知っておきたい「胃食道逆流症(GERD)」9つの症状
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
胃食道逆流症(いしょくどうぎゃくりゅうしょう)は、胃の中の胃酸が食道に逆流することで、胸やけやのどの違和感などの症状があらわれる病気です。消化を助けるための強い酸が、食道を刺激して炎症を起こすことがあります。
重要な事実
- 胃の中の内容物が食道に逆流することで起こる
- 胸やけや酸っぱいげっぷが代表的な症状
- 生活習慣の見直しと適切な治療で、多くの症状は改善できる
とても一般的な症状です。日本でも多くの方が経験するといわれていますが、日常的に症状がある場合は医療機関に相談することが大切です。
どの年代でも起こりますが、特に妊娠中の方、肥満の方、喫煙する方、食生活の乱れがある方に多いとされています。年齢を重ねると症状の感じ方やあらわれ方が変わることがあります。
症状
- 胸の強い痛みや圧迫感があり、あごや腕、背中まで痛む
- めまい、冷や汗、息苦しさを伴う胸の痛み
- 突然、激しい腹痛がおこった
- 飲み込めない、またはのどが完全にふさがれた感じがある
- 血を吐く、またはコーヒーのような残渣(ざんさ)を吐く
- ⚠胸の痛みが続き、なかなかおさまらない
- ⚠長期間、食べ物がつかえる感じがある
- ⚠原因がわからない体重減少がある
- ⚠黒いタール便(黒色便)が出る
- ⚠吐き気や嘔吐が続く
一般的な症状
- 胸やけ(胸のあたりが焼けるように熱く感じる)
- 酸っぱいげっぷや胃液がのどに上がる感じ
- 口の中が酸っぱい、または苦い
- のどに何かが張り付いている感じ
- のどが痛い、しわがれ声になる
- せきが長く続く、またはのどがイガイガする
- しゃっくりが頻繁に出る
- 吐き気や胃のむかつきがある
- 夜間にせきこんだり、息苦しくなったりする
子供の症状
- 頻繁に吐き戻す、または吐く
- 食事を嫌がる、むずかって飲み込まない
- 体重が増えにくい
- のどをよく鳴らす、せき込む
- 夜間に苦しそうに目を覚ます
高齢者の症状
- 胸やけがおだやかな場合もあり、気づきにくいことがある
- せきやのどの違和感、声のしわがれが目立つことがある
- 食べ物がつかえる感じや飲み込みにくさを感じやすい
- 肺炎を繰り返すこともあるため注意が必要
原因
主な原因
- 食道と胃の間の弁(下部食道括約筋)がうまく閉じず、胃酸が食道へ逆流する
- 食道の動きが弱くなり、胃酸を押し戻す力が低下する
- 横隔膜の結合部に弱さがあり、胃の一部が食道側に飛び出す食道裂孔ヘルニア
- 腹圧が高まることで胃酸が逆流しやすくなる(妊娠や肥満など)
リスク要因
- 脂肪の多い食事や食べ過ぎ、食後すぐの横になる
- コーヒー、アルコール、チョコレート、スパイスの多い食べ物
- 肥満や妊娠
- ストレスや疲れ
- 前かがみの姿勢や、きつい下着やベルトによってお腹を圧迫すること
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 上記の緊急症状がある場合は、迷わず119番または近くの救急医療機関へ連絡してください
- 胸痛が数分以上続く、または繰り返す場合
- 吐いたものに血が混じる、または黒くタールのような便が出る場合
定期受診を予約すべき場合:
- 胸やけや酸っぱいげっぷが週に2回以上ある
- のどや胸の違和感が数週間続く
- 市販の胃薬を試しても改善しない
- せきや声のかすれが長引く
診断
医師が症状について詳しくお話を聞き、必要に応じて検査を行います。診断は胃カメラ検査や食道の酸度を調べる検査によって確認されることがあります。
行われる可能性のある検査
- 胃内視鏡検査(胃カメラ)— 食道や胃の中の状態を直接確認する検査
- 食道pHモニタリング検査 — 逆流する胃酸の量を24時間測定する検査
- 食道造影検査 — バリウムを飲んで、食道の動きや形をレントゲンで確認する検査
- 食道内圧測定 — 食道の筋肉の動きを調べる検査
診察で予想されること
診断のためには、症状がいつからあるのか、どんなときに悪化するのか、食事や睡眠の状況などを医師に伝えることが重要です。検査に不安があれば、医師や看護師に質問して安心して受けてください。
治療
治療は、生活習慣を整えながら、胃酸の働きをおさえる薬や食道の動きを助ける薬を医師の指示のもとで使用して、症状を改善していくことが基本です。治療は無理のないペースで進められます。
自宅でのセルフケア
- 食べ過ぎを避け、少量ずつ回数を分けて食事をする
- 食後すぐに横にならず、少なくとも2〜3時間は起きている
- 脂肪の多い食事や香辛料の強いもの、アルコールなどは控えめにする
- 就寝時は頭側を10〜15センチ上げて、上半身を高くして休む
- きついベルトや下着でお腹を圧迫しない
- 禁煙を検討する
- ストレスをためないようにリラックスの時間を作る
医療治療
医師による治療では、胃酸の分泌を減らす薬、胃の動きを整える薬、食道を守る薬などが、症状や検査結果に合わせて処方されることがあります。市販薬を自己判断で長期使用せず、医師や薬剤師に相談してください。
手術が検討される場合
薬で症状がなかなか改善しない場合や、逆流を防ぐ手術(抗逆流手術)が検討されることがあります。手術が必要かどうかは、専門医が患者さんの状態や生活状況を話し合って決めます。
この病気と共に生きる
胃食道逆流症と上手に付き合うには、自分の体の調子を観察し、悪化させそうな食事や習慣を見つけて避けることが大切です。症状は一時的であっても、長く続く場合は安心のためにも定期的に医師の診察を受けましょう。
生活習慣のアドバイス
- 食事はよく噛んで、ゆっくりと食べる
- 夜食をとらず、夕食と睡眠の間隔をあける
- ウエスト周りを締め付ける服装を避ける
- 寝るときに左側を下にすると逆流が軽くなることがある
- 体重が気になる方は、医師や栄養士と相談しながら無理なく減量する
食事と運動
低脂肪で消化の良い食事を心がけ、野菜や食物繊維を十分に取り入れましょう。逆流を増やしやすい食べ物(脂っこいもの、辛いもの、炭酸飲料、チョコレートなど)は控えめに。運動は食後すぐの激しい運動は避け、ウォーキングなどの軽い運動を日常に取り入れることが役立ちます。
精神的健康と心の健康
慢性の症状は睡眠を妨げたり、食事を楽しめなくなったりして、心の負担になることがあります。不安やストレスをたためないよう、信頼できる人に話したり、趣味やリラックス法を見つけたりしましょう。必要なら心のケアについても医師に相談できます。
予防
完全に防ぐことは難しいかもしれませんが、健康な生活習慣を保つことで逆流のリスクを下げ、症状の再発を抑えることができます。
合併症
治療しない場合
- 食道の粘膜が傷つき、炎症が長く続く(逆流性食道炎)
- 食道が狭くなり、食べ物がつかえやすくなる(食道狭窄)
- 食道の粘膜が胃の粘膜のようになり、がんのリスクが高まることもある(バレット食道)
- せきや喘息の悪化、のどの炎症、むし歯の増加など、のどや気管への影響
長期的な見通し
胃食道逆流症は、生活習慣を見直し医師の指導のもとで治療を続けることで、ほとんどの症状は改善します。長く付き合うことがある病気ですが、決してあきらめず、医療と自分自身のケアを組み合わせて、快適な毎日を目指すことができます。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年8月1日
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