急性弛緩性脊髄炎(AFM)とは
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
急性弛緩性脊髄炎(AFM)は、脊髄(せきずい)の一部に炎症がおきて、突然、腕や脚に力が入らなくなる病気です。多くはウイルス感染がきっかけとなり、まれに起こる神経の病気です。
重要な事実
- AFMは非常にまれな病気で、特に子どもに多く見られます。
- 風邪や発熱などの後に、突然手足の力が抜けるのが特徴です。
- 重症の場合は呼吸の筋肉が弱まり、緊急の対応が必要になることがあります。
いいえ、非常にまれな病気です。日本では毎年数人から数十人程度の報告しかありません。
主に5歳以下の子どもですが、大人でも起こることがあります。特に、ウイルス感染(エンテロウイルスなど)にかかった後に発症しやすいと言われています。
症状
- 呼吸が苦しそう、息がしにくい
- 言葉が話せない、ろれつがまったく回らない
- 急に手足がまったく動かせなくなった
- 顔のゆがみが急に出現した
- ⚠腕や脚に突然力が入らない
- ⚠物が二重に見える、まぶたが下がる
- ⚠飲み込むことが難しい
一般的な症状
- 突然の腕や脚の脱力(力が入らない)
- 顔の筋肉が動きにくい、顔がゆがむ
- まぶたが下がる、物が二重に見える
- 飲み込みにくい、ろれつが回らない
- 首や背中の痛み
子供の症状
- 排尿や便のコントロールが難しくなる
- 元気がない、ぐったりしている
- 歩き方がいつもとちがう
高齢者の症状
- 高齢者でも同じような突然の脱力がおこることがあります。
- 呼吸が苦しくなる症状が現れやすいことがあります。
- 年齢に関わらず、突然の脱力はすぐに医療機関を受診してください。
原因
主な原因
- ウイルス感染が最も多い原因とされています。特に、手足口病の原因となるエンテロウイルスが関係していることがあります。
- ただし、ウイルスが直接神経を傷つけるのか、体の免疫反応が関係するのかは、まだ研究が進められています。
- その他のウイルスや、感染以外の原因でおこることもありますが、はっきりしない場合も多いです。
リスク要因
- 子どもであること
- ウイルス感染(風邪や手足口病など)の後であること
- 発症の原因となるウイルスに感染した人が全員発症するわけではなく、個人の体質や免疫状態が関係すると考えられています。
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 突然、腕や脚の力が入らない
- 呼吸が苦しい、息がしにくい
- 言葉が話しにくい、飲み込みにくい
- 顔のゆがみがある
定期受診を予約すべき場合:
- 風邪や発熱の後に、手足の力が弱くなった気がする
- 脱力が少しずつ続いている、または悪化している
- 子どもがいつもより元気がない、歩き方がおかしい
診断
医師が症状の経過を聞き、神経の診察を行います。そのうえで、画像検査や髄液検査を行い、ほかの病気(ギラン・バレー症候群など)を除外して診断されます。
行われる可能性のある検査
- MRI(磁気共鳴画像)検査:脊髄の炎症を確認します。
- 髄液検査:背中から針を刺して脳脊髄液を少し採取し、調べます。
- 血液検査:炎症の程度や他の病気の有無を調べます。
- ウイルス検査:鼻やのど、便からウイルスを調べることがあります。
診察で予想されること
診断には、症状の経過や検査結果に時間がかかることがあります。また、似た症状の病気を除外するために、専門医による詳しい検査が必要です。医師は患者さんや家族に、検査や治療について丁寧に説明するので、わからないことは質問してください。
治療
AFMの治療は、炎症を抑えることと、リハビリテーション(機能回復の訓練)が中心になります。症状や重症度に合わせて、専門医と相談しながら治療方針を決めます。
自宅でのセルフケア
- 十分な休養をとる。
- 脱力している部分を無理に使わず、安全な環境で過ごす。
- 理学療法士や作業療法士の指示に従って、リハビリを続ける。
- 水分をしっかりとり、感染症を予防する。
医療治療
免疫に関わる治療や、炎症を抑える治療が行われることがあります。また、呼吸が弱っている場合には、人工呼吸器を使って呼吸を助けることもあります。具体的な治療は医療機関で患者さんに合わせて行われます。
手術が検討される場合
通常、手術が必要になることはありません。ただし、呼吸を長期間助けるために、気管切開(のどに空気の通り道をつくる処置)が必要になることはあります。
この病気と共に生きる
日常生活では、手足の力の弱さに合わせて、転倒やけがを防ぐ工夫が大切です。脱力の程度は人によって違うため、無理をせず、できるペースで過ごしましょう。
生活習慣のアドバイス
- 疲れたら休む。無理をしない。
- 筋力や動きを保つために、リハビリを継続する。
- 定期的に医療機関で経過をみてもらう。
- 感染を防ぐために、手洗い・うがいを習慣づける。
食事と運動
バランスのよい食事をとり、医師や理学療法士と相談した範囲で運動をしましょう。飲み込みにくい場合は、やわらかい食べ物やとろみを活用するなど、食べやすい形に工夫してください。
精神的健康と心の健康
急な症状や後遺症に対して不安やつらい気持ちを感じることがあるかもしれません。無理せず、家族や友人、専門家に話してください。日本語では「こころの健康相談統一ダイヤル」などの公的な相談窓口もあるため、利用を検討するとよいでしょう。
予防
AFMそのものを確実に予防する方法はまだわかっていません。手洗い・うがいなど、ウイルス感染を防ぐ基本的な対策が重要です。
ワクチン
ポリオワクチンは定期接種で受けることができ、ポリオによる麻痺を防ぐのに役立ちます。また、風邪や手足口病の原因となるウイルスに対するワクチンは現在ありません。
検診プログラム
一般的な健康診断やスクリーニング検査はありません。
合併症
治療しない場合
- 呼吸ができなくなる危険があります。
- 手足の筋力低下が長く続くことがあります。
- 動かない期間が長いと、関節が固まりやすくなる「廃用症候群(はいようしょうこうぐん)」を起こすことがあります。
長期的な見通し
回復の程度は人によって異なります。時間とともに改善することも多い一方で、障害が残ることもあります。しかし、リハビリテーションや医療・福祉の支援を活用することで、できることを増やしていくことができます。専門医と一緒に長い目で経過をみていくことが大切です。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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