過敏性腸症候群(IBS)と食事 – 症状を和らげる新しい考え方
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
過敏性腸症候群(かびんせいちょうしょうこうぐん、IBS)は、腸に炎症や傷がないのに、腹痛やおなかの張り、下痢や便秘などをくり返す病気です。食べ物やストレスがきっかけで症状が出やすくなりますが、命にかかわる病気ではありません。
重要な事実
- IBSは腸の働きのバランスが乱れることで起こりますが、腸自体に重大な病気はありません。
- 症状は人によって違います。下痢が中心の人、便秘が中心の人、両方をくり返す人がいます。
- 食事の見直しやストレス対策で、症状を大きく改善できる可能性があります。
IBSはとても身近な病気で、日本では10人に1人以上の人が経験しているといわれています。
10代から30代の若い人に多く、女性は男性の約2倍みられます。子どもや高齢者にもみられることがあります。
症状
- 突然の激しい腹痛が続く
- 便に血が混ざる、または真っ黒な便が出る
- 吐き気や嘔吐が止まらない
- 発熱をともなう強い腹痛
- 意識がもうろうとする
- ⚠ひどい下痢が続いて水分がとれない
- ⚠体重が急に減った
- ⚠貧血や息切れがある
- ⚠便に血が混ざる(緊急ではないが早めの受診が必要)
一般的な症状
- おなかの痛みや不快感(排便すると楽になることが多い)
- おなかの張り・ガスがたまる感じ
- 下痢と便秘を交互にくり返す
- 便が残っている感じ(残便感)
- 急に便意をもよおし、我慢しづらい
子供の症状
- 子どもの場合、腹痛や便通の変化が主な症状です。
- おなかが痛いと学校を休みがちになることがあります。
- ストレスや不安が症状を強くすることがあります。
高齢者の症状
- 高齢者は下痢や便秘による脱水や栄養不足に注意が必要です。
- 便漏れ(失禁)を恥ずかしいと感じて受診をためらうことがありますが、相談して大丈夫です。
- 高齢者の便秘は別の病気が原因の場合もあるため、早めに医師に相談しましょう。
原因
主な原因
- 腸の動きが過剰になったり、逆にゆっくりになったりする
- 腸がちょっとした刺激にも敏感に反応する(知覚過敏)
- ストレスや不安が自律神経やホルモンに影響する(脳腸相関)
- 腸内細菌のバランスがくずれている
- 食事(脂っこいもの、刺激物、関連する食品)がきっかけになる
リスク要因
- 心理的ストレス(仕事、学校、人間関係など)
- 感情や気分の不安定さ(うつや不安障害をともなうことがある)
- 家族にIBSの人がいる
- 以前、細菌性の腸炎や食中毒にかかったことがある
- 睡眠不足や不規則な生活
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 激しい腹痛や吐血、血便がある
- 原因不明の発熱が続く
- 体重が短期間で大きく減った
- 高齢の方で突然症状が現れた
定期受診を予約すべき場合:
- 腹痛や便通の変化が数週間以上続いている
- 症状のため仕事や学校、日常生活に支障がある
- 市販の整腸薬などを使っても改善しない
- 下痢や便秘の症状が月に数回以上くり返す
診断
IBSの診断は、まずほかの病気を除外することから始まります。医師が詳しい問診を行い、必要に応じて検査をして、便や腸に異常がないことを確認します。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(貧血や炎症の有無を調べる)
- 便検査(感染症や血便の有無を調べる)
- 腹部エコーやCT(腸の外側の異常有無を調べる)
- 大腸内視鏡検査(必要に応じて、炎症や腫瘍がないかを確認する)
診察で予想されること
診断の流れは、まず問診と身体診察を受けます。その後、症状に応じて検査を行い、ほかの病気が否定されたらIBSと診断されます。その後は、食事日記や症状の記録をつけながら、あなたに合った対策を一緒に考えていきます。
治療
IBSの治療の基本は、食事・生活習慣の調整とストレスの管理です。必要に応じて薬物療法を行いますが、薬だけに頼らず、自分自身の体に合った対策を見つけることが大切です。
自宅でのセルフケア
- 食事日記をつけて、症状が出やすい食べ物を把握する
- 規則正しく3食食べ、一度にたくさん食べない
- 低FODMAP食(症状を起こしにくい発酵性の糖質を控えた食事)を医師や管理栄養士の指導のもとで試す
- 水分を十分にとる(特に下痢のときはスポーツドリンクなどで電解質を補う)
- 軽い運動を習慣にし、ストレスをためないようにする
- 睡眠をしっかりとり、生活リズムを整える
医療治療
症状が強い場合は、腸の動きを整える薬や、腹痛を和らげる薬、下痢止め、便秘薬、漢方薬などが使われることがあります。また、ストレスや不安が強い場合には、抗不安薬や抗うつ薬の併用が有効なこともあります。いずれも医師があなたの症状に合わせて処方します。自己判断で市販薬に頼りすぎないようにしましょう。
手術が検討される場合
IBSそのもののために手術が必要になることはありません。
この病気と共に生きる
IBSと上手に付き合うには、自分の体のクセを知ることが第一歩です。便通の状態や食べたものを記録し、症状との関係を見つけましょう。急な便意に備えて、お出かけ先のトイレの場所を確認しておくのも安心につながります。
生活習慣のアドバイス
- 毎日15分ほど、無理のない運動(ウォーキングやヨガなど)をする
- 腹式呼吸や深呼吸など、リラックスする時間を持つ
- 睡眠時間をしっかり確保し、就寝・起床時間を一定にする
- 仕事や家事の合間に休憩をはさむ
- 禁煙を心がけ、お酒はほどほどにする
食事と運動
食事では、高脂肪・高カロリーの食事は避け、野菜や果物、発酵食品など食物繊維と乳酸菌をバランスよくとりましょう。ただし、食物繊維を急に多くとるとガスがたまって症状が悪化することがあるため、少しずつ増やします。運動は、軽い有酸素運動が腸の動きを整えるのに役立ちます。食後に軽く歩くのもおすすめです。
精神的健康と心の健康
IBSの症状はストレスや不安で悪化しやすく、また症状による不安がさらにストレスになることもあります。うつや不安障害を合併することも多いため、心の不調を感じたら一人で抱え込まず、医師に相談しましょう。
予防
IBSを完全に予防する方法は今のところありません。しかし、日頃からバランスのよい食事、規則正しい生活、ストレス対策を心がけることで、発症のリスクを減らしたり、症状の悪化を防いだりできる可能性があります。
合併症
治療しない場合
- 症状が長く続くと仕事や学校を休みがちになり、生活の質が低下することがあります。
- 下痢が続くと脱水や栄養素の吸収不良を起こすことがあります。
- 便秘が慢性化すると、痔や裂肛(切れ痔)を引き起こすことがあります。
- ストレスや不安が強まり、うつ病などの心の病気を合併することがあります。
長期的な見通し
IBSは付き合い方を覚えれば、多くの人が普通の日常生活を送れる病気です。食事と生活習慣を改善し、必要に応じて医療の助けを借りることで、症状は確実に和らげられます。完璧を目指さず、あなたのペースで一歩ずつ取り組んでいきましょう。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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