POEMS症候群(ポエムズ症候群)について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
POEMS症候群は、血液を作る細胞(プラズマ細胞)が異常に増えてしまうことで起こる、非常にまれな病気です。この異常な細胞がつくる特定のたんぱく質が、神経や臓器にダメージを与え、体のあちこちにさまざまな症状を引き起こします。「ポエムズ」という名前は、この病気で見られる主な変化(多発性神経障害、臓器腫大、内分泌障害、モノクローナルたんぱく質、皮膚の変化)の頭文字をとったものです。
重要な事実
- 非常にまれな病気で、日本では難病に指定されています。
- 手足のしびれや力が入りにくいなどの神経の症状が特徴的です。
- 複数の臓器や体の機能に影響が出るため、専門的な診断と治療が必要です。
- 治療によって症状が改善する可能性がありますが、長い経過をたどることがあります。
いいえ、POEMS症候群は非常にまれな病気です。どのくらいの頻度で起こるかは正確にはわかっていませんが、人口100万人あたり数人以下と考えられています。
30歳から60歳くらいの成人に多く、特に男性にやや多いとされています。子どもにはほとんど見られません。
症状
- 突然の胸の痛みや呼吸が苦しい
- 片方の手足が動かない、言葉が話しにくい
- 意識がもうろうとする、呼びかけに反応しない
- 大量の出血がある
- ⚠手足の力が急に落ちて、立ち上がれない
- ⚠急に足や腕が大きく腫れる
- ⚠強い腹痛やおなかの張り
- ⚠視力が急に低下する
- ⚠38度以上の熱が続く
一般的な症状
- 手足のしびれや感覚がにぶくなる(多発性神経障害)
- 手足に力が入りにくい、歩きにくい
- 肝臓や脾臓、リンパ節が腫れる(臓器腫大)
- 皮膚が黒ずんだり、厚く硬くなったりする
- むくみ(特に足やおなか)
- 疲れやすさ、全身の倦怠感
- 体重減少
- 視力の変化や物が二重に見える
- 骨の痛み
原因
主な原因
- 骨髄の中のプラズマ細胞(抗体を作る免疫細胞)が異常に増えることで起こります。
- 異常なプラズマ細胞が「Mたんぱく質」という異常なたんぱく質を大量につくり出し、これが神経や臓器に悪影響を及ぼします。
- 血管や神経の周りに炎症が起こり、さまざまな症状が出現すると考えられています。
- 正確な原因はまだわかっていませんが、一部の患者さんではキャッスルマン病というリンパ節の病気が関係していることがあります。
リスク要因
- 年齢:30〜60歳の中年に多い
- 男性であること
- 血液のがん(多発性骨髄腫など)やリンパ系の病気を持つこと
- キャッスルマン病の既往があること
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 手足の力が入らず、日常生活に支障が出ている
- 足やおなかのむくみが急に強くなった
- 呼吸が苦しい、動悸がする
- 視力に変化がある
定期受診を予約すべき場合:
- 手足のしびれや違和感が続いている
- 原因不明の疲れやすさや体重減少がある
- 皮膚の色や厚さが変わってきた
- おなかやわきの下などにしこりを触れたり、体の変化を感じたりする
診断
POEMS症候群の診断は、血液検査や神経の検査、画像検査などを組み合わせて総合的に行われます。まずは内科や神経内科を受診し、必要に応じて血液内科などの専門医が詳しく調べます。
行われる可能性のある検査
- 血液検査:Mたんぱく質やホルモンの異常を確認します。
- 神経伝導検査:手足の神経の働きを調べます。
- CT・MRI検査:肝臓や脾臓の腫れ、リンパ節の腫れを確認します。
- 骨髄検査:骨の中のプラズマ細胞を調べるため、骨髄液を採取して検査します(骨髄穿刺)。
- 尿検査:尿中のたんぱく質を確認します。
診察で予想されること
診断が確定するまでに数週間かかることがあります。血液内科や神経内科を中心に、複数の検査を順番に受けます。検査によって体に負担がかかることもありますが、担当医が説明しながら進めてくれるので、不安なことは遠慮なく質問してください。
治療
POEMS症候群の治療の目的は、異常なプラズマ細胞の増殖を抑え、神経や臓器へのダメージを食い止めることです。症状の改善や進行の予防のために、専門医が患者さんの状態に合わせて治療法を選択します。
自宅でのセルフケア
- 医師の指示に従って定期的に通院する
- 手足のしびれがある場合は、転倒に注意し、家の中の段差をなくす
- むくみがあるときは、塩分を控えめにする
- 感染症予防のため、手洗いうがいを徹底する
- 疲れをためないように、十分な休息をとる
医療治療
治療には、異常なプラズマ細胞の増殖を抑える薬(がん化学療法に使われる薬)、免疫系の働きを調整する薬、炎症を抑える薬などが使われます。また、症状に合わせて神経の痛みを和らげる薬や、むくみを改善する薬が処方されることもあります。治療法は専門医が病状や体調を見ながら慎重に決めます。
手術が検討される場合
手術は、通常はPOEMS症候群の主な治療法にはなりません。診断のために臓器やリンパ節の組織を採取する生検(組織検査)が行われることがあります。
この病気と共に生きる
POEMS症候群は、症状の良くなったり悪くなったりを繰り返す長い経過をたどることがあります。治療を続けながら、自分の体調に合わせて無理のない生活を送ることが大切です。定期的な外来受診を守り、気になる症状があれば早めに医師に伝えましょう。
生活習慣のアドバイス
- リハビリテーションや理学療法を取り入れて、筋力やバランスを維持する
- 疲労が強いときは休むことを優先する
- 感染症にかかりやすい状態になることもあるため、予防対策を心がける
- 禁煙し、アルコールは控えめにする
食事と運動
バランスの良い食事を心がけ、特に塩分を控えめにすることでむくみの管理に役立ちます。運動は、無理のない範囲で、医師や理学療法士と相談しながら行ってください。手足のしびれがある場合は、安全な運動を選ぶことが重要です。
精神的健康と心の健康
長く続く病気や、しびれによって日常生活が制限されることは、不安やストレスになることがあります。気分の落ち込みや眠れないなどの症状があれば、一人で抱え込まずに医師や看護師に相談してください。心理的なサポートも治療の一部です。
予防
POEMS症候群は原因がはっきりとわかっていないため、予防する方法は現在のところありません。早期に診断し、適切な治療を受けることが、症状の進行を抑える最も大切なポイントです。
ワクチン
POEMS症候群を直接予防するワクチンはありません。ただし、治療によって免疫力が低下することがあるため、インフルエンザや肺炎などの予防接種について、かかりつけ医と相談することをおすすめします。
検診プログラム
一般的な健診でPOEMS症候群が見つかることはまれですが、血液検査でMたんぱく質が検出されることがきっかけになる場合があります。気になる症状がある場合は、早めに受診しましょう。
合併症
治療しない場合
- 手足の神経障害が進行し、歩行困難や寝たきりになることがある
- 心不全や呼吸不全を起こすことがある
- 腎臓の障害が進行して透析が必要になることがある
- 血液が固まりやすくなり、血栓症(静脈血栓や肺塞栓)のリスクが高まる
- 感染症にかかりやすくなる
長期的な見通し
POEMS症候群はまれで難しい病気ですが、近年の治療の進歩により、多くの方で症状の改善や進行を抑えることができるようになってきています。治療は長く続きますが、諦めずに専門医と一緒に取り組むことが大切です。多くの場合、症状は様子を見ながらゆっくりと経過します。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年8月2日
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