腹部てんかん(おなかのいたみをともなうてんかん)とは
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
腹部てんかんは、脳の中の「てんかん」という電気的な乱れによって、おなかに症状があらわれるまれな病気です。おなか自体に傷や病気があるわけではなく、脳からの誤った信号がおなかの不快感や痛みとして感じられるのです。
重要な事実
- 発作は突然起こり、短い時間でおさまることが多いです。
- 主に子供に多くみられますが、大人にもみられることがあります。
- おなかの病気ではないため、消化器の検査では原因が見つからないことが特徴です。
非常にまれな病気です。そのため、おなかの痛みを訴えて病院に行っても、たいていの場合は別の病気が疑われ、てんかんと診断されるまで時間がかかることがあります。
多くは3歳から16歳ごろの子供にみられますが、成人にも発症することがあります。性別ではどちらにもみられます。
症状
- けいれんが5分以上続く、または短い間隔で繰り返す
- 呼びかけに反応しない、意識がもどらない
- 呼吸が止まる、または呼吸がとても苦しそう
- 頭を強く打ったあとにおなかの発作やけいれんが起きた
- ⚠強いおなかの痛みや嘔吐が続き、水分が取れない
- ⚠便に血が混じる、または黒色の便が出る
- ⚠痛みがどんどん強くなり、日常生活ができない
一般的な症状
- 突然起こる、キリキリするような強いおなかの痛み
- 痛みとともにある吐き気や嘔吐
- 痛みのあとに感じる脱力感や眠気
- 痛みの前後に起こるめまいや頭痛
子供の症状
- 何の前触れもなく起こる、くり返すおなかの痛み
- 痛みの発作中にぼんやりする、意識が遠くなる
- 痛みのあとにぐっすり眠ってしまうことがある
高齢者の症状
- はっきりとした痛みではなく、おなかの不快感やもやもやした感じ
- 痛みに伴う強い疲労感や判断力の低下
- ほかの病気と間違われやすく、診断が遅れることがある
原因
主な原因
- 脳の一部に「てんかん」という電気的な過剰な活動が起こることで、おなかに関係する感覚をまちがって伝えることが原因と考えられています。
- 脳の感染症や外傷、脳腫瘍などが原因になることもありますが、多くの場合ははっきりした原因がわかりません。
- 家族にてんかんの人がいる場合は、遺伝の影響が考えられることがあります。
リスク要因
- けいれんを起こしやすい体質(てんかんの家族歴)
- 頭部のけがの経験
- 脳炎や髄膜炎などの感染症の経験
- 発達障害や神経の病気があること
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 繰り返すおなかの痛みに、意識のもうろうやけいれんをともなうとき
- 痛みで食事や水分が取れない、学校や仕事に行けないほど症状が重いとき
定期受診を予約すべき場合:
- 原因がわからないおなかの痛みが何度も続くとき
- 子どもが周期的に強くおなかを痛がるとき、または痛みのあとにひどく眠そうになるとき
診断
まずはおなかの病気(胃腸炎、虫垂炎、尿路感染症など)を調べるために、血液検査や尿検査、おなかのエコー(超音波)などが行われます。それでも原因が見つからない場合に、てんかんを疑って脳の検査をおこないます。
行われる可能性のある検査
- 脳波検査(EEG): 脳の電気的な活動を記録し、てんかん特有の波を確認します
- 脳のMRI検査: 脳の形やけがの有無を詳しく調べます
- 血液検査・尿検査・おなかの画像検査: ほかの原因を除外するために行います
診察で予想されること
診断のためには、症状の詳しい話を聞くことがいちばん大切です。発作のようすを動画で撮っておくと、医師の診断の助けになります。小児科や脳神経内科、ときには小児神経科が専門となります。
治療
治療の中心は、てんかん発作を抑える薬(抗てんかん薬)です。薬は症状や年齢に合わせて医師が個別に選び、量も調整します。薬を正しく続けることで、多くの人が発作を予防できます。
自宅でのセルフケア
- 発作の記録をつけて、症状のパターンを医師に伝えましょう
- 睡眠不足や極度の疲労を避けて、規則正しい生活を心がけましょう
- 発作が起きたときに安全を確保するために、周りの人に病気のことを伝えておきましょう
医療治療
医師の指示に従って抗てんかん薬(発作を抑える薬)を毎日決められたとおりに服用します。薬で十分に抑えられない場合は、医師がほかの治療法を検討します。例えば、低炭水化物で高脂肪の「ケトン食」という食事療法や、みぞおちのあたりに刺激を届ける「迷走神経刺激療法」などが選ばれることがあります。ただし、これらの治療はすべて医師の管理のもとで行われます。
手術が検討される場合
薬をいくつか試しても十分な効果がなく、脳のどこから発作が出ているかがはっきりと特定できる場合には、治療の選択肢として手術が検討されることがあります。
この病気と共に生きる
治療がうまくいけば、多くの人は普通の生活を送ることができます。おなかの痛みの発作が起こりづらくなるので、学校や仕事にも安心して向き合えます。
生活習慣のアドバイス
- 充分な睡眠と休養をとる
- ストレスをためない(発作の誘因になることがあります)
- 薬を自己判断で止めない
- 自転車やプールなど、安全に注意がいる場面では特に発作に気をつける
食事と運動
ふだんの食事はバランスよく、規則正しくとりましょう。運動は体に良い効果がありますが、発作が起きたときに危険な場所(高い所や水のそばなど)での運動は、医師と相談のうえ慎重に行ってください。特別な食事療法が必要な場合は、医師や管理栄養士の指示に従いましょう。
精神的健康と心の健康
まれな病気のため「理解されにくい」「まわりの人に説明しづらい」という不安を感じることもあるでしょう。つらい気持ちをひとりで抱え込まず、医師や家族、友人に相談してください。もしも生きるのがつらい、自分を傷つけたいという気持ちがわいたら、すぐに信頼できる人や地域のこころの健康相談窓口に連絡してください。命にかかわる緊急時は119番に通報してください。
予防
腹部てんかんそのものを予防する方法はありません。しかし、頭部のけがを防ぐこと(自転車ではヘルメットを着用する、車ではシートベルトをする)や、発作を引き起こしやすい状態を避けることで、発作の発生を減らすことができます。
合併症
治療しない場合
- 発作中に転んだり、意識を失ったりすることで思わぬけがをする
- 繰り返す発作のために、仕事や学校を休みがちになり、生活の質が下がる
- 学習や記憶に影響が出ることがある
長期的な見通し
腹部てんかんは、適切な治療を受けると多くの場合、発作はうまくコントロールできます。子どもの場合は、成長とともに発作が減り、治ることもあります。めずらしい病気ですが、あきらめずに専門医と一緒に治療を続けていくことが大切です。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年8月2日
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