おなかのしこり(腹部腫瘤)について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
おなかの中にしこりやふくらみができて、外から触れたり、見たりできる状態を「腹部腫瘤(ふくぶしゅりゅう)」といいます。しこりの正体は、臓器のふくらみ、液体がたまった袋(のう胞)、腫瘍(しゅよう)などさまざまで、多くは心配いらないものですが、なかには治療が必要な病気が原因の場合もあります。
重要な事実
- おなかのしこりには、良性(がんではない)のものと悪性(がん)のものがあります。
- しこりの原因は、臓器のはれ、のう胞、脂肪の塊、ヘルニア、腫瘍などさまざまです。
- 自分で触って気づくこともあれば、健康診断や画像検査で偶然見つかることもあります。
- どんな原因であっても、お医者さんに診てもらい、正しく調べることが大切です。
腹部のしこりは、特に高齢の方や、腹部の検査を受けた方で見つかることがあります。原因によって頻度は異なりますが、誰にでも起こりうる症状です。
どの年齢の方にも起こる可能性があります。赤ちゃんから高齢の方まで、原因となる病気は異なりますが、おなかの中の臓器に問題があると、しこりとして触れることがあります。
症状
- 突然の激しい腹痛がある
- 吐血や血便がある(または黒い便が出る)
- 呼吸が苦しい、意識がもうろうとする
- おなかを強く打った後、しこりや痛みがある
- おなかのしこりが急に大きくなる、または激しい痛みを伴う
- ⚠しこりが痛む、または熱がある
- ⚠吐き気や嘔吐が続く
- ⚠尿が出ない、または痛みがある
- ⚠便通が急に変わった(便秘や下痢が続く)
- ⚠食欲がなく、水分もとれない
- ⚠1週間以上症状が続いている
一般的な症状
- おなかの一部がふくらんでいたり、押すと固いしこりを感じる
- おなかの張りや違和感がある
- しこりの部分が痛む(痛みがないこともあります)
- 吐き気や嘔吐がある
- 食欲が落ちる、食事がとりにくい
- 体重が減る
- 便秘や下痢が続く
- おなかが大きくなったように感じる
子供の症状
- 赤ちゃんや小さな子どものおなかにしこりを感じる
- おなかが張っている、ミルクや食事をよく吐く
- おなかを触られるのを嫌がる、機嫌が悪い
- 便秘や尿の出かたがおかしい
- おなかのしこりに加えて、発熱やぐったりした様子がある
高齢者の症状
- おなかのしこりに加えて、体重が減る、食欲がない
- 腹部の痛みが続く、または強くなる
- 便の色がおかしい(黒っぽい、白っぽい)
- 尿が出にくい、血尿がある
- おなかが張って服がきつくなる
原因
主な原因
- のう胞(内部に液体がたまった袋): 肝臓、腎臓、卵巣などにできることがあります。
- ヘルニア: おなかの壁の弱い部分から臓器が飛び出したもの。
- 良性腫瘍(脂肪腫、子宮筋腫など): がんではないが、しこりとして触れることがあります。
- 悪性腫瘍(がん): 胃、大腸、肝臓、膵臓、卵巣などの臓器にできるがんです。
- 臓器のはれ: 肝臓の腫れ、脾臓の腫れ、腎臓の腫れなど。
- 便秘や便のかたまり: ひどい便秘で腸の中に便がたまると硬いしこりとして触れることがあります。
- 妊娠(子宮のふくらみ): 妊娠中は子宮が大きくなり、おなかがふくらみます。
リスク要因
- 年齢: 高齢になるほど、がんや良性腫瘍のリスクが高まります。
- 喫煙や過度の飲酒: がんのリスクを高めます。
- 腹部のけがや手術の既往がある
- 家族の中に、大腸がんや卵巣がんなどの病気をした人がいる
- 慢性の肝臓病や腎臓病をかかえている
- 肥満や、運動不足の生活
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 上記の「緊急」や「早めに受診すべき」の症状がある場合は、すぐに医療機関へ相談してください。
- 特に、激しい痛みや出血がある場合は、救急車を呼ぶ(119番)か、すぐに救急外来へ行ってください。
- しこりに加えて、発熱や嘔吐が続く場合は、その日のうちに受診しましょう。
定期受診を予約すべき場合:
- しこりに気づいたら、痛みがなくても一度は医師に相談しましょう。
- しこりの大きさや場所が変わらないか注意し、気になる場合は受診してください。
- 健康診断で「腹部に異常があるかも」と言われた場合も、精密検査のために受診しましょう。
診断
医師はまず、おなかを触ってしこりの位置や大きさ、硬さ、動き、痛みの有無を確認します。そのあと、原因を調べるために画像検査や血液検査などを行います。症状や年齢に応じて、必要な検査が選ばれます。
行われる可能性のある検査
- 腹部超音波(エコー)検査: 体に負担の少ない検査で、しこりの形や中身(液体か固まりか)を確認できます。
- CT検査: おなかの断面を詳しく撮影し、しこりの場所や周りの臓器を調べます。
- MRI検査: より詳しい画像で、しこりの性質を調べます。
- 血液検査: 炎症や貧血、肝臓・腎臓の機能、腫瘍マーカー(がんの可能性を示す数値)を調べます。
- 内視鏡検査: 胃や大腸の中を直接見て、しこりががんかどうか調べることがあります。
- 生検(組織検査): しこりの一部を取って顕微鏡で調べる、もっとも確実な検査です。
診察で予想されること
まずはかかりつけ医や一般内科・消化器科を受診しましょう。診察と検査で原因がわからない場合や、専門的な治療が必要な場合は、大きな病院の専門科(消化器内科、外科、婦人科など)を紹介されます。検査は痛みを伴うものもありますが、医師や看護師が説明しながら進めてくれます。
治療
治療はしこりの原因によって大きく異なります。のう胞や良性腫瘍で症状がなければ、経過観察(定期的に検査して様子を見ること)だけでよい場合もあります。一方、がんや、臓器を圧迫して症状が出ている場合には、手術や薬の治療などが必要です。
自宅でのセルフケア
- しこりを強く押したり、もんだりしないでください。炎症や出血の原因になることがあります。
- おなかの張りが気になる場合は、一度にたくさん食べるのではなく、何回かに分けて少しずつ食べるようにしましょう。
- 症状の変化(大きさ、痛み、熱など)をメモしておくと、医師に正確に伝えられます。
- 体をしめつける服やベルトは避け、ゆったりした服装を心がけましょう。
医療治療
薬による治療は、原因が炎症や感染症の場合に抗生物質などが使われます。ただし、しこりそのものに効く特定の薬は決まっておらず、原因となる病気に応じて治療が選ばれます。医師の指示なしに市販薬を使って自己判断しないでください。
手術が検討される場合
しこりが大きい、悪性の可能性がある、痛みや出血などの症状を起こしている場合は、手術で取り除くことがあります。腹腔鏡を使った体に負担の少ない手術が行われることもあります。
この病気と共に生きる
原因が良性で経過観察の場合は、普段の生活はほぼ変わりません。ただし、定期的に医療機関を受診し、しこりの変化がないかチェックすることが大切です。悪性の病気と診断された場合は、治療を受けながら生活の質を保つために、医師や看護師、栄養士などと相談して無理のないペースで生活しましょう。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙し、お酒は控えめにする(医師の指示があればそれに従うこと)。
- 十分な睡眠と休養をとる。
- ストレスをためないように、好きなことやリラックスできる時間を作る。
- 規則正しい生活習慣を心がける。
食事と運動
特定の食事でしこりが消えることはありませんが、バランスの良い食事と適度な運動は体調を整える助けになります。野菜や果物、食物繊維を多くとり、脂肪や塩分をとりすぎないようにしましょう。運動はウォーキングなど無理のない範囲で。治療中や体力に不安がある場合は、必ず医師に相談してから行ってください。
精神的健康と心の健康
おなかのしこりが重い病気かもしれないという不安は、大きなストレスになります。気持ちの落ち込みや眠れない状態が続く場合は、ひとりで抱え込まず、医師や看護師、家族や友人に相談しましょう。病気の不安は誰にでもある自然な感情です。
予防
腹部のしこりそのものを完全に予防する方法はありません。しかし、健康的な生活習慣(禁煙、節酒、バランスの良い食事、適度な運動)は、がんや生活習慣病のリスクを下げ、しこりを生じる病気を防ぐ助けになります。また、検診を定期的に受けることで、早期に発見できることもあります。
ワクチン
肝炎ウイルス(B型肝炎)や子宮頸がん(HPV)のワクチンは、関連するがんの予防に役立つことがあります。ワクチンについての詳細は、予防接種の案内や医師にご相談ください。
検診プログラム
健康診断やがん検診(胃がん、大腸がん、子宮がんなど)を定期的に受けることが、しこりとなる病気の早期発見につながります。お住まいの市区町村の検診情報も参考にしてください。
合併症
治療しない場合
- しこりが大きくなり、周りの臓器を圧迫して痛みや血流の障害を起こすことがあります。
- 悪性腫瘍(がん)の場合、放っておくと周りに広がったり、転移したりする可能性があります。
- 卵巣のう腫や腸の腫瘍などで、しこりがねじれたり破れたりすると、急な激しい痛みや腹膜炎を起こすことがあります。
- 出血や感染を伴うこともあります。
長期的な見通し
治療の見通し(予後)は、しこりの原因によって大きく異なります。良性ののう胞や脂肪腫などは、治療や経過観察によって多くの場合問題なく経過します。がんの場合でも、早期に見つけて適切な治療を受ければ、治癒や長期の生存が期待できることが増えています。一度で結論を出さず、医師とよく相談して前向きに治療に取り組むことが大切です。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
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