます。
行われる可能性のある検査
- 視診・触診
- 皮膚生検(しこりの組織を顕微鏡で調べる)
- CT検査(体の中への広がりを確認)
- PET-CT検査
- センチネルリンパ節生検(リンパ節への転移を調べる)
診察で予想されること
診察では、しこりに気づいた時期、大きさの変化、痛みの有無、日光を浴びる機会などを聞かれます。診断がついた後は、がんの広がりを確認するためにいくつかの検査を行います。結果は数日から2週間ほどでわかることが多いです。あせらず、気になることはメモをして医師に質問しましょう。
治療
治療は、がんの大きさや場所、進行の程度(ステージ)によって決まります。主に「外科的切除」「放射線療法」「薬物療法(全身療法)」を組み合わせます。医師が患者さんとよく話し合いながら、個別に治療方針を立てます。
自宅でのセルフケア
- 治療後は処置した部分を清潔に保ち、医師の指示に従う
- かゆみや痛みがある場合は、冷やしたり、ゆったりした服を選ぶ
- 気になる症状があれば、我慢せずに医療者へ相談する
医療治療
薬物療法(全身療法)として、免疫の力を利用する治療(免疫チェックポイント阻害薬)や抗がん剤治療が行われることがあります。薬の種類や組み合わせは、がんの状態や患者さんの体調に合わせて医師が決めます。放射線療法は、手術後にがんが残っている可能性がある場合や、リンパ節に転移がある場合などに行われることがあります。
手術が検討される場合
多くの場合、最初の治療として手術が行われます。がんとその周りの健康な皮膚を含めて切除し、傷を縫い合わせます。がんが大きい場合は、皮膚移植が必要になることもあります。
この病気と共に生きる
治療後は定期的に医師の診察を受けて、再発や転移がないか経過をみることが大切です。特に治療後2〜3年は再発が多いとされるため、慎重に観察を続けます。しかし、多くの人は治療後も普段の生活を取り戻すことができます。
生活習慣のアドバイス
- 日光の強い時間帯(午前10時〜午後2時)を避ける
- 外出時は長袖、つばの広い帽子、日傘を使う
- 日焼け止めをこまめに塗り直す
- 自分の肌を月に1回、鏡でチェックする
食事と運動
特別に「これで治る」という食事はありません。バランスよい食事と、無理のない範囲での運動を心がけてください。治療中は体力が落ちることがあるので、休養をしっかりとりましょう。食事がとれない場合は、少量でもよいのでゼリーやスープなどを口にしましょう。
精神的健康と心の健康
がんと診断されると、不安や恐れ、悲しみを感じるのは自然なことです。治療後の見た目の変化や疲れやすさで気分が落ち込むこともあります。一人で抱え込まず、家族や友人、医師や看護師に気持ちを話してみてください。
予防
完全に予防することは難しいですが、日光(紫外線)を避けることでリスクを下げることができます。特に、子どもからの日焼け対策が大切です。
ワクチン
メルケル細胞がんを直接予防するワクチンは現在ありません。
検診プログラム
全国的な検診はありません。普段から自分の肌を観察して、新しいしこりや変化に注意することが大切です。
合併症
治療しない場合
- しこりが大きくなり、周りの皮膚や筋肉に広がる
- リンパ節に転移する
- 肺や肝臓など、体の他の臓器に転移し、全身に影響を及ぼす
長期的な見通し
進行したメルケル細胞がんは治療が難しいことがありますが、近年は免疫療法などの新しい治療が登場し、選択肢が広がっています。早期に発見し適切な治療を受ければ、治る可能性もある病気です。診断されても、医師としっかり相談し、希望を持って治療に取り組むことが大切です。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年8月1日
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