大人の腹痛(ふくつう)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
腹痛(ふくつう)とは、おなかに感じる痛みや不快感のことです。原因は胃腸のトラブルが中心ですが、その他にもさまざまな病気が関係することがあります。多くは軽くて一時的ですが、なかにはすぐに治療が必要なものもあるため、症状をよく観察することが大切です。
重要な事実
- 腹痛は外来を受診する理由として最も多い症状の一つです。
- 多くの腹痛は数時間から数日で自然に治ります。
- 突然の激しい痛みや長く続く痛みは、緊急の受診が必要です。
はい、とてもよくある症状です。日本人のおよそ4人に1人が、1年間に一度は腹痛を経験するといわれています。
どの年齢の人にも起こりますが、若い女性や、ストレスを抱えている人、食生活の乱れている人に多く見られます。高齢者では痛みの感覚が鈍いこともあるため、注意が必要です。
症状
- 瞬間的な激しい痛みで動けない
- 吐血(口から血を吐く)や、黒いタールのような便(下血)がある
- おなかが板のように硬く張っている
- 呼吸が苦しい、意識がもうろうとする
- これらの症状がある場合は、ためらわずに119番を呼んで救急車を頼ってください。
- ⚠高熱(38度以上)を伴う
- ⚠嘔吐が続き、水分もとれない
- ⚠痛みが強くなったり、長時間(半日以上)続いたりする
- ⚠おしっこが出ない、便が出ない日が続く
- ⚠妊娠中の腹痛
- ⚠このような場合は、当日中に医療機関の受診が必要です。
一般的な症状
- みぞおち、へその周り、下腹部など、おなかのどこかに痛みがある
- 鈍い痛み、きりきりとした痛み、焼けるような痛み、締め付けられるような痛み
- 吐き気や嘔吐
- 下痢や便秘
- おなかの張り(膨満感)
原因
主な原因
- 食べ過ぎや飲み過ぎ
- 急性胃腸炎(細菌やウイルスによる感染症)
- 胃潰瘍・十二指腸潰瘍
- 胆石症・胆のう炎
- 膵炎(すいえん)
- 虫垂炎(しゅういえん、いわゆる盲腸)
- 過敏性腸症候群(ストレスや生活習慣が関係する機能性の病気)
- 尿路結石
- 月経痛(生理痛)
- 大腸がんなどの腫瘍
リスク要因
- 暴飲暴食、脂っこい食事
- 多量の飲酒、喫煙
- ストレスや不安
- 肥満、運動不足
- 痛み止めなどの薬を長期間飲んでいる
- 慢性の便秘
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 痛みがどんどん強くなる
- 高熱、冷や汗、ふらつきがある
- 激しい嘔吐が続く
- 血便(血液が混ざった便)や黒い便がある
- おなかが張って、押すと痛む
- 数時間まったくおしっこが出ない
定期受診を予約すべき場合:
- 痛みが何日も続く、または何度も繰り返す
- 食欲がない、体重が減ってきた
- 便通の変化(便秘と下痢を繰り返す)が続く
- 月経時以外にも下腹部が痛む
- 便に血が混じることがある
診断
医師は、まず痛みの場所、発症の仕方、続く時間、食事や排便との関係などを詳しく聞きます。その上で、おなかを触診し、聴診器で腸の音を確認します。必要に応じて、血液検査や尿検査、画像検査を行います。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(炎症の有無や貧血を調べます)
- 尿検査(尿路結石や妊娠の確認)
- 腹部エコー(超音波)検査(胆のうや膵臓、子宮・卵巣などを確認)
- CT検査(腹部全体の状態を詳しく確認)
- 胃カメラ(内視鏡)や大腸カメラ(消化管の中を直接見る検査)
診察で予想されること
診察では、症状を時系列で説明できるとスムーズです。最初に感じた時間、痛みの場所の変化、吐き気や便通の状態をメモしておくとよいでしょう。検査の必要性が生じた場合は、その場で説明があります。
治療
治療は原因によって異なります。軽い場合は、食事や生活の見直しだけで改善することも多いです。感染症や炎症が原因の場合は、薬での治療や、場合によっては入院が必要になることもあります。
自宅でのセルフケア
- 自己判断で温めたり冷やしたりせず、まずは安静にする
- 吐き気がない場合は、水分を少しずつ補給する(経口補水液やお茶など)
- 消化の良いものを少量ずつ食べる(おかゆ、うどんなど)
- 脂っこい料理、辛いもの、アルコール、コーヒーなどは避ける
- 痛み止めを自己判断で使わない(症状を隠してしまうことがあるため、使う前に医師や薬剤師に相談)
医療治療
原因に応じて、胃酸の働きを抑える薬、胃腸の動きを整える薬、粘膜を保護する薬、抗菌薬(抗生物質)などが使われます。点滴が必要な場合は、病院で行われます。どの薬を使うかは、診断結果に基づいて医師が決定します。
手術が検討される場合
虫垂炎(盲腸)、胆嚢炎、腸閉塞、腹膜炎などの場合には、手術による治療が選ばれることがあります。ただし、緊急手術が必要かどうかは、医師が画像検査などの結果を見て判断します。
この病気と共に生きる
腹痛は再発することもあるため、自分の身体のサインを日頃から観察することが大切です。痛みの傾向やきっかけが分かってくると、対処しやすくなります。かかりつけ医を見つけて、気軽に相談できる関係を作っておくと安心です。
生活習慣のアドバイス
- 規則正しい食生活を心がける(1日3食、腹八分目)
- よく噛んで、ゆっくり食べる
- 十分な睡眠をとり、疲れをためない
- 適度な運動(ウォーキングなど)を取り入れる
- ストレスを解消する方法を見つける(趣味、入浴、会話など)
食事と運動
食事は、脂っこいものや香辛料を多く使ったもの、冷たいものを避けて、温かい野菜中心のメニューを選ぶと胃腸に負担がかかりません。運動は胃腸の動きを整えるのに役立ちますが、痛みが強い間は安静にしてください。
精神的健康と心の健康
腹痛は、ストレスや不安などの心の状態と深く関係することがあります。特に過敏性腸症候群では、不安が強くなると症状が悪化する傾向があります。つらい気持ちを一人で抱え込まず、家族や友人に話したり、医師に相談したりしてください。
予防
腹痛そのものを完全に防ぐことはできませんが、暴飲暴食を避け、バランスの良い食事、適度な運動、十分な睡眠など、健康的な生活習慣を続けることで、多くの腹痛は予防できる可能性があります。
検診プログラム
検診については、40歳以上の人を対象に自治体などで行われる大腸がん検診(便潜血検査)がすすめられています。胃がん検診(胃カメラやバリウム検査)も、特にリスクのある方は検討してみましょう。
合併症
治療しない場合
- 虫垂炎が進行して破裂し、腹膜炎を起こすと、命に関わることがあります
- 胆嚢炎から胆管炎や敗血症(血液中に細菌が入る重い感染症)に進行することがあります
- 腸閉塞が続くと、腸の血行が悪くなり、腸が壊死(組織が死ぬこと)することがあります
- 大腸がんなどが進行すると、治療が難しくなります
長期的な見通し
腹痛の原因の多くは命にかかわるものではなく、適切な診断と治療を受ければ、回復することがほとんどです。たとえ緊急を要する病気でも、早期に受診すれば治療の選択肢が広がります。まずはあわてず医師に相談してください。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年8月2日
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